マーケティング 水産経済学 マーケティング戦略 消費者マインド 食品価値 社会調査 食の簡便化や低価格志向といった意識が高まる中で、家庭での水産物消費量は減少傾向にあります。一方で、祝いの席での高級食材や健康志向の高まりによる水産物需要は依然旺盛で、「消費現場の課題」に即した商品開発や売り場作り次第で、販売促進の余地があることを示しています。東日本大震災の被災地復興に携わった経験から始まる本研究は、「消費現場の課題」を社会調査の手法を用いることで明らかにし、効果的なマーケティング戦略の立案に貢献する情報の提供を目的としています。 ①水産物消費の実態の把握日常生活において、水産物がどのように消費されているかを把握します。例えば5W1Hに沿って、消費者が「いつ(When)」「どこで購入し(Where)」「誰と(Who)」「何を(What)」「どのような目的で(Why)」「どうやって食べているか(How)」を、アンケート調査等の手法で把握することで、生活様式に合った商品イメージが明らかになります。②水産物を消費する際に感じる課題の把握商品開発では、自社技術を最大限に活かした商品開発を行うプロダクトアウトと、消費の課題解決を目的とするマーケットインの考え方のバランスが重要になります。本研究では、特にマーケットインに主眼を置いて、例えば、消費者が水産物を消費する際に「大変だと感じる点」(消費現場の課題)について、インタビュー等の手法で得られた回答を分析することで、問題点を整理します。調理人等のビジネス消費者、海外の消費者も含めた課題把握も重要です。③消費者に「買いたい」と思わせる商品特性の把握自社商品が消費者のどのような課題に応えるものなのかを明確にすることが、商品開発では重要です。しかし消費者の要望全てを商品に反映することは、価格やコストの観点から困難です。消費者の「買いたい気持ち」(購買意欲)を大きく掻き立てる商品特性(簡単調理、鮮度、味、安全性等)を、アンケート調査等の手法で得られた回答を基に分析し、数値として把握することで、商品開発や特性のアピールにおける優先順位が決定できます。 多種多様な水産資源に恵まれ、それらを適切に食卓へ届ける流通機構が発達した日本では、水産物を用いた商品開発には未だ大きな可能性が秘められています。本研究は、こうした自国や地元の資源を最大限活用するためのマーケティング戦略立案への貢献が可能です。また、食品関連の事件や事故(食中毒や環境汚染等)が発生した際の消費者マインドへの影響や、その影響がどの程度継続するのかを調査することで、行政における対策立案に寄与する基礎情報を提供することにも協力できます。 ●自社製品が『消費現場の課題解決になり得るのか』という観点から、商品企画を一緒に考え改善することで、商品開発・販売促進に協力できます。●食品関連の事件・事故が、消費者マインドに及ぼす影響を把握する調査が可能です。 東日本大震災の被災地水産業の復興支援から始まった研究。商品の開発や販促段階での、生産者と消費者のミスマッチ解消が目的です。地域の水産物に付加価値を付けて発信したい、事業者や自治体の活動を支援できます。
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