リハビリテーション リハビリテーション医学 臨床神経生理学 全身振動装置 振動刺激 痙縮 脳卒中 脊髄損傷 脳卒中や脊髄損傷による障害の一つが痙縮です。痙縮は筋肉が緊張し過ぎて起こる手足のつっぱりやこわばりで、動作や歩行の妨げになります。リハビリテーションでは薬物療法や注射、温熱療法等を用いて痙縮の治療を行いますが、十分な効果が得られにくいことも多くリハビリの阻害要因になっています。痙縮の治療に振動刺激が有効であることが最近分かってきました。我々は筋力増強用の全身振動装置を安全に用いる方法が下肢痙縮の軽減に有効なことを報告し、その機序を研究しています。 ●全身振動装置による刺激(Whole Body Vibration:WBV)の効果を計測フィットネスクラブ等でよく使われている全身振動装置は、左の写真のように振動板の上に立って全身の筋力を増強するものです。脳卒中や脊髄損傷の患者さんは筋力やバランス低下のため、振動板の上に立つことが困難です。そこで下肢痙縮のリハビリ時に右の写真のように座った状態で、下肢全体に振動刺激を行うようにしました。この方法は安全に治療を行うことができ、下肢のつっぱりを軽減して、足の動きを良くすることができます。現在、筋電図や磁気刺激、脳波を用いてこの振動刺激が脊髄や脳に与える影響を調べています。強力な振動刺激が、つっぱりや麻痺した足の動きを良くするメカニズムを解明し、将来、他の治療法と組み合わせて、痙縮や麻痺や感覚障害の治療に用いることを目的としています。 足への振動刺激が、筋肉のつっぱりや歩行に良い影響を与えることが、明らかになってきています。全身振動装置を座位で用いると、強力な振動刺激を安全かつ下肢全体に与えることができます。我々の治験では痙縮抑制に加え、関節可動域や歩行速度の改善効果もありました。WBVが脊髄や脳に与える影響を明らかにすることで、より有効な治療法を開発できると考えています。末梢の電気刺激や運動療法、脳への非侵襲的な刺激法と併用し、より大きな治療成果を引き出す可能性もあります。 ●脳卒中や脊髄損傷のリハビリテーションにおいて振動刺激や電気刺激を積極的に用いています。その作用機序を解明し、より良い治療法を開発するため、経頭蓋磁気刺激や神経生理的手法を用いた研究を進めています。 先進的リハビリテーション治療を研究、脳卒中などに実績豊富な講座です。リハビリ専門医や施術者、脳科学の研究者等と連携した研究が可能です。リハビリに特化した下肢用振動装置の開発にも協力できます。
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