EAEVE国際認証 国際獣医学 獣医学教育学 国際化 グローバリゼーション 国際認証 教育改革 獣医師 近年のグローバル化の流れの中で、新型コロナウイルスの世界的流行に代表される越境性の動物由来の感染症制御や、食品の輸出入の拡大に伴う防疫需要の増大と輸入検疫の厳密化に対する社会ニーズが高まっています。また動物医療の高度化や細分化も進む一方です。その結果、獣医師を育成する獣医学高等教育についても国際水準化の必要性が増しています。鹿児島大学共同獣医学部は、欧州獣医学教育機関協会(EAEVE)の国際認証をアジアで初めて取得し、世界水準の教育を提供しています。 【1】「世界の獣医師ニーズの動向調査」世界の獣医学教育の歴史は軍馬や農耕馬を中心とした馬の診療に端を発し、その後牛や豚、鶏といった畜産動物に対する診療と畜肉に対する食品衛生管理業務、さらに第二次世界大戦後に主に先進国において拡充していった犬や猫などのペットに対する獣医療の提供や、近年の越境性伝染性疾患や世界的な人畜共通伝染病の研究と防疫への対応など、時代とともにその職域は広さと深さを増しています。【2】「獣医学教育の国際比較研究」獣医学教育は欧米と日本でそれぞれ独自の発展を遂げていった一方、近年のグローバル化の環境の中で世界基準の対応を求められる状況においては、教育システムや教育水準の違いのためにギャップが生じています。この事は世界共通の称号である獣医師として業務を行う上で大きな矛盾となるため、欧米の獣医学教育機関における教育システムの比較調査研究を行い、日本の獣医学教育の欠陥部分を明らかにしました。そのうえで、得られた結果を元に学部運営組織、財政、教育カリキュラム、施設設備、(動物や図書などの)教育学習資源、入試・進級と学生生活、学生(成績)評価、スタッフ、研究と卒後教育、さらにはそれらの成果評価と品質保証システムを改善し、先進的かつ持続的な教育改革に還元しています。【3】「獣医学教育国際認証の取得」欧米の獣医学高等教育機関では、国際的かつ公的な第三者評価機関の評価を受審し獣医学教育国際認証を取得することによって、世界基準の教育の質の担保の実証が一般化されています。鹿児島大学共同獣医学部は、2019年に欧州獣医学教育機関協会(EAEVE)による国際認証を山口大学、帯広畜産大学、北海道大学と共にアジアで初めて取得しました。 本学部はカリキュラム改変、動物病院・動物実験施設の新築、臨床実習の拡充など多岐に渡る改革に十年来取り組み全90項目の欧州基準を達成、EAEVE認証を取得しました。獣医師業務の全てに国際基準の教育を行うことの認証は、世界に通用する人材育成の在り方を提示します。「獣医学教育の国際化」から得られる知見は、外国語教育に傾きがちな国際人育成に新たな視点を与えます。また日本や鹿児島の地域特性を生かした教育プログラムの開発により、地域の産業育成にも貢献できます。 ●上記の取り組みは文部科学省における高等教育の国際化のモデル事業として行われています。●「国際教育・国際化とは何か」を模索している教育現場や、他分野での国際認証の取得を目指している企業や公的機関と意見交換や講演が可能です。 欧州教育認証の取得により、感染症制御や食の安全にも関わる国際基準の獣医師育成機関と認定。先進的な教育改革を推進します。世界に通用する人材育成と共に、畜産県鹿児島の地域活性化にも大きく貢献する取組みです。
PDFファイル:28-Ec-arimura-agr.pdf