研究シーズの内容
本土復帰後の沖縄観光は、年代ごとに、1970年代の「黎明期」、1980年代の「発展期」、1990年代の「発展拡大期」、2000年代の「変動期」ということができるだろう。本研究では、この40年間の歩みを振り返り、沖縄観光の成功要因を以下の10項目にまとめている。
①本土復帰後、沖縄振興開発特別措置法に基づく施策によって、道路や空港、港湾などのインフラが大きく改善されたことや、観光地の整備が進み観光客受け入れ体制が整ったこと。
②沖縄国際観葉博覧会とその後の航空会社および旅行会社によるキャンペーンによってビーチリゾート地として人気を集めたこと。
③沖縄本島西海岸をはじめ各地でホテル建設が進み、受け入れ体制が整ったことや旅行業関係者の積極的な取り組みが功を奏したこと
④航空会社に対する航空機燃料税、着陸料及び航行援助施設利用料が軽減され、航空運賃の軽減と航空路線の拡充が図られたこと。
⑤修学旅行やスポーツキャンプ、イベント、リゾートウェディングなどの誘致により、新たな客層の開拓や平準化対策として効果を上げてきたこと。
⑥沖縄サミットを契機に国際会議開催地としての知名度が向上したことや、MICEの適地としての関心が高まっていること。
⑦首里城復元や沖縄美ら海水族館のオープン、アウトレットモールや免税店、体験施設などの観光施設が充実してきたこと。
⑧沖縄県民のライフスタイルや離島への関心が高まったこと。
⑨外国航空路線拡充やクルーズ就航、積極的なプロモーションにより外国人観光客が増加したこと。
⑩官民一体となった観光危機管理が一定の効果を上げたこと。
さらに、成功を支えた力として、「観光業界の取り組み」「観光政策」「県民参加」の3つをあげ、それぞれの取り組みを時系列で整理することで、新しい時代の沖縄の観光産業振興への期待を政策的な観点から取りまとめている。
実用化イメージ
•地方自治体における観光政策策定、観光振興計画策定、観光戦略立案
•観光産業、観光関連産業、観光行政に関連する人材育成
•観光教育プラグラム開発(沖縄観光の歴史に関する観光客向けセミナーなど)
関連する特許や論文等
著書
・『沖縄観光進化論』 琉球書房, 2012(Dec.) .
論 文
・『新たな視点での観光政策研究』 日本交通公社,観光文化, 232号, P57-58 , 2017(Jan.)
その他(琉球大学研究者データベース参照)