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抗CD70抗体とIgG結合ペプチドの複合体 NEW

国内特許コード P200016630
整理番号 S2018-0813-N0
掲載日 2020年2月25日
出願番号 特願2018-142584
公開番号 特開2020-019723
出願日 平成30年7月30日(2018.7.30)
公開日 令和2年2月6日(2020.2.6)
発明者
  • 馬場 昌範
  • 横田 璃里
  • 伊東 祐二
出願人
  • 国立大学法人鹿児島大学
発明の名称 抗CD70抗体とIgG結合ペプチドの複合体 NEW
発明の概要 【課題】CD70発現細胞に特異的に薬剤を送達することが可能な薬剤又は方法を提供する。
【解決手段】IgGのFc部分又はその断片を含む抗CD70抗体、及び薬剤が結合したIgG結合ペプチドを含む複合体であって、前記IgG結合ペプチドが前記抗CD70抗体に連結されている複合体、及び該複合体を含む。
【選択図】図1-2
従来技術、競合技術の概要

成人T細胞白血病(ATL)は、ヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1)感染により引き起こされる悪性腫瘍であり、発症後の生存率は極めて低い。ATLの治療として、各種抗癌剤を用いた多剤併用療法、抗体療法、骨髄移植などが行われているが、副作用や適応奨励が限られるなどの欠点があり、その治療成績はよくない。このため、ATL細胞に対し選択的な殺傷効果を有する、新たな治療薬の開発が求められている。

これまでに、ATL患者由来のT細胞ではCD70が高発現していることが報告されており、CD70がATLに対する抗体療法の標的となり得ることが示されている(非特許文献1)。また、CD70発現は通常制限されているが、悪性血液腫瘍(非特許文献2)、腎癌細胞(非特許文献3)、EBV感染細胞(非特許文献4)、HIV-1慢性感染(非特許文献5)、慢性自己免疫疾患(非特許文献6)において高発現することが知られており、CD70とこれらの疾患との関与も報告されている。したがって、CD70発現細胞に特異的に薬剤を送達することができれば、これらの疾患の治療及び/又は予防に利用できる可能性がある。

産業上の利用分野

本発明は、IgGのFc部分又はその断片を含む抗CD70抗体、及びIgG結合ペプチドを含む複合体、並びに該複合体を含む医薬組成物等に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
IgGのFc部分又はその断片を含む抗CD70抗体、及び薬剤が結合したIgG結合ペプチドを含む複合体であって、
前記IgG結合ペプチドが前記抗CD70抗体に連結されており、
前記IgG結合ペプチドが、下記の式I:
(X1-3)-C-(X2)-H-(Xaa1)-G-(Xaa2)-L-V-W-C-(X1-3) (I)
(式中、Xの各々は独立的にシステイン以外の任意のアミノ酸残基であり、
Cはシステイン残基であり、
Hはヒスチジン残基であり、
Xaa1はリシン残基、システイン残基、アスパラギン酸残基、グルタミン酸残基、2-アミノスベリン酸、又はジアミノプロピオン酸であり、
Gはグリシン残基であり、
Xaa2はグルタミン酸残基又はアスパラギン残基であり、
Lはロイシン残基であり、
Vはバリン残基であり、かつ
Wはトリプトファン残基である。)
によって表される、13~17アミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含み、かつヒトIgGと結合可能である、
前記複合体。

【請求項2】
前記IgG結合ペプチドが、下記の式II:
(X1-3)-C-(Xaa3)-(Xaa4)-H-(Xaa1)-G-(Xaa2)-L-V-W-C-(X1-3) (II)
(式中、Xの各々は独立的にシステイン以外の任意のアミノ酸残基であり、
Cはシステイン残基であり、
Hはヒスチジン残基であり、
Xaa1はリシン残基、システイン残基、アスパラギン酸残基、グルタミン酸残基、2-アミノスベリン酸、又はジアミノプロピオン酸であり、
Gはグリシン残基であり、
Xaa2はグルタミン酸残基又はアスパラギン残基であり、
Lはロイシン残基であり、
Vはバリン残基であり、
Wはトリプトファン残基であり、
Xaa3はアラニン残基、セリン残基又はトレオニン残基であり、かつ
Xaa4はチロシン残基又はトリプトファン残基である。)
によって表される、13~17アミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の複合体。

【請求項3】
前記IgG結合ペプチドが、下記の式III:
(X1-3)-C-A-Y-H-(Xaa1)-G-E-L-V-W-C-(X1-3) (III)
(式中、Xの各々は独立的にシステイン以外の任意のアミノ酸残基であり、
Cはシステイン残基であり、
Aはアラニン残基であり、
Yはチロシン残基であり、
Hはヒスチジン残基であり、
Xaa1はリシン残基、システイン残基、アスパラギン酸残基、グルタミン酸残基、2-アミノスベリン酸、又はジアミノプロピオン酸であり、
Gはグリシン残基であり、
Eはグルタミン酸残基であり、
Lはロイシン残基であり、
Vはバリン残基であり、かつ
Wはトリプトファン残基である。)
によって表される、13~17アミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含む、請求項1又は2に記載の複合体。

