分子疫学研究 分子疫学 がん 循環器 分子疫学研究 生活習慣病 予防 環境要因 宿主要因 相互作用 鹿児島県のあまみ島しょ地域は長寿者の割合が高いことで有名ですが、中高年世代では生活習慣病が増加しています。島は医療資源が限られていることもあり、生活習慣病予防の重要性が高まっています。その一方、長寿地域あまみには生活習慣病予防に有益な環境要因や体質が存在する可能性があり、学術的にも興味ある地域です。私達はあまみ島しょ地域をフィールドとして、生活習慣病予防に関する生活習慣や体質を明らかにするための分子疫学研究を、全国の9施設と共同で行っています。 分子疫学研究:集団を対象に健康に関わる環境要因を明らかにする疫学研究に、遺伝子レベルで病因を解明する分子生物学を取り入れた新しい研究分野住民健診を受診した35~69歳の住民に協力により調査を実施研究対象者は、あまみ5島の1市9町の住民健診を受診した住民の方で、平成1720年の4年間で5,344名の方々に研究に参加して頂きました。調査は市町村と健診機関のご協力を頂き、研究への同意を頂いた方から、健診時の生活習慣調査、遺伝子を含む採血と採尿、動脈硬化測定を行い、健診結果を提供して頂きました。その後、5年後に同じ調査をするとともに、毎年、罹った病気の調査や転出、死亡の追跡調査(20年間)を行います。これらの調査で得られたデータをもとに、生活習慣病に罹った人と健康な人の生活習慣や遺伝子を用いた体質を解析して、その予防に有効な知見を調べます。平成22年から、2回目の調査が沖永良部で始まります。2回目の調査結果を初回と比べることにより、動脈硬化が進みやすい人と進みにくい人の生活習慣や体質が明らかになると考えられます。 遺伝子多型:遺伝子の塩基配列が人によって異なる遺伝子の個人差のこと。アルコール耐性やがん、肥満などとの関連が解明されつつある。あまみ特有の食習慣など地域の特性を踏まえた、生活習慣病予防に有用な情報が得られます。さらに、遺伝子多型を用いた体質を加味することにより、同じような生活習慣を取りながら病気に罹りやすい人と罹りにくい人がいることの説明が可能になり、病気に罹りやすい人への個人の体質に合わせた予防をきめ細かく行うテーラーメード予防法の確立に貢献できます。また、あまみで長期の追跡研究を行うことにより、長寿要因を明らかにする研究に発展させることが出来ます。 ●本研究は日本多施設共同コーホート研究(JMICCStudy)における共同研究(文部科学省/新学術領域研究)の一環も担っています。本学を含む10施設で約10万人を対象として20年の追跡調査が行われます。 20年間あまみを調査し、生活習慣病予防と長寿に有益な生活習慣と遺伝子要因を研究。市町村や医療機関、住民の熱心な協力に感謝します。研究成果は随時、地域の人の健康づくりに役立てるようお返ししていきます。
PDFファイル:3-Is-takezaki-med3-SDGs2.pdf