研究シーズの内容
今日の日本のマスメディが「旅とグルメ」を常用句のようにしていることから推測できるように、旅行中の食体験は、潜在的な旅行者が最も関心を寄せているテーマの一つであろう。
本研究は、日本における海外余暇旅行市場の有力なセグメントである若年女性層を調査対象者として、インターネット調査により、海外パッケージツアーにおける食サービスの問題点を明らかにすることを目的とした。その結果、旅行中の食事体験に関する全体的満足度、食事がおいしいとう属性評価、その国の名物料理が体験できたという属性評価、の3点に関して、食事付きの海外パッケージツアーによる旅行者のスコアが、食事をすべて自身で手配している旅行者に比して、有意に劣っていた。しかも上記の2つの属性評価に関しては、全体的な満足度に対して特に大きな正影響度があることが重回帰分析により確認され、改善点として明確になた。また、食体験への期待度が大きい観光目的地への旅行者サンプルへの分析結果でも、その国の名物料理を体験できたという属性に関しては、食事付海外パッケージツアー旅行者の評価が、その他の旅行者に比して有意に劣っていた。
本研究が寄与しようとする事業主体は、海外パッケージツアーを企画する旅行業者である。それらの旅行業者がその他の旅行形態との顧客獲得競争を有利にすすめるために食サービスに関するどのような製品戦略をとるべきか、というのが本研究の基本的なマーケティング課題である。
なお、本研究でのパッケージツアーとは、旅行業法における「募集型企画旅行」として定義する。日本の海外旅行市場において、約3人に1人の海外旅行者が、パッケージツアーを購入したうえで、旅行業者が企画した食事を少なくとも一度は体験していることになることから、マーケティングの対象として十分な市場規模を備えていると考えられる。
実用化イメージ
・旅行業者のパッケージツアーの企画
・フードツーリズムに関連する人材の育成
・旅行業者に飲食サービスを提供する事業者のメニュー開発
関連する特許や論文等
論 文
・「海外旅行者の食体験に関する満足と評価:パッケージツアーにおける食サービスの改善に向けて」 『経済研究(90)』,琉球大学,2015 (May)
その他多数(琉球大学研究者データベース参照)