海外支援 水産経済学 水産開発学 地域研究 島嶼 アフリカ タンザニア 水産加工業 水産物取引 生産者組織 東アフリカのタンザニアでは、カタクチイワシやキビナゴといった小魚の漁業・水産加工業が盛んです。カタクチイワシの干物は隣国への輸出品として、キビナゴ加工品は地域のタンパク源として重要。これらの水産加工業は地域住民の重要な現金稼得手段となっていますが、地域の生産者は買い手である卸売商人との関係で弱い立場にあります。地域の重要な産業が地域経済の活性化に繋がるためには、生産者の利益を守る仕組み、全てが人力の漁業・水産加工業の効率化等が求められています。 1.ザンジバルにおけるカタクチイワシ(ダガー※)加工産業タンザニア連合共和国のインド洋島嶼地域ザンジバルのウングジャ島(図1の南の島)では、カタクチイワシ(ダガー)の煮干しへの加工産業が盛んでです。地域の仲買加工業者は漁船からダガーを購入し、塩茹で後に天日乾燥させて煮干しを大量に生産しています。それらの大部分はコンゴ民主共和国(D.R.コンゴ)の卸売商人に販売され輸出されます。産地仲買人の帳簿分析とD.R.コンゴでの市場調査から、ダガーの価格形成を明らかにしてきました。産地仲買人の利益を守るには生産者組織の整備が求められています。※ダガー(dagaa)とはスワヒリ語で「小魚」の総称で、特定の魚種を指す単語ではありません。2.タンガニイカ湖のダガー漁へのLED集魚灯の導入効果タンザニア西部に位置するタンガニイカ湖では、淡水では珍しいニシン科の小魚(ダガー)が集魚灯漁業で漁獲されます。この地域のダガー漁では伝統的に集魚灯として灯油を燃料とする加圧式ランタンが用いられてきましたが、2010年代以降、急速にLED集魚灯が普及しています。LED集魚灯と従来の加圧式ランタンの漁船の操業収支を比較した結果、LED集魚灯での操業は燃料代の節約による操業収支の改善効果が高いことを明らかにしました。集魚効果も、LED集魚灯の方が優れている可能性も示唆されています。3.キビナゴ加工現場が抱える課題解決に向けてザンジバルのペンバ島(図1の北の島)では、カタクチイワシではなく、キビナゴが主な漁獲対象種です。しかし大消費地である都市部へのアクセスが悪いため、域内だけで消費されています。国際協力で建設されたキビナゴ加工施設は、地域住民のニーズと合わない商品開発が行われ、休眠状態に陥っています。現地ニーズにマッチした商品開発や施設の有効活用策を検討中です。 インド洋に面し湖や川も豊富なタンザニアでは、地域ごとに異なる種類の小魚(ダガー)が漁獲・加工され、重要な地域産業になっています。十年以上の現地調査により、産業の変遷や様々な課題が明らかになってきました。水産分野での途上国への国際協力や技術移転において、日本は存在感を示すことができます。鹿児島県の特産品、キビナゴ加工の技術提供や現地との情報交換も可能です。政治が安定し治安もよい、タンザニアのポテンシャルを活かした経済発展に協力したいと考えています。 ●タンザニアの漁業事情について、開発コンサルタントや国際協力の実務担当者に情報提供が可能です。●これまでにケニア、ザンビア、ウガンダ、マラウィ、ガーナ、セネガルなど、アフリカ諸国の水産業の調査をしている研究者と共同研究を行ってきました。 アフリカ有数の漁業国、タンザニアのダガー産業を十数年に渡って調査。途上国の地域経済の発展に資する、課題の解決策を検討しています。企業・機関等へ、アフリカ諸国の水産業の現地情報を提供することが可能です。
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