口腔機能管理 予防歯科学 口腔衛生学 周術期 臨床疫学 口腔機能管理 酸化ストレス 抗酸化物質 口腔粘膜炎 化学放射線療法 炎症 癌の治療のための手段の一つとして,化学放射線療法を行うことが増えてきています。しかしその副作用として口内粘膜炎(口内炎)が発症し,患者の摂食・嚥下を困難にすることが問題となっています。近年,化学放射線療法時に発生する口腔粘膜炎に酸化ストレスと炎症が関与していることが分かってきました。本研究では,抗酸化物質の投与によって酸化ストレスと炎症を制御することで,副作用として発症する口腔粘膜炎の予防,進行抑制および治癒の促進を目指すことを目的としています。 正常から①酸化ストレス期,②炎症期,③潰瘍期となりますが,現状の口腔ケアは潰瘍形成後に行っています。現在の口腔粘膜炎の治療薄い脂質で被膜することで,痛みを緩和しています。【新たなアプローチ】酸化ストレスと炎症を制御し,より積極的な予防・治療周術期の患者などでの臨床研究で効果を確認し,口腔粘膜炎の治癒促進や進行抑制の新規の治療開発を目指しています。 口腔粘膜炎は治療が困難な疾患ですが,現在保険適用されているのは上図のように薄い被膜で口腔粘膜炎部を覆い,痛みを緩和する治療法です。そこで新たなアプローチである『酸化ストレスや炎症の制御』によって口腔粘膜炎の発症予防,進行抑制や早期回復を行うことが出来れば,患者のQOL向上が期待できるとともに,国民の健康にとって意義が大きいです。今後の口腔粘膜疾患の病態解明の一翼を担うとともに,オーラルケア関連市場に新たに参入し,事業化する可能性も示唆されます。 ●細胞培養実験・動物実験で各種の効果を確認後,周術期等の患者への臨床研究,さらには保険適用の新規治療の確立を目指しています。他大学の先生方との共同研究として,酸化ストレス制御のための抗酸化物質を探索しています。 根本原因である酸化ストレスに着目し、口腔粘膜炎にアプローチするとてもユニークな研究。社会実装に向け、新たな抗酸化物質の探索や、それを用いた製剤開発に取り組む企業との共同研究を求めています。
PDFファイル:20-Hl-tamaki-med-SDGs3V1.pdf