学級運営 学校教育(教育学)・教育方法学 学級運営 ヴィゴツキー理論 教師のユーモア態度 教育的シニシズム状況 日本において学級は、学習のための組織に留まらず、学校生活を営むうえでの基礎単位として位置づけられて、機能しています。つまり、学習・生活集団における人間形成の基盤です。私の研究は、学級における人間形成に関して、①子どもの人間形成を促す学級の機能とは何か、②日本における学級論はどのように変遷してきたか、そして、③現在求められる学級の人間形成とはどのようなものか、を明らかにすることを目的としています。 学級の人間形成論に関して、次の3つの観点から研究を進めています。1 子どもの人間形成を促す学級の機能とは何か?◯教師と生徒、あるいは生徒相互の関わりにおける教育的機能について、「どのような 他者がある個人の発達を喚起するのか?」という問いに取り組んでいます。◯教育と発達の関係を理論化しようとした旧ソ連の心理学者レフ・ヴィゴツキーや、 彼以後のポスト・ヴィゴツキアンの教育・発達論、バフチンの他者論・対話論をも とに考察を進めています。2 日本における学級論はどのように変遷してきたか?◯戦後日本の教育実践史の変遷について、とくに1970年代後半の変化としての教育 的シニシズム状況に注目して、「この状況から脱却する方途は何か?」という問いに 取り組んでいます。◯この問いについて、教育的シニシズム状況から脱却する一つの方途として、共著 『ユーモアとしての教育論』のなかでユーモアという教育的態度を提示しました。3 現在求められる学級の人間形成とはどのようなものか?◯現在の教育的シニシズム状況において、「新自由主義的な消費者個人主義でも、集団 主義的画一化でもない学級の人間形成論とは何か?」という問いに取組んでいます。◯この問いについて、公立中学校への長期的なフィールド調査から「〈他者〉の分か  らなさを許容すること」を成長と捉えることが、新たな人間形成のヴィジョンとし て肝要であることを示しました。 70年代後半からの社会の急激な変化の中で翻弄されてきた学校教育の課題を、特に中学校に焦点を当てて研究し、「学級」の人間形成論を展開しています。「教育的シニシズム」を脱却する手段を提示することで、学びから逃走する子どもたちやスクールカースト等々の問題を含む学級での人間形成について、解決策を示し得ると考えています。また、実際の学級経営や教師と生徒が関わる現場の状況改善に貢献することを期待して、研究を進めています。 ●『ユーモアとしての教育論−可笑しみのある教室へ』(現代書館)を共同研究の成果として共同執筆。教育的シニシズム状況に対抗する教師の教育的態度について論じました。 学校教育の基礎単位「学級」での人間形成の在り方を研究。現在の課題から脱却する現実的施策を提案することが目的です。フィールドワーク調査に協力いただける、中学校を求めています。興味のある方はご連絡ください。
PDFファイル:21-Ec-hirano-edu.pdf