アメリカ文学 アメリカ文学 アメリカ文学 ロマン主義 ゴシック 南部 ジェンダー・セクシュアリティ 英語教育 『グレート・ギャツビー』や村上春樹の翻訳で知られるF.スコット・フィッツジェラルド(18961940)は、アメリカのモダニズム文学またロスト・ジェネレーションの代表的作家です。彼の作風はしばしば「ロマンティック」と称され,“romantic(ism)”という語とフィッツジェラルドの親和性は非常に高いものです。しかし世界文学史上、この語の指し示す対象は非常に幅広いものです。ヨーロッパ起源の“romanticism”が20世紀アメリカのモダニズム作家であるフィッツジェラルドにおいてどのような変遷を遂げ、彼独自の“romanticism”が生み出されたのかを研究しています。 1)「ゴシック」と「南部」ロマン主義という用語の指示対象は非常に広範なものです。そのため「フィッツジェラルド独自のロマンティシズムとは何か」というテーマを考えるにあたっては、より具体的な手がかりが必要となります。そこで私は、今までフィッツジェラルドが関連付けられることのなかった「ゴシック」(中世風の舞台立てにおいて貴族や僧侶などが暗躍する恐怖小説)という、主としてドイツおよび英国文学史上のもうひとつの伝統と、アメリカ独自の風土である「南部」という二つのテーマを設定しています。ゴシックはロマン主義の一部と捉えられ、フィッツジェラルドにはゴシックと分類できる作品がたくさんあります。彼はまた、南北戦争の敗者である南部に心を寄せて多くの作品を書きました。2)文学と歴史文学とは、人間が自ら用いる「ことば」を使って著するものですから、文学を人間の生活の流れ、すなわち歴史と切り離して考えることはできません。18世紀末の独立運動を経て19世紀にいよいよ本格的な国家の体裁を成してきたアメリカ。その19世紀のアメリカにおいて最大の出来事であった南北戦争、そしてその南北戦争をはさんで様相はそのつど変えつつも常に大きな二項を成してきた南部と北部、という構図を踏まえて研究しています。例えば奴隷を使った大規模農園の発達で貴族趣味が横溢した南部と、厳格な清教徒主義とそれゆえに発展した近代資本主義を旨とする北部といった対比です。とくにある種反近代的な独特の文化を有し、フィッツジェラルドの精神背景にも大きく影響している「南部」の歴史について掘り下げています。フィッツジェラルドの“romanticism”はその後のアメリカ文学、文化に脈々と受け継がれ、多くの作家に影響をおよぼしています。 『グレート・ギャツビー』初版本の表紙本研究による学習で、同じ英語という言語が使われているアメリカ文学と英国文学、その相関性について考えを深めることが出来ます。また英米のみならず、世界の中でのアメリカ文学という視点を持つことが出来るようになります。また英語で書かれた文学作品を徹底的に精読すると同時に、それが記された時代条件、作家の伝記的背景にも目を向けることで、ミクロとマクロ両方の視座を構える態度を養うことが出来るでしょう。英語能力の向上は言うまでもありません。 ●文学を取り入れた小中高の英語教科書作成や、医学を初め理系学生が文学を学ぶことで、専門性を豊かにできるテキストの作成を計画しています。●精神医学や心理学の臨床を行う研究者と連携して、精神の問題の克服に文学の力を発揮するアプローチ方法の研究を進めたいと願っています。 アメリカ文学を歴史的背景とともに学ぶセミナー等に協力できます。文学は精神の問題の克服に活かせる、との信念で心理や医学の臨床現場との連携を模索中。様々な分野の研究者との共同研究にも意欲的。ご相談ください。
PDFファイル:2-Ec-chiyoda-edu.pdf