研究シーズの内容
平成11年4月より、男女雇用機会均等法が改正・施行され、また同年6月より男女共同参画社会基本法が公布・施行された。この背景には、女性の職業観やライフスタイルの変化、それに伴う勤続年数の伸長と職域の拡大、さらには少子高齢化の進展といった社会経済情勢の急速な変化によって、女性の就業に関する考え方と制度を根本から見直す時代に突入したといえよう。すなわち、女`性と男性が、公平・公正な立場で、性別にとらわれることなく、お互いの個`性と能力を発揮し合い、協働的成果を創り上げていくことが重要なテーマとなってきている。
この実践的テーマの一つとして取り上げられるのが、ポジティブ・アクションに基づく「女性社員の活性化」である。21世紀は個性が尊重される時代といわれている。すなわち個性から導かれる、独創性、革新性、主体性、感性、きめ細かさ、意外性といった資質や能力に対する社会の期待や要求は、今後さらに高まってくるであろう。このような女性のもつ潜在的能力や資質の活用は、まさに各企業の重要な人事戦略の一つになっていかねばならない。しかしながら、現実の企業経営の現場においては、女性が男性と均等な取り扱いを受けていない事例が依然として見受けられる。
本研究では、沖縄県における女性社員活性化に向けた課題を整理し、原因究明と対策的方向性の提言を主たる目的としている。
この調査研究においては、特に「女性の活用を阻む根本的 原因と対策的方向性」について、各企業の人事担当司や経営者の意見を業種 別に分けて論じており、以下に整理した4項目の実現性の有無が、女性活用の成否を分ける分岐点になりうると結論づけた。
①目標管理を基調とする本人の実践的取り組みと、リーダーのフォロー体制(必要情報の提供・補佐・支援・教導)とが両立しうるかどうか。
②共育というリーダーと部下との協働によって組織成果をあげ、達成感によって導かれる自信と誇りと責任をいだけるかどうか。
③女性の活用に対する経営者の前向きな意識と、積極的な行動力があるかどうか。
④女性社員やパートタイム労働者に対する制度上の見直しと改革が実現できるかどうか。
実用化イメージ
・企業における女性活用の促進、女性リーダーの育成、女性活用セミナー
・女性社員やパートタイム労働者に対する制度見直しおよび改革
関連する特許や論文等
論文
・「沖縄県における女性社員活性化に向けた課題と展望」 『経済研究(63)』,琉球大学,P47-77,2002 (Mar.) .
・「組織コミットメントと生産モチベーションとの関係」 『経済研究(55)』,琉球大学,P143-145,1998 (Mar.) .
・「マネージャーの管理責任行動に関する一考察」 『経済研究(56)』,琉球大学, P235-256,1998 (Sep.) .
その他(琉球大学研究者データベース参照)