アグリ・バイオ 魚介類免疫学 魚病 免疫学 糖鎖生物学 宿主‐病原体相互作用 宿主認識 水産業 養殖業 魚の病気は養殖現場の課題の一つ。なかでも寄生虫を原因とする寄生虫症は、費用や労力のかかる対策しかなく漁業者に大きな負担となっています。私たちは「寄生虫がどのように魚に寄生するのか」が分かれば、この難問を解決するヒントが得られると考えています。特に、寄生の第一歩である「宿主となる魚を寄生虫はどのようにして見分けているのか」に着目した研究を進めています。将来的には、人工種苗を作り出す技術と組み合わせ、寄生虫に寄生されない魚を作ることを目指しています。 トラフグ養殖ではエラムシという寄生虫が問題になっています。エラムシはトラフグには寄生しますが、他のトラフグ属魚類、例えばクサフグには寄生しません。エラムシが寄生する部位であるエラについて遺伝子的距離が近いトラフグとクサフグとを比較することで、なぜトラフグにしか寄生できないのか、その謎を遺伝子レベルで解明しようとしています。 同様に、トラフグ養殖で問題となっているウオジラミに着目した研究も行っています。ウオジラミはトラフグ属魚類の様々な魚に寄生しますが、感染当初はほとんどすべてがヒレに寄生するのが特徴です。ヒレと皮膚を比較することで、なぜ寄生する部位に偏りが起こるのか、その理由を探っています。 多くの寄生虫は、なぜ特定の生物に寄生するのか?また、なぜ特定の部位に寄生するのか?これらの仕組みが分かれば、寄生を防ぐ方法の発見が可能となり、水産養殖業の被害を減らすことが期待できます。例えば、魚のある遺伝子が寄生虫の寄生と関わっていることが分かれば、その遺伝子が正常でなくなった(=突然変異をもつ)魚には寄生虫が寄生しないことが予想されます。そうした魚を育種することで、薬のいらない養殖業が実現できる可能性もあります。様々な魚種で応用可能な研究です。 ●エラムシの研究は、北里大学、福井県立大学、東京大学の研究グループと、ウオジラミの研究は、広島大学の研究グループと共同で進めています。●トラフグ以外の魚を対象に、他大学、自治体、産業界との共同研究を積極的に行う予定です。 養殖魚の寄生虫症を寄生の要因を探って防ぐ研究。寄生されない養殖魚の育種を目指しています。トラフグでの研究はブリ、カンパチ、ヒラメ等に応用可能。共同研究できる自治体、企業、研究機関等の連携先を求めています。
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