生命計算化学 計算化学 理論化学 インシリコ創薬 フラグメント分子軌道法 感染症 タンパク間相互作用 インシリコスクリーニング 分子や原子もしくは電子が従う物理方程式を解くことで、様々な化学的現象を理解・予測する研究分野を「計算化学」と呼びます。多くの場合、これらの物理方程式は非常に複雑なので、コンピュ-タを利用して研究を進めることになります。我々の研究室では、生命科学に関する諸問題を計算化学を用いて研究・解決し、社会へ貢献することをめざしています。特に、独自の生体分子量子化学計算プログラム「PAICS」の開発と、医薬品開発などへの応用を主要な研究テーマとしています。 量子化学計算プログラム「PAICS」の開発我々の研究室では、独自の量子化学計算プログラム「PAICS」の開発を進めています。PAICSでは「フラグメント分子軌道(FMO)法」と呼ばれる方法を採用することで、生体分子のような巨大分子の量子化学計算を可能にすると共に、高い並列計算性能を実現しています。また、入力ファイルの作成や計算結果を解析するためのユーザーインターフェースである「PaicsView」の開発も進めています。新たな計算理論の開発我々の研究室では、独自の計算理論の開発も進めています。一例として、タンパク質と薬剤の相互作用を量子化学を利用して高速かつ高精度に解析する計算方法や、コンピュータを利用して抗体を設計するための理論開発などを進めています。医薬品開発などへの応用独自に開発したプログラムや計算理論を、感染症の新薬開発や抗体医薬品開発に応用しています。すでにプリオン病、インフルエンザ等での実績があります。 近年のコンピュータ技術の進歩は目覚ましく、研究者が利用できる計算機資源は、今後さらに増加すると予測されます。我々の研究室では、独自のプログラムと計算理論を開発することで、生命科学分野における計算機資源の有効活用を推進したいと考えています。特にコンピュータを利用した効率的な医薬品設計法の確立を目指して、複数大学の医学系研究者等と共同研究・プロジェクトを推進しています。これに成功すれば、薬価の低減、さらには医療費の軽減にも貢献できると期待されます。 「PAICS」は国内外から229件のユーザー登録実績を挙げています(2022年7月現在)。興味のある方は、是非お問合せください。PAICS:http://www.paics.net/paics_about.html●コンピュータを用いた化合物スクリーニングや抗体設計といった研究にも取り組んでいます。 生命科学を支援する計算化学の研究者。独自開発のPAICSはFMO法を採用し海外でも人気です。新薬等の物質探索に応用できる計算理論を開発。医学等他分野の研究者、医薬品・食品企業等との共同研究を推進しています。
PDFファイル:31-Ls-ishikawa-eng2-SDGs3.pdf