悪性腫瘍 放射線診断学 核医学 腫瘍学 がん FDG PET Radiomics 機械学習解析 糖代謝の亢進は、がん細胞の特徴の一つ。ブドウ糖類似体であるFDGを用いて糖代謝を画像で非侵襲的に捉える検査がFDG PETです。FDGPETはがん診療において、がんの有無、加療前の病期(ステージ)診断など重要な役割を担っています。私たちはFDG PET画像の特徴量を人工知能/機械学習などを導入したradiomicsにより解析することで、悪性度・がん遺伝子発現等のがん特性との関連性を解明しています。最適な個別化医療につながる画像解析法を確立することを目指しています。 我々は、FDGPET画像特徴量とがん特性との関連性について研究しています。テクスチャー解析を代表としたradiomics解析などの高度な画像解析によって得られるPETの画像特徴量が、様々ながんの悪性度や病期診断、治療効果判定に有用であることを明らかにしてきました(図1.EurJNuclMedMoImaging2017)。 さらには、人工知能/機械学習解析の医学応用にも取り組み、FDGPET画像特徴量を用いた機械学習モデルが、子宮癌や頭頚部癌の予後予測に有用であることを明らかにしました(図2.MolImagingBiol2023)。現在は、FDGPET画像特徴量を用いてがん遺伝子発現の予測モデル構築など、個別化医療につながるような研究に取り組んでいます。 近年は患者のがん組織等から、がんに関連する遺伝子異常などを調べ、個々のがん特性をもとに最適な治療方針が選択されるようになりました。本研究により、FDG PETの放射線特徴量とがん特性との関連性を解明できれば、組織を採取せず非侵襲的に、患者個々にあった最適な治療方針につながることが期待されます。開発した画像解析法は、既存の治療薬の有効性の検証・予測のみならず、画像情報とがん特性との関連性をもとに新たな治療薬の開発の一助になる可能性も期待されます。 ●国際学会(Society of Nuclear Medicine等)や国際誌(EurJ NuclMed Mo Imaging等)への発表を積極的に行ってきました。●PET画像特徴量の臨床応用を進める上で技術・資金提供、共同研究が行える連携先を求めています。 PET画像特徴量とがん特性の関連性を研究、個別化医療に繋がる解析モデルの開発が目標です。症例の多い医療機関、AI等工学系の専門家や企業等、共同研究を行う連携先を求めています。医薬品開発への応用も期待できます。
PDFファイル:56-Mf-nakajou-med-SDGs3.pdf