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真菌におけるタンパク質の選択的分泌技術 NEW

国内特許コード P200016548
整理番号 (S2017-0213-N0)
掲載日 2020年1月15日
出願番号 特願2018-559146
出願日 平成29年12月22日(2017.12.22)
国際出願番号 JP2017046107
国際公開番号 WO2018123856
国際出願日 平成29年12月22日(2017.12.22)
国際公開日 平成30年7月5日(2018.7.5)
優先権データ
  • 特願2016-252330 (2016.12.27) JP
発明者
  • 玉置 尚▲徳▼
  • 二神 泰基
  • 岩元 正孝
出願人
  • 国立大学法人鹿児島大学
  • カクイ株式会社
発明の名称 真菌におけるタンパク質の選択的分泌技術 NEW
発明の概要 本発明は、望ましくない酵素の量が低減された培養上清を簡便に得るための方法、該方法に用いられ得る微生物、及び該微生物を用いて目的の物質を生産する方法等を提供すること等を目的とする。
本発明は、内在性分泌酵素をコードするポリヌクレオチドに、GPI付加シグナル配列をコードするポリヌクレオチドが連結された融合ポリヌクレオチドを発現する改変真菌、及び該改変真菌を用いて目的の物質を生産する方法等に関する。
従来技術、競合技術の概要

真菌、特に糸状菌は多種多様な酵素を分泌生産するため、その培養上清が酵素製剤として使用されている。しかしながら、真菌の培養上清を酵素製剤として使用する場合には、真菌由来の望ましくない酵素、例えば目的物質を分解する活性を有する酵素の混入が問題となる。培養上清から望ましくない酵素を除去するには、精製又は分離プロセス等が必要になるため、真菌由来の酵素製剤には、コストが高く、生産量が一定せず安定供給が難しいという2つの大きな問題があった。また、望ましくない酵素の量を低減する方法として、該酵素をコードする遺伝子を破壊した株を用いる方法も考えられるが、この方法では真菌の増殖性が顕著に低下する可能性がある。したがって、真菌の増殖性を顕著に損ねることなく、望ましくない酵素の量が低減された培養上清を得る方法が求められていた。

一方、GPI(グリコシルホスファチジルイノシトール)は、翻訳後修飾によってタンパク質のC末端に付加される糖脂質であり、ある種のタンパク質を細胞表面に固定化(アンカー)する機能を有する。これまでに、GPIは、酵母においてタンパク質を細胞表面にディスプレイさせるために用いることが示されているが(特許文献1)、GPIを内在性の分泌酵素に適用することは、これまでに全く考えられていなかった。

産業上の利用分野

本発明は、内在性分泌酵素をコードするポリヌクレオチドに、GPI付加シグナル配列をコードするポリヌクレオチドが連結された融合ポリヌクレオチドを発現する改変真菌、及び該改変真菌を用いて目的の物質を生産する方法等に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
内在性分泌酵素をコードするポリヌクレオチドの3'末端側に、グリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)付加シグナル配列をコードする外来性ポリヌクレオチドが連結された融合ポリヌクレオチドを発現し、それによって、前記分泌酵素がGPIにより細胞表面に固定されたことを特徴とする改変真菌。

【請求項2】
糸状菌に属する、請求項1に記載の真菌。

【請求項3】
Trichoderma属、Aspergillus属、Penicillium属、Monascus属、及びThermoascus属からなる群から選択される糸状菌に属する、請求項2に記載の真菌。

【請求項4】
Trichoderma reesei種に属する、請求項3に記載の真菌。

【請求項5】
分泌酵素がグリコシダーゼ、リパーゼ、プロテアーゼ、及びヌクレアーゼからなる群から選択される、請求項1~4のいずれか一項に記載の真菌。

【請求項6】
真菌が目的の物質の生産に用いられるものであり、目的の物質と分泌酵素が、以下の組み合わせ:
(a)目的の物質が糖であり、分泌酵素がグリコシダーゼである;
(b)目的の物質が脂質であり、分泌酵素がリパーゼである;
(c)目的の物質がタンパク質であり、分泌酵素がプロテアーゼである;及び
(d)目的の物質が核酸であり、分泌酵素がヌクレアーゼである;
からなる群から選択される、請求項1~5のいずれか一項に記載の真菌。

【請求項7】
目的の物質がセロビオースであり、分泌酵素がβグルコシダーゼである、請求項6に記載の真菌。

【請求項8】
請求項1~5のいずれか一項に記載の真菌を培地で培養する工程、及び
培養された該真菌から内在性分泌酵素の量が低減された培養上清を回収する工程
を含む、内在性分泌酵素の量が低減された真菌培養上清を生産する方法。

【請求項9】
原料物質を、請求項1~5のいずれか一項に記載の真菌又は請求項8に記載の真菌培養上清と接触させ、原料物質から目的の物質を生産する工程
を含む、目的の物質を生産する方法。

【請求項10】
目的の物質と分泌酵素が、以下の組み合わせ:
(a)目的の物質が糖であり、分泌酵素がグリコシダーゼである;
(b)目的の物質が脂質であり、分泌酵素がリパーゼである;
(c)目的の物質がタンパク質であり、分泌酵素がプロテアーゼである;及び
(d)目的の物質が核酸であり、分泌酵素がヌクレアーゼである;
請求項9に記載の方法。

【請求項11】
目的の物質がセロビオースであり、分泌酵素がβグルコシダーゼである、請求項10に記載の方法。

【請求項12】
目的の物質を回収する工程を含む、請求項9~11のいずれか一項に記載の方法。

【請求項13】
内在性分泌酵素をコードするポリヌクレオチドの3'末端側に、グリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)付加シグナル配列をコードする外来性ポリヌクレオチドが連結された融合ポリヌクレオチドを発現するように真菌を改変する工程を含む、前記分泌酵素がGPIにより細胞表面に固定された改変真菌の作製方法。

【請求項14】
真菌がTrichoderma reesei種に属する、請求項13に記載の方法。

【請求項15】
分泌酵素がグリコシダーゼ、リパーゼ、プロテアーゼ、及びヌクレアーゼからなる群から選択される、請求項13又は14に記載の方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2018559146thum.jpg
出願権利状態 公開
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