研究シーズの内容
現在実用されている溶存酸素濃度測定技術のほとんどは、酸素分子の数を直接数える方法ではない。したがって、センサーのシグナルを酸素濃度に換算するために精確な校正が必要だが、それは容易ではない。また、活性酸素(ROS)の研究などバイオ分野では、微量溶液中の酸素濃度を0–50 μmol/Lのレベルで迅速にコントロールする方法が求められる。しかし、混合ガスとの平衡化に頼る方法では事実上不可能である。
私が開発した技術は(図に原理を示す)、無色の酸素分子を同数の黄色色素分子に瞬時に変換し、酸素分子の数をカウントする。この変換を可能にするのが、メタピロカテカーゼ(Mpc)という酵素である。Mpcの大量調製法は確立済みで、本酵素を固定化したキャピラリーカラムを用いると、微量試料中の酸素濃度のコントロールと測定が同時に実現できる。
実用化イメージ
分野および用途
・超微量資料用溶存酸素センサー、酸素センサーの校正用キット、マイクロリアクターの酸素環境制御による低酸素バイオロジー研究、病原菌の薬剤感受性迅速判定、生理的溶存酸素環境での正常組織やがん組織の代謝研究、高度の無酸素環境が必要な分野への応用
関連する特許や論文等
1)溶液から溶存酸素を除去する方法、所定の溶存酸素濃度を有する液体の調製方法及び溶存酸素の測定方法(特開2012-200240)