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酵母抽出分画物を用いた脳機能改善剤および食品

国内特許コード P110001818
掲載日 2011年3月17日
出願番号 特願2004-022380
公開番号 特開2005-213205
登録番号 特許第4867043号
出願日 平成16年1月30日(2004.1.30)
公開日 平成17年8月11日(2005.8.11)
登録日 平成23年11月25日(2011.11.25)
発明者
  • 鎌田 靖弘
  • 平良 昭
  • 宮城 剛
  • 上江洲 榮子
  • 崎浜 美智子
出願人
  • 沖縄県
  • 国立大学法人 琉球大学
発明の名称 酵母抽出分画物を用いた脳機能改善剤および食品
発明の概要 【課題】高齢化の進行に伴い、病因リスクを軽減させる学習機能改善効果及び記憶力改善作用等、脳機能改善が生体に対して発現できるように設計し、加工された安全でより安価な脳機能改善剤および食品の提供が必要である。
【解決手段】サッカロマイセス属、カンディダ属、クルイベロマイセス属に属する酵母抽出分画物中の成分を有効成分とし、更にその成分が作用するように抽出条件を定めたことを特徴とする脳機能改善作用を有する脳機能改善剤および食品の提供。
【選択図】図1

従来技術、競合技術の概要


現在、日本では急速に高齢化が進んでいる。それに伴い、加齢が原因で生じる様々な疾病、とりわけ神経細胞の衰退や死滅による脳の萎縮(瀰慢性萎縮)、すなわち“痴呆症”は深刻な社会問題の一つとなっている。そのため、学習能力や記憶力等の脳の機能を高める物質の探索が多方面にわたって検討されている。



それによると、アルツハイマー病を含む老人性痴呆患者や、熱病などによる脳代謝又は脳機能に障害のある患者など、脳の一部に損傷を負った患者の脳機能回復剤や、或いはさらなる脳機能障害の進行を阻止し得る脳機能改善剤が開発されている。例えば、ホパンテン酸カルシウム、オザグレルナトリウム、ニルバジピン、アニラセタウムなど種々の薬剤が既に承認されており、近年では米国で承認された抗痴呆薬タクリンである。しかしながら、これら薬剤には副作用も生じるものもあり、また医師の処方箋の下で管理されていることから、気軽に誰でも用いることができない。



また、これら脳の一部に損傷を負った患者に対して、機能回復訓練を繰り返し行うことによって、残された神経細胞に再び神経回路を張り巡らさせて脳機能を回復させられることが知られている。しかしながら、効果が現れるまでに長時間を要し、かつ強固な意志を必要とするため、多忙な現代においては持続的な実行が極めて困難であり、理想とする回復までには至らないことが多い。



一方、栄養学的に従来より研究されている脳機能を改善することは、学習効果をより高める方法である。具体的には、脳細胞に栄養を効率よく吸収させて、細胞の働きを活性化する脳エネルギー代謝改善法や、脳血行を良くして脳細胞に必要な栄養や酸素を十分に補給しようとする脳循環改善法等がある。



この様な観点から、特に日常的に摂取しうる種々の天然物由来の成分で、学習機能改善効果を有する天然の食品成分の探索が精力的に行われている。例えば非特許文献1で開示されているトリプトファンは、脳内セロトニン量が増加することで学習能力が改善されたという報告がある。更に非特許文献2に開示されているホスファチジルコリンは、脳内のアセチルコリンを増加させマウスの記憶改善をすることが報告されている。それ以外にも多数の学術文献報告がある。



特許においても特許文献1に各々開示されているドコサヘキサエン酸は、ラットのY字迷路実験で効能が報告されており、また特許文献2に開示されている蕎麦種子に含まれるポリフェノール化合物が脳中プロテインキナーゼCの活性を促し、結果として八方放射状迷路による学習能力改善効果があると報告されている。更に特許文献3に開示されている卵黄プラズマの浮上画分が、ラットの水迷路試験で効果が見られたと報告している。



このように脳機能改善に関してこれまで多くの報告がある。しかしながら、これらの素材又は成分は、その調製や加工の煩雑さに時間を要し、結果として経済的にも負荷がかかるものが多い。



一方、酵母を用いた医薬品や食品開発は多くの報告があり、代表的なものとして医薬品では整腸剤等がある。また近年は健康ブームの潮流に乗ってビール酵母をダイエット食品として開発している。例えば特許文献4に開示されているミネラル吸収促進剤ならびに貧血改善剤などが報告されている。



また、特許文献5に開示されている乳酸菌発酵乳、乳酸菌と酵母との強制発酵乳は、脳機能改善、学習能力増強および記憶力増強作用を有するとの報告がある。しかしながら、この報告では酵母の作用としての脳機能改善ではなく、乳酸菌が有する作用として報告されている。すなわち、酵母は乳酸菌と共生発酵する際の、香気として付与するためのみに用いられている。



以上のような観点から、脳機能改善が生体に対して発現できるように設計し、加工された安全でより安価な医薬品や食品の開発が社会的に要望されている。それは高齢化の進行に伴い、当該機能を有する製品開発がますます強く要望されていた。



【特許文献1】
特開平7-17855(第1~第12頁)
【特許文献2】
特開2000-53575(第1~第7頁)
【特許文献3】
特開2003-300891(第1~第6頁)
【特許文献4】
特開2002-255832(第1~第7頁)
【特許文献5】
特開平9-23848(第1~第6頁)
【非特許文献1】
J. Neurochem., 41(Suppl.), p104, 1983
【非特許文献2】
J. Nutiriton., 125(6), pp1485-1489, 1995

産業上の利用分野


本発明は、学習能力増強および記憶力増強等の脳機能改善作用を有する酵母抽出分画物を用いた製剤、食品に関する。更に詳述すると、本発明は酵母抽出分画物中の脳機能を改善する成分、即ち、脳機能改善組成物と、その脳機能改善組成物を用いて具現化される薬剤である学習能力増強剤、記憶力増強剤、痴呆予防剤、痴呆治療剤、または脳機能改善効果を有する機能性食品等に関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
サッカロマイセス属に属する酵母の含水エタノール抽出分画物(米のグルテリン由来の成分を含むものを除く)有効成分とする老人性痴呆症、脳機能障害、学習機能低下又は記憶力低下の改善用脳機能改善剤。

【請求項2】
抽出における酵母の添加濃度が、含水エタノール容量に対して0.1~10%乾燥重量濃度である請求項1記載の老人性痴呆症、脳機能障害、学習機能低下又は記憶力低下の改善用脳機能改善剤。

【請求項3】
酵母の添加濃度が、溶媒容量に対して1~5%乾燥重量濃度である請求項2記載の老人性痴呆症、脳機能障害、学習機能低下又は記憶力低下の改善用脳機能改善剤。



国際特許分類(IPC)
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出願権利状態 登録
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