社会人類学 南アジア 社会人類学 社会人類学 ジェンダー 家族 親族 トランス・ローカル・コミュニティ インド農村を主な調査地として、近代化による社会や経済の変化が村の暮らしに与える影響を研究してきました。村の農業やお祭りや結婚はどのように変化したのか、村人たちは近代化の流れにどう対応してきたのかなど、家族や親族や地域社会にとっての近代化の意味を考えてきました。近年、人の移動がますます活発化する中、社会はどのように変更・維持・再形成されるのでしょうか。地理的空間を超えた家族や親族、コミュニティのあり方を明らかにすることが研究目的です。 1インド学際的共同研究(経済史、美術史、ヒンディー文学、社会人類学)によって、南アジアの移住商人(マールワーリー)の実体と表象を明らかにする研究を組織しています。移動を本質とする人々は、南アジア研究ではあまり議論されてきませんでした。移動することで生業を立ててきた商人コミュニティに焦点をあて、彼らのビジネスネットワーク、親族や婚姻のネットワーク、コミュニティのあり方、そしてそれらの近年における変容を分析し、移動する人々の生存戦略やアイデンティティ、世界観を考察します。2ミクロネシアマールワーリー男性と故郷の屋敷、2012ポンペイ州ピンゲラップ島で調査を行っています。島の限られた資源を利用・管理する方法は、その社会における家族や親族の構造と密接に結びついています。1970年代まで島は増え続ける人口に対し、土地保有システム(土地を利用し、継承・相続する組織)を進化させながら対応してきました。その後、多くの人々が島外に移住し、島の人口が減少する一方で、現在は島の境界を越えてコミュニティが広がっています。資源管理に焦点を当てて家族・親族・コミュニティの変容を明らかにします。3奄美・喜界島土地や海や祭りや結(ゆい)などの「地域資源」の維持管理・活用の方法について調査しています。 グローバル化が進む中、人々の移動範囲が拡大しています。住民の移動によって伝統的な家族や親族、コミュニティを維持することが困難になり、変化を迫られる地域も増えています。しかし生まれた場所を離れることは、必ずしもつながりの喪失を意味しません。モノや情報や思いの交換によって関係が強まる場合もあります。地理的空間を超えたコミュニティのあり方を探求する本研究は、地域社会を存続・発展させる取組みへ応用することが可能です。 ●南アジアの移住商人についての学際的研究プロジェクトを組織しています。●鹿児島大学島嶼研究センターが組織する奄美群島調査及び、ミクロネシアの島々の調査プロジェクトに参与しています。 住民の移動とコミュニティのあり方を研究。住民が離れることで、存続困難な地域社会が増える中、境界を超えてコミュニティを維持する方法を探ります。空間を超えた地域力が人口減少の課題に取り組むヒントになります。
PDFファイル:15-Hu-nakatani-cip.pdf