製造技術 機械力学 機械振動学 自励振動 自励振動 時間遅れ 多角形化 パターン形成 製鉄機械、抄紙機などのロールや自動車のタイヤなどには、接触回転するロールの表面に偏摩耗や粘弾性変形による凹凸が発生した結果、ロールが多角形状に変形して大きな振動が発生する現象が起きます。穴あけ加工におけるこの現象は、工具が振動することで加工穴がきれいな円形とならず多角形化してしまう問題を引き起こします。これらの現象を『時間遅れを原因とする自励振動*』として簡潔な解析モデルを考案。モデルを用いた発生メカニズムの解明と、防止対策の検討を行っています。 現在は、主としてBTA深穴加工における「ライフリングマーク(スパイラルマーク)(写真【1】)」発生現象のメカニズム解明と防止対策に取り組んでいます。BTA深穴加工とは、専用の工具をボーリングバーと呼ばれる細長い中空棒の先端に取り付け、被削材とボーリングバーの隙間に高圧の切削油を注入して、工具と被削材の潤滑・冷却および切り粉の排出を行う加工法。加工中に発生した振動によって、多角形化したらせん状のパターンが加工穴表面に形成される現象=「ライフリングマーク」が、品質管理上の問題となっています。このライフリングマーク発生現象を『時間遅れによる自励振動*』としてモデル化し、発生メカニズムの解明と防止対策の検討を行っています。防止対策としては、新型の対策工具(写真【2】)を提案し、標準の工具で加工した穴と新型の工具で加工した穴の表面形状を比較(図【3】)することにより防止対策の効果を検証しています。多角形化した製鉄ロール*自励振動とは、振動的ではない外力が系自身の特性によって振動的なエネルギーに変換されて引き起こされる振動現象。時間遅れとは、ある時刻に発生した変形等の現象が一定時間後に影響を及ぼすこと。これが特定の条件を満たすと不安定な自励振動を引き起こす。多角形化したタイヤライフリングマーク【1】 対策工具【2】加工穴の真円度(左:標準工具,右:対策工具)【3】加工穴の多角形化のメカニズムが解明され、防止対策が確立されれば、穴あけ加工の精度向上および効率化が期待できます。加工穴の多角形化現象は、BTA深穴加工以外の様々な加工でも発生しているため、今後は他のタイプの穴あけ加工への展開も考えています。また、穴あけ加工以外でも、周期的なパターンを生じるような現象には、『時間遅れによる自励振動』が原因となっている可能性があります。同様の現象が問題となっている、様々な分野への応用が期待できます。 ●特許第4951788号:深穴加工用先端工具のガイド部配置構造及びガイド部配置方法●特願2013-001568:切削加工用先端工具のガイド部配置構造及びガイド部配置方法 機械に発生する振動現象のメカニズムの解明と防止対策が研究テーマ。BTA深穴加工等では企業との共同研究が進んでいます。原因の究明など、機械の振動でお困りの製造現場の課題に対応できます。ご相談ください。
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