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電力供給設備の運用支援方法および装置 新技術説明会

国内特許コード P08A013918
整理番号 20
掲載日 2008年10月31日
出願番号 特願2006-242017
公開番号 特開2008-067481
登録番号 特許第4203602号
出願日 平成18年9月6日(2006.9.6)
公開日 平成20年3月21日(2008.3.21)
登録日 平成20年10月24日(2008.10.24)
発明者
  • 千住 智信
  • 宮城 吏
出願人
  • 国立大学法人 琉球大学
発明の名称 電力供給設備の運用支援方法および装置 新技術説明会
発明の概要 【課題】 電力貯蔵装置(ESS)を含む電力系統を運用する場合の発電機起動停止およびESSの充放電の最適な計画を作成して提示する電力供給設備の運用支援方法および装置を提供する。
【解決手段】 ESSの充放電スケジュールを充電、停止、放電で表して遺伝子とした個体とみなし、選択した個体についてESS出力を一定として電力需要を満たす火力ユニット起動停止スケジュールを決定し、火力ユニット運用コストを最小にすることを評価関数として遺伝的アルゴリズム(GA)を適用してESS充放電スケジュールを生成して、電力供給設備運用計画素案とし、次に、ESS充放電電力量を遺伝子情報とした個体とみなし、火力ユニットの総運用コストを最小にするようにGAを作用させて、電力系統における総電力が電力需要を満たすように決定して運用計画案とする。
【選択図】 図3
従来技術、競合技術の概要


電力需要は毎年増加しているが、特に昼間電力需要の伸びが大きく夜間の需要の伸びは小さいため、昼夜間の電力需要のギャップが拡大している。電力設備はピーク電力需要を見越して準備されるので、昼夜間の電力需要の差が拡大すると、発電設備の負荷率低下を招く。そこで、近年、電力会社が主体となって推進することができる負荷率向上策に利用できる電力貯蔵装置(ESS)が注目を集めている。



電力供給設備がESSを備えると、電力需要に応じて必要な数の発電ユニットを運転して系統に必要な電力を供給するが、電力需要が過大になったときにはESSから不足の電力量を補充することができるので、最大電力需要に対応する数の発電ユニットを準備しなくてもよくなり、設備経済上有利である。また、ESSは電力需要の小さいときに発電ユニットから充電するので、電力需要は平準化し、発電ユニットの運用をより経済的にすることが可能になる。
電力貯蔵装置(ESS)には、揚水発電装置、フライホイール、超伝導磁気エネルギー貯蔵装置(SMES)、NAS電池、レドックスフロー電池など、種々のものが利用できるようになってきている。



電力供給設備では、予測された電力需要変動に対応する運用計画を立てて、発電装置の起動停止とESSの充放電を経済的に実行する必要がある。
従来、発電装置のみを対象とする運用計画法はいろいろ提案されているが、ESSが加わった設備に関する運用計画方法は少なかった。特にESSを多数の発電装置を補填するために利用するシステムについて有効な運用計画法は知られていなかった。
特許文献1には、複数の発電機とESSを含む電力系統について、はじめにESSを考慮せずに拡張優先リスト法(EPL)を用いて発電機起動停止計画を作成し、その後、ESSを考慮したアルゴリズムを適用して計画を修正するようにした発電機起動停止計画作成方法が開示されている。



ESSを考慮するためのアルゴリズムは、負荷が低下する時間帯で運転している発電機の余剰電力を可能な限りESSに充電し、充電終了時にESSの下限電力量に達しないと予測される場合は、さらに停止している発電機をコストを基準とした優先リストの順に起動するように計画を修正するものである。また、負荷ピーク時間帯において積極的にESSから電力を供給し、ピーク時間帯で運転しているコスト高な発電機をできるだけ停止させて、総コストの削減をする。
しかし、特許文献1に開示された方法は、ESSの運用計画を作成するところに状況判断が必要とされ、全てを機械的に実行するわけにはいかない。



なお、特許文献2には、揚水発電機について、予想電力需要、燃料使用量、貯水池の水量、発電機設備データの各情報を用いて、運用コストが最小になるような発電機起動停止の運用計画を作成する電力系統の需給計画作成装置が開示されている。
開示された需給計画作成装置は、需要の予測と実績の違いなど条件の変化に対応するため、定期的に上記各情報の実績値を取り込んで、その時点からの新たな目標値をもとに発電機の起動停止計画を作成する運用計画算出手段を備えたことを特徴とする。



