児童福祉 憲法学 政治学 公衆衛生政策 憲法学 政治学 公衆衛生政策 社会福祉 児童養護 児童養護施設で暮らす子どもたちの「人生を豊かに育む教育」のあり方をテーマとする共同研究に、法学者の立場で参加しています。研究の中で、子どもの「性」の健康が、その後の「豊かな人生」を育むうえでとても大切であることに気づきました。施設という特殊な場での「性の問題」にいかに取り組むべきか。自身が専門とする憲法学の知見を活かし、子どもの「性と生」に関わる「成長発達権」の保障に関する問題点を明らかにし、あるべき地域連携の姿を探ることが本研究の目的です。  近年の児童養護施設での「性」を巡る問題子どもたちの間での性的トラブル、施設職員と子どもたちの間での「性的虐待」など…。児童養護施設では、子どもの成長にとても大切な、健やかな「性」を脅かす事例が散見されます。特に年少の段階での性的トラブルは「愛着形成」に深刻な問題が生じ、心身の健康を脅かす可能性が指摘されています。 法は万能か?このままでよいはずはありません。けれども安易に「法的解決」ともいかないようです。さまざまな事情で、親元でなく施設で暮らす子どもたちにとって、施設はまさに「家」。また「性」はとてもデリケートな事柄です。このような問題領域に、どこまで、どのようにして「法」が関わっていけるのか。法学、特に憲法学を専門とする立場で、研究しています。 地域連携と養護形態の変革憲法や国際人権の観点から、子どもたちは個人として「豊かな人生を育む」ための「成長発達」の権利を持っているとされています。「性」というデリケートな問題を見つめつつ、一人ひとりの健やかな個性を育むためには、施設と地域の連携、またその中で、施設内養護から家庭内養護(里親)へという流れが重要です。現状を分析し、あるべき制度像を探っています。 これまでの成果と今後取り組む課題「児童福祉と子どもの『成長発達権』ー法解釈・立法政策の検知からー」と題し、第81回日本公衆衛生学会総会・公募シンポジウム(2022年10月)で研究発表しました。日本の厚生行政は「施設内養護から家庭内養護(里親)へ」という基本方針を示していますが、地域によって取り組みに大きな開きが見られます。この点について、検討を深めたいと考えています。 本テーマは、保健師の資格を持つ実務家教員の方々と連携して進めています。「子どもの人生を豊かに育む」ことは、法的には「成長発達権」を守ることです。適切な愛着形成のためには「施設養護から家庭養護(里親)へ」の方向性が重要とされながら、里親委託率は低調で自治体間の差も顕著です。地域連携(地方自治体・社会福祉法人などの実務家)を通じた学術研究が重要となる分野ですので、実地から知見を吸い上げ、法解釈や制度運用に対する提言などの形で還元したいと考えています。 ●科研費・基盤研究(B)「児童養護施設における「人生を豊かに育むための教育」プログラムと地域連携システム」の研究分担者を務めています。●法学者の立場で、自治体の委員会(薩摩川内市情報公開・個人情報保護審査会)に参加しています。 憲法学の専門家として、児童養護施設での「人生を豊かに育む教育」研究プロジェクトに参加。子どもの成長発達権を守る制度運用への提言等を行います。地域の自治体・社会福祉法人等との連携が必要。ご協力をお願いします。
PDFファイル:22-Ar-mikami-leh-SDGs3.pdf