消化器がん 消化器外科学 消化器がん 分子生物学 蛍光ガイド下手術 センチネルリンパ節 インドシアニングリーン リンパ節微小転移 リンパ節転移の有無は癌の重要な予後因子ですが、通常の病理検査で指摘されない微小転移も存在し、術前画像によるリンパ節転移の診断精度も高くはありません。一方、赤外蛍光観察下では術中に癌細胞が原発巣から最初のリンパ流を受けて転移するセンチネルリンパ節を可視化できます。乳癌では臨床応用されているセンチネルリンパ節理論の概念を消化器癌に導入し、蛍光ガイド下でリンパ流検索やリンパ節転移診断を行い安全性と根治性が担保された縮小手術を確立することが本研究の目的です。 ◇センチネルリンパ節理論とは?●センチネルリンパ節とは癌(原発巣)から最初のリンパ流を受けるリンパ節●センチネルリンパ節から癌の転移が形成される●センチネルリンパ節に転移がなければ、それ以外のリンパ節にも転移は無い◇センチネルリンパ節ナビゲーション手術の実際の手技●インドシアニングリーン(ICG)注入:手術当日に内視鏡下に腫瘍周囲にICGを注入●赤外蛍光観察(腹腔鏡):センチネルリンパ節の同定●センチネルリンパ節郭清:センチネルリンパ節を含むリンパ流域を郭清 ◇リンパ節転移診断 *摘出したリンパ節の転移を調べる ●通常の病理学的検査 ●特殊検査(分子生物学的・遺伝子学的手法)◇分子生物学的手法(サイトケラチン免疫染色)◇赤外蛍光観察によるリンパ流検索(大腸癌への臨床応用) 消化器癌で赤外蛍光ガイド下のセンチネルリンパ節理論に基づくリンパ節郭清の個別化が可能となれば、従来より切除範囲を縮小し神経を温存した機能温存手術を行えるため、術後の食事摂取量や体重の速やかな回復が期待できます。さらに癌への根治性も担保する低侵襲治療が行えます。早期胃癌に対しては腹腔鏡・内視鏡合同手術による胃部分切除術が定型化されており、当院で手術した全症例で再発もなく経過観察中です。本研究の保険適用を目指すと共に、大腸癌等への応用も検討中です。 ●当教室は、本研究に関する多施設共同試験(先進医療)に参加し、多数の症例を登録してきました。●本研究に関連した総説論文や原著論文を32編発表、多くの国際・国内学会発表も行っています。本研究に関連したアメリカ留学も積極的に行ってきました。 全国で実施した共同臨床試験に長年参加し、数百の症例を登録。現在、保険適用に向け経過観察中です。早期胃癌のリンパ節転移を正確に診断し、最小限の切除で機能の温存と根治を担保する治療法の確立を目指しています。
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