研究シーズの内容
世界で観光旅行に出かける人が増えるにつれ、世界的に危機管理の重要性が高まっている。
危機は、「仮想的危機」「潜在的危機」「顕在的危機」の三段階のプロセスに区分されている。また、危機の発生には、「自然発生的危機」と「人為発生的危機」があり、自然災害などの自然発生的危機、危機の規模にもよるが、比較的復興が早く、テロや治安悪化などの人為的に引き起こされる危機は長期間に及ぶと言われている。過去の例でも、政治の混乱による治安の悪化や衛生状態に不安があるなどの人為的原因による観光地の危機は復興に時間がかかっている。また、誤った情報や情報不足など間接的な原因により危機が発生することもある。特に観光については、誤った情報や偏った情報などによる風評が大きな被害をもたらすことがある。
2012年9月にに開催されたUNWTO(世界観光機関)観光危機管理会議では、従来の観光危機管理は危機対応と復興に焦点が集中しており、防災・減災対策等の取り組みが不十分だと指摘する意見が上がっている。世界水準の観光・リゾート地を目指す沖縄県としては、今後、災害や風評などにより危機が生じる可能性があるという前提にたって、危機管理対策を強化することが必要である。現在は、台風対策と地震・津波対策が中心だが、国際化が進む沖縄観光の現状に鑑み、様々な危機を想定したうえで観光分野に特化した「観光危機管理計画」を作成する必要がある。
本研究では、日本における観光危機の原因と傾向等を整理したうえで、観光危機サイクルの分析を行い、観光分野における観光危機管理計画の作成を提案するとともに、沖縄観光の危機管理の具体的方策について考察してる。
※沖縄県においては、平成26年度に「沖縄県観光危機管理基本計画」、平成27年度の「沖縄県観光危機管理実行計画」を策定している。
実用化イメージ
•地方自治体における観光政策策定、観光振興計画策定、観光戦略立案
•地方自治体における観光危機管理計画およびアクションプランの策定
•観光産業の各分野、各地域、施設における危機管理マニュアルの作成
•観光産業、観光関連産業、観光行政に関連する人材育成
関連する特許や論文等
著書
・『沖縄観光進化論』 琉球書房, 2012(Dec.) .
論 文
・『新たな視点での観光政策研究』 日本交通公社,観光文化, 232号, P57-58 , 2017(Jan.)
その他(琉球大学研究者データベース参照)