開示装置は、週末負荷が小さくなる時期に余剰の火力発電機で揚水上池の水位を持ち上げて、負荷の重い平日に発電して系統電力を補充する揚水発電機に適用するもので、火力発電機と揚水発電機を1対1に対応させたものを対象とする。したがって、複数の発電機が接続されている系統において経済的運用を実現するためにいずれの発電機をいつ発停するのがよいかという問題の解決に利用できるものではない。
【特許文献1】
特開2005-102357号公報
【特許文献2】
特開2003-009391号公報

産業上の利用分野


本発明は、複数の発電ユニットと電力貯蔵装置を備えた電力供給設備について、運用コストを最小化する最適運用支援方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
電力需要施設に対して電力系統線を介して電力を供給する複数の火力発電装置と該系統線にインバータを介して接続され系統線に対して充放電する電力貯蔵装置(ESS)で構成された電力供給設備に適用する運用支援方法であって、第1ステップで、所期の期間にわたるESSの充放電スケジュールを充電、停止、放電の3進法で表して遺伝子情報とした個体とみなして個体群を形成し、該個体群から個体を選択し、該選択した個体についてESSの充放電電力を一定と仮定して予測される電力需要を満たすように前記火力発電装置の起動停止スケジュールを決定し、前記火力発電装置の運用コストの総和を評価関数として該評価関数が最小になるように前記個体に遺伝的アルゴリズム(GA)を適用して、前記電力需要を満たす火力発電装置の起動停止スケジュールとESSの充放電スケジュールを決定して運用計画素案とし、第2ステップで該運用計画素案に対して所期の期間にわたるESSの充放電電力値を遺伝子情報とする個体とみなし、前記火力発電装置の運用コストを評価関数としてGAを適用することにより、前記電力需要を満たす火力発電装置の起動停止スケジュールとESSの充放電スケジュールを決定し、該スケジュールのうち予め決めた制約条件に違反するものを除去して、前記評価関数を最小化するスケジュールを運用計画案として提示する電力供給設備の運用支援方法。

【請求項2】
前記第2ステップにおいて、前記制約条件のうち運転予備力が不足するときは、前記スケジュールにおいて起動する火力発電装置を追加し、運転予備力が充足されるようになったときは再度GAを適用して火力発電装置の運用コストが最小になるように決定して運用計画最終案とすることを特徴とする請求項1記載の電力供給設備の運用支援方法。

【請求項3】
電力需要施設に対して電力系統線を介して電力を供給する複数の火力発電装置と該系統線にインバータを介して接続され系統線に対して充放電する電力貯蔵装置(ESS)で構成された電力供給設備に適用する運用支援装置であって、第1演算部と第2演算部からなる演算装置とデータ記憶装置と入出力装置を備え、該入出力装置が前記電力需要施設の電力需要予測を取り込み、前記データ記憶装置が前記電力供給装置の制約条件を格納していて、第1演算部がESSの充放電時の電力量を一定と仮定し、所期の期間にわたり前記電力需要予測に適合する火力発電装置の起動停止スケジュールを作成し、該所期の期間にわたるESSの充放電スケジュールを充電、停止、放電の3進法で表して遺伝子情報とした個体とみなし、前記火力発電装置の起動停止スケジュールにおける火力発電装置の運用コストの総和を最小にすることを評価関数とした遺伝的アルゴリズム(GA)の演算を実行して、前記電力需要予測に適合する火力発電装置の起動停止スケジュールとESSの充放電スケジュールを作成して運用計画素案として前記第2演算部に供給し、該第2演算部が該運用計画素案に対して前記所期の期間にわたるESSの充放電電力値を遺伝子情報とする個体とし、前記火力発電装置の運用コストの総和を評価関数として該評価関数が最小になるようにGAの演算を実行して、電力供給設備の運用計画案を生成して提示する電力供給設備の運用支援装置。

【請求項4】
前記第2演算部が、さらに、前記制約条件のうち運転予備力が不足するときは火力発電装置を追加起動し、運転予備力が充足されるときは再度GAを適用して火力発電機の運用コストが最小になるように前記スケジュールを修正して運用計画最終案とすることを特徴とする請求項3記載の電力供給設備の運用支援装置。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 登録
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