音声コミュニケーション 行動神経科学 行動神経内分泌学 生物学 動物行動学 実験心理学 音声コミュニケーション マウス音声コミュニケーション 超音波発声 ドーパミン 求愛 性 社会行動 我々は感情表現をします。また、その感情表現のバリエーションにも個性があります。そもそも我々はなぜ感情表現をしてしまうのでしょうか。感じたこと、考えたことを誰かに伝え、それを相手が受け取ることでコミュニケーションが成立します。私たちは感情表現の基礎的なメカニズムを生物学的に探求するために、マウスの音声コミュニケーションを用いて研究を進めています。近年、マウスが多様な音声コミュニケーションを持つことが判明し、注目を集めている分野です。 近年、言語発達の遅れやコミュニケーションに障害が観察される自閉症が注目され、その基礎研究を行うためにマウスを用いた社会行動の解析が盛んに行われています。その指標として、マウスの音声コミュニケーションを用いた、疾病メカニズムの解明や治療法の開発が探索されています。 一方で、マウスの音声自体がどのような「意味」を持っているかということは、これまで曖昧なままでした。マウスの音声コミュニケーションは超音波でなされ、主に仔マウスが母を呼ぶ声と、オスがメスに求愛する際に発する声が知られています。 私どもは、オスからメスへの求愛に関して、次のようなことを見出してきました。1.遺伝的に均質な実験系統のマウスを用いているにもかかわらず、発声回数と使用される声の種類(音節・シラブル)に大きな個体差があり、発声の多い個体ほど複雑なシラブルを示す。2.発声の多い個体は性的動機づけが強く、意欲を司ることで知られるドーパミン神経の活動が活性化している。3.あまり発声を示さない個体も、一度鳴き始めると、複雑な音声を示す。 性的動機づけの個体差やその時々の気分などによって、マウスは発声のパターンを変化させます。つまり、感情表現を行っていると考えられます。どのような脳の活動パターンが感情を生成するのか。このことは、神経科学の根源的な問いですが、今後、神経活動イメージングなどを用いて音声パターンと神経活動のパターンを対比することで、その答えの一端に迫ることができると考えています。また発声の特徴=個体差がなぜ生まれるのかに着目し、個性の基盤を探る研究も進めていきます。 ●社会的ストレスが発声を低下させると言われ、発声が低いオスは繁殖効率が低いことを発見しました。心と体の関係を探る新たな指標と考えます。●音声の計測と解析に関する独自技術を有します。●様々な地域連携活動にも取り組んでいます。 マウスの音声コミュニケーションをテーマに、脳のメカニズムを研究しています。科学やアートがテーマの地域活動の運営にも参加。鹿児島の魅力や科学の面白さ等を発信する活動に協力できます。お問合せください。
PDFファイル:24-Ls-kanno-leh.pdf