医療・福祉 作業療法学 認知症介護予防 認知症 認知刺激 興味ある活動 生活行為分析 高齢者の5人に1人が認知症を発症する時代です。「仕事にミスが多くなった」「同じことを何度も聴く」等が認知症の初期症状ですが,元気なうちから行っている運動や興味ある活動、日課(家事や庭仕事など)や対人交流等を続けていくことで、認知症の発症リスクは軽減されることが分かってきました。本研究では介護予防事業などで活用できる,運動と認知刺激を組み合わせた「拮抗体操」や関心ある活動の習慣化を図ることで認知症の進行を予防するプログラムを開発していきます。 高齢者に対して難易度の異なる「拮抗体操」(左右上肢や上下肢に対し相反する動作をリズミカルに切り替える二重運動課題)を実施し,近赤外線分光法(NIRS)を用いて前頭前野の血流動態を検証しました。その結果,体操が完遂できた方は,難易度に伴って左右両側の前頭前野背外側の活動性が高まりました。「拮抗体操」は前頭前野外側部を刺激する遂行機能課題として有用であることが示唆されました.拮抗体操認知症の介護予防に有用なプログラム 脳代謝を促す中等度の作業活動(例3-3.5Mets) 個別の目標を持てる習慣的活動(日課,IADLなど) 集団効果を利用した社会参加型活動                                            Mets:身体活動量の単位。安静時の何倍かで表す。IADL:買物、電話、家事、金銭管理など日常生活を送る能力。 ・介護予防事業の導入に活用しやすい簡便な体操を独自に開発し、「拮抗体操」と名付けました。難易度の異なる約30種類があるので、各高齢者の遂行能力に合わせた拮抗体操を選択することで効果的なプログラムを作成できます。成功率8割が脳活動の観点から有用とされています。・認知症の介護予防には認知機能を刺激する活動、目標を持った興味ある活動、集団効果を利用した社会参加型活動を組み合わせ、習慣にすることが重要です。適切な組み合わせを検討していきます。 ●認知症への早期支援を可能にする「手段的日常生活行為(家事や金銭管理など)分析表を用いたプログラム」や、「行動心理症状(徘徊や妄想など)軽減のための神経リハビリテーション」の開発にも取り組んでいます. 認知症の進行を予防するリハプログラムの開発を目指します。状況に応じた対処法を検討するには多くの事例の統計データが必要です。デイサービス等介護施設のご協力を求めています。講演やイベント等にも対応いたします。
PDFファイル:2-Mf-tabira-med.pdf