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オキナワモズクを原料とした環境にやさしい天然物由来の凝集剤 コモンズ 新技術説明会

国内特許コード P110001748
掲載日 2011年3月15日
出願番号 特願2010-234025
公開番号 特開2012-071293
登録番号 特許第5761735号
出願日 平成22年9月28日(2010.9.28)
公開日 平成24年4月12日(2012.4.12)
登録日 平成27年6月19日(2015.6.19)
発明者
  • 小西 照子
  • 榎 牧子
出願人
  • 国立大学法人 琉球大学
発明の名称 オキナワモズクを原料とした環境にやさしい天然物由来の凝集剤 コモンズ 新技術説明会
発明の概要 【課題】 海藻等の天然物資源を活用して、より効果的な水処理剤、凝集・沈殿剤を開発することである。特に、オキナワモズクから医薬・健康食品として有用な成分を抽出した残渣物から、上述した問題を含まない、工業的に安価で環境にやさしい水処理剤、凝集・沈殿剤を開発する。
【解決手段】 オキナワモズクを水中で粉砕して、その水溶液に酸を加えて酸性条件下でフコイダン等の水可溶分を抽出後、その残渣を原料とした水処理剤。
【選択図】図5
従来技術、競合技術の概要

飲み水や工場排水は原水を浄化処理して使用或いは廃棄している。その浄化で最も重要な役目を担うのが、凝集剤である。凝集剤は目で見えるごみや不純物は勿論、自然沈殿では中々沈殿させることが出来ない100ミクロン以下の微小な浮遊物も凝集させて回収する事が出来る。現在市販されている凝集剤は、無機系凝集剤及び高分子(有機)系凝集剤に大別できる。無機系凝集剤には、硫酸バンド(硫酸アルミニウム)、ポリ塩化アルミニウム(PAC)、硫酸第一鉄、塩化第二鉄、ポリ硫酸第二鉄などがあり、価格が安いこともあり量的には最も多く使われている。


高分子凝集剤には側鎖のイオン性に応じて、ノニオン系、カチオン系、アニオン系、両性系に分かれる。ノニオン系は、ポリアクリルアミドのように分子鎖上にイオン性基をもたないもの、アニオン系はカルボン酸基を側鎖にもつものとスルフォン酸基を側鎖にもつものであり、カチオン系はアクリル酸エステル系、メタクリル酸エステル系がある。両性系はそれらを両方もつものである。高分子系凝集剤は高分子量である為に、少量の使用で効果がある。我が国での総使用量は価格が高い為に無機系凝集剤の約100分の1程度である。


これらの凝集剤は、例えば、無機系凝集剤では凝集剤の使用量が多くなり、結果として処理スラッジの量が多くなるという問題や処理液中に金属イオン(アルミニウムイオンや鉄イオン)の蓄積があるという問題がある。また、凝集力を上げる為にアルカリの添加が必要という操作上の問題もある。一方、高分子凝集剤では、使用量も少なくスラッジが多くなるという点はないが、最適使用量の範囲が狭いことや、凝集反応に時間がかかる点が問題である。


更に、最近では上述の人工的な凝集剤ではなく、自然にやさしい天然由来の凝集剤が環境問題の観点から求められるようになってきている。例えば、ポリγ-グルタミン酸やその架橋物、ポリγ-グルタミン酸に磁性を持たせたもの(例えば、日本ポリグル(株))、アルギン酸、キトサン等の天然高分子を利用したものなどである。例えば、特許文献1には、海藻ペーストを汚水に添加・撹拌して、次いでカルシウム化合物水溶液を添加して汚水中の遺物粒子を凝集・沈殿させることを提案している。この方法は海藻をそのまますりつぶしてペースト状にして使用するもので、低コストで且つ泥水を凝集・団粒化させる能力が高いとしている([0015]、[0017])。しかし、海藻をそのまま粉砕してペーストにすると確かに余計な処理が不要で安価であるが、一方、海藻における水分散粒子の凝集・沈降のメカニズムは、粒子のイオンを中和することや粒子と疎水結合で凝集し、その後凝集粒子をイオン的な中和によって沈殿させることが想定される。その作用の主となるのは海藻中に含まれるアルギン酸成分のようなイオン性ポリマーが考えられる。しかし、海藻にはセルロース、各種の糖類、脂質、ミネラル等の凝集には効果がなく、むしろ二次汚染を引き起こす可能性を有する成分も含まれ、環境にやさしい天然物の海藻を使った水処理剤の使用で、却って環境汚染を引き起こす可能性もある。


特許文献2では、カルシウムイオンやマグネシウムイオンのような多価金属イオンとアルギン酸ナトリウム、フコイダン複合体(もずくから抽出したフコイダン+アルギン酸複合体)、ペクチン、グルコマンナン、こんにゃく粉末、めかぶ乾燥粉末、もずく乾燥粉末などの粘性高分子材料との併用しより泥水を浄化しようとするものである([請求項1]から[請求項19]、[0153]から[0166])。即ち、難沈降性微粒子を含む懸濁水中に多価金属イオンによって凝集するとともに水に対して易分散性を有する粘性高分子材料を均一に分散させた混合液を得たのち、この混合液に多価金属塩粉粒体またはその準飽和水溶液を投入し、急速攪拌混合して前記難沈降性微粒子の凝集・沈殿させることを提案している。しかし、こうした粘性高分子材料の抽出粘製には膨大な労力・費用がかかり、必ずしも低コストで出来るものではない。また、こうした材料を抽出する際の副産物の処理にも費用・環境負荷がかかる。例えば、実施例5([0157])ではもずくを80℃の熱水で2時間加熱したのち、もずくを取り出し、残った抽出液を真空乾燥させて得られたフコイダン+アルギン酸複合体を使用するとしているが、フコイダンは健康食品や医薬原料として価値が高く経済的にも問題があり、必ずしも水処理剤としては適当でない。

産業上の利用分野

本発明は、オキナワモズクからフコイダンを製造した残渣を原料とした天然物由来の環境にやさしい水凝集剤に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
オキナワモズクに、
0.05~2.0Mの濃度の酸を加えて遠心分離し、
上清液を除去して得られた残渣からなる
ことを特徴とする水処理剤。

【請求項2】
オキナワモズクに、
0.05~2.0Mの濃度の酸を加えて遠心分離し、
上清液を除去して得られた残渣を、
さらに炭酸ナトリウム水溶液に浸漬させて得られた
ことを特徴とする水処理剤。

【請求項3】
オキナワモズクに、
0.05~2.0Mの濃度の酸を加えて遠心分離し、
上清液を除去して得られた残渣を、
さらに炭酸ナトリウム水溶液に浸漬させて得られた水処理剤が、
セルロース含有量に対するウロン酸含有量が0.1以下である
ことを特徴とする水処理剤。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 登録
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