防波設備 海岸工学 津波工学 海洋波動 津波 非線形内部波 流体と構造物の相互干渉 気象に起因する波動 海水流動 etc. 水面に浮かぶ物体を「浮体」と言います。浮体は、その下方を水が流れるため、環境に優しく、また,曳航が可能であるという特長を有しています。浮体のうち、波など外力の作用でゴム板のように変形する浮体を「弾性浮体」と呼びます。巨大な氷の板のように、海に浮かぶ大型の浮体構造物は弾性浮体の性質を示します。弾性浮体に入射した大きな波は幾つかの波に分裂し,その結果,波の高さが低くなります。この弾性浮体の「消波機能」は津波等からの防災に活かせます。 本研究室では,弾性浮体を用いて,津波や風波の波高を低減する手法を研究しています.図1に示すように,水域に弾性浮体を浮かべます.この弾性浮体に,津波が入射する場合を見てみましょう.図2に,波形の時間変化の数値解析結果を示します.弾性浮体によって波が分裂し,最終的な波の高さが低減します。 また,弾性浮体の消波効果は,入射する波が,大きく,険しいほど,大きくなります.そこで,図3に示すように,まず,波を潜堤で大きくしてから弾性浮体に入射させると,図4に示すように,潜堤を併用しない場合よりも,最終的な波の高さを低くすることができます. 波の専門家として津波等の生成を解析、防災への活用を検討しています。浮体構造物は堅固な防波堤より効率的な防波設備になり得ます。また、風力・太陽光発電の基地や物流ターミナル、海上空港等への利用も考えられます。波のエネルギーを弾性浮体によって、再生可能エネルギーに変換する研究も行われています。水域に適した弾性浮体を設置することによって、水の循環を妨げずに(環境)、背後の波の高さを低減しながら(防災)、様々な水上利用を行うこと(開発)が期待されます。 ●弾性浮体と潜堤を併用した消波構造物に関する特許を出願しています。●潜堤を用いて波の向きを変える研究やサーフィンに適した波を造る研究も行っています。●防災セミナー等での講演も多数行っています。 海岸工学・津波工学の研究者。津波の現地調査も国内外で行い、高い知見を有しています。共同プロジェクトで本研究を推進する自治体・機関・企業等を求めています。津波の生成メカニズム等、防災についての講演も可能です。
PDFファイル:40-EV-kakinuma-eng-SDGs11.pdf