研究シーズの内容
近年、培養脂肪組織由来幹細胞(ADSCs)は非常に安全な再生治療用の細胞として注目されており、難治性潰瘍治療、外傷後組織変形治療、乳房再建などの再生医療へ適用するための技術確立が望まれている。また、美容産業への導入も期待されており、ADSCsの潜在的な需要は非常に大きいと考えられている。このADSCsを安全かつ大量に生産するシステムの開発と、ADSCsによる再生医療の実施を目指す。
私は既にADSCsが三次元的ストライプ状パターンの上で直線的に速く遊走することを見出しており、現在「三次元パターンを用いた脂肪組織由来幹細胞の迅速な大量抽出技術の開発(科学研究費補助金・基盤研究(B)、平成27年度‐平成29年度)」、「三次元パターンを用いた曲率認識タンパク質群の単一細胞スクリーニング(科学研究費補助金・挑戦的萌芽研究、平成27年度‐平成28年度)」、「強固な骨接合を促進する軟骨再生マイクロパターン基材の開発 (科学研究費補助金・基盤研究(B)、令和元年度‐令和三年度)」等の基礎研究に取り組んでいる。
実用化イメージ
分野および用途
・製薬企業、化粧品メーカー、医療用機器製品メーカー等
・医薬品、化粧品原料、医療機器製品等
関連する特許や論文等
1) 角南寛、清水雄介、普天間直子、牧田昌士、大阪直也、西川靖俊, 組織再生を促進する幹細胞抽出培養シートの開発, BIO INDUSTRY, Vol.36, No.10, 2019年, 38-47.
2) 野村紘史、清水雄介、角南 寛, 日本産の脂肪組織由来幹細胞の培養上清液を活用したコスメ開発, FRAGRANCE JOURNAL 2019/7月号.
3) 名称:コラゲナーゼを用いないで脂肪組織由来幹細胞を分離抽出するための方法、及び脂肪由来幹細胞分離抽出用キット, 特許出願中, PCT/JP2019/007472, 出願年:2019/2/27.
4) 野村紘史、清水雄介、友利新、角南寛, 脂肪組織由来幹細胞培養上清のスキンケア製品への応用, BIO INDUSTRY, Vol.36, No.1, 2019年, 57-64.
5) Sunami H, Shimizu Y, Denda J, Yokota I, Yoshizawa T, Uechi Y, Nakasone H, Igarashi Y, Kishimoto H, Matsushita M, Modulation of surface stiffness and cell patterning on polymer films using micropatterns, J Biomed Mater Res B Appl Biomater., 106(3), 2018, 976-985.
6) 名称:動物細胞用構造体、動物細胞の分離方法及び動物細胞用構造体表面の弾性調節方法, 特許第6226338号, PCT/JP2015/553550, 出願日:2014/12/16, 登録日:2017/10/20.
7) 名称:動物細胞の運動方向の制御基材、当該基材を用いた細胞の識別方法及び細胞の分離方法, 特許第6128620号, PCT/JP2015/546670, 出願日:2014/11/06, 登録日:2017/04/21.
8) 角南寛, 清水雄介, 横田育子, 五十嵐靖之, 岸本英博, 松下正之, 微細加工シリコンウェハ上での生細胞遊走観察, 表面科学, 38巻, 9号, 2017, 473-478.
9) Estimation of the Angles Migrating Cells Turn on Three-Dimensional Micro-Patterned Scaffolds by Live Cell Imaging with an Inverted Microscope, e-Journal Surface Science Nanotechnology, 12, p289-298,2014.
10) Influence of the pattern size of micropatterned scaffolds on cell morphology, proliferation, migration and F-actin expression. Biomaterials sci. Nov. 28, 2013. First published on line.