研究シーズの内容
現在はストレス社会である。高度な情報化、効率化が求められる中で、人間というシステム自体が、その要求に耐えられなくなってきている。それどころか快楽主義的な社会風俗の中で我々の感情は煽られ、自身の欲求すらコントロールが難しくなっている。
こうした社会の中で,「ストレスを無くしポジティブに生きる」ことを目指すことは,欲求や感情をむしろ刺激し,かえってストレスを増加させる悪循環を招く。そこで,「ストレスと(を無くすのではなく)上手くつき合う」スタイルを学ぶことが今求められているのである。
マインドフルネスは,そうした価値観に基づく新しいライフスタイルを提案し,それを可能にするためのスキルを提供する,科学的アプローチである。本研究室では,このマインドフルネスに基づく心理療法やストレスケアの方法の効果を検証し,さらにそのメカニズムを明らかにする研究を行っている。
近年は,マインドフルネス認知療法(MBCT) という心理療法プログラムに着目し,「抑うつ傾向者」「人の支援に携わる専門家」「慢性疼痛患者」「緩和ケアを提供する医療従事者」等を対象にその効果を検証してきた。 さらに近年は,自殺対策にMBCTを活用することの有効性を検証している。
マインドフルネスを用いて,現代社会が抱える様々な問題の解決に挑戦したい。
実用化イメージ
分野および用途
● マインドフルネスを活用した、ストレス緩和のための運動プログラムの開発
● 日本版メタ認知的気づき評定法による“精神安定度”の解析と評価
関連する特許や論文等
1) Yoshinori Ito et al., Effects of Mindfulness-Based Cognitive Therapy for Professional Palliative Caregiver. Special Issue: Mindfulness-Based Cognitive Therapy,Original Article pp.6-21,2017
2) Rieko Katukura, Yoshinori Ito et al.,日本版メタ認知的気づき評定法の開発,Japanese Society of Psychosomatic Medicine, 51:821-830, 2011