【請求項4】
前記式I~IIIのいずれかによって表されるアミノ酸配列が17アミノ酸残基とした場合、N末端から1~3、15~17番目の各アミノ酸残基が、
1番目のアミノ酸残基= S、G、F、又はなし、
2番目のアミノ酸残基= D、G、A、S、P、ホモシステイン、又はなし、
3番目のアミノ酸残基= S、D、T、N、E、又はR、
15番目のアミノ酸残基= S、T、又はD、
16番目のアミノ酸残基= H、G、Y、T、N、D、F、ホモシステイン、又はなし、
17番目のアミノ酸残基= Y、F、H、M、又はなし、
である、請求項1~3のいずれか一項に記載の複合体。

【請求項5】
前記IgG結合ペプチドが、以下の1)~15)のいずれかのアミノ酸配列を含む、ただし、Xaa1はリシン残基、システイン残基、アスパラギン酸残基、グルタミン酸残基、2-アミノスベリン酸、又はジアミノプロピオン酸であり、Xaa2はホモシステインである、請求項4に記載の複合体。
1)DCAYH(Xaa1)GELVWCT(配列番号1)
2)GPDCAYH(Xaa1)GELVWCTFH(配列番号2)
3)RCAYH(Xaa1)GELVWCS(配列番号3)
4)GPRCAYH(Xaa1)GELVWCSFH(配列番号4)
5)SPDCAYH(Xaa1)GELVWCTFH(配列番号5)
6)GDDCAYH(Xaa1)GELVWCTFH(配列番号6)
7)GPSCAYH(Xaa1)GELVWCTFH(配列番号7)
8)GPDCAYH(Xaa1)GELVWCSFH(配列番号8)
9)GPDCAYH(Xaa1)GELVWCTHH(配列番号9)
10)GPDCAYH(Xaa1)GELVWCTFY(配列番号10)
11)SPDCAYH(Xaa1)GELVWCTFY(配列番号11)
12)SDDCAYH(Xaa1)GELVWCTFY(配列番号12)
13)RGNCAYH(Xaa1)GQLVWCTYH(配列番号13)
14)G(Xaa2)DCAYH(Xaa1)GELVWCT(Xaa2)H(配列番号14)
15)RRGPDCAYH(Xaa1)GELVWCTFH(配列番号15)

【請求項6】
IgGのFc部分又はその断片を含む抗CD70抗体、及び薬剤が結合したIgG結合ペプチドを含む複合体であって、
前記IgG結合ペプチドが前記抗CD70抗体に連結されており、
前記IgG結合ペプチドが、RRGPDCAYHKGELVWCTFH(配列番号27)、又は配列番号27のアミノ酸配列において、1若しくは2個のアミノ酸配列が置換、付加、及び/又は欠失されたアミノ酸配列を含む、
前記複合体。

【請求項7】
前記IgG結合ペプチドの外側の2つのシステイン(C)残基間でジスルフィド結合を形成しているか、又は前記IgG結合ペプチドの外側の2つのシステイン残基中のスルフィド基が、以下の式:
【化1】
(省略)
で表されるリンカーにより連結されている、請求項1~6のいずれか一項に記載の複合体。

【請求項8】
Xaa1がリシン残基である、請求項1~7のいずれか一項に記載の複合体。

【請求項9】
Xaa1が架橋剤で修飾されており、該架橋剤とIgGのFc部分又はその断片の架橋反応によって前記IgG結合ペプチドが前記抗CD70抗体に連結されている、請求項1~8のいずれか一項に記載の複合体。

【請求項10】
前記架橋剤が、DSG(ジスクシンイミジルグルタレート)、DSS(ジスクシンイミジルスベレート)、DMA(アジプイミド酸ジメチル二塩酸塩)、DMP(ピメルイミド酸ジメチル二塩酸塩)、DMS(スベルイミド酸ジメチル二塩酸塩)、DTBP(3,3'-ジチオビスプロピオンイミド酸ジメチル二塩酸塩)、及びDSP(ジチオビススクシンイミジルプロピオン酸)からなる群より選択される、請求項9に記載の複合体。

【請求項11】
前記架橋剤がDSG(ジスクシンイミジルグルタレート)又はDSS(ジスクシンイミジルスベレート)である、請求項10記載の複合体。

【請求項12】
前記IgG結合ペプチドにおいて、N末端がPEG化及び/又はC末端がアミド化されている、請求項1~11のいずれか一項に記載の複合体。

【請求項13】
前記抗CD70抗体が、抗CD70scFv-Fcである、請求項1~12のいずれか一項に記載の複合体。

【請求項14】
前記薬剤が抗癌剤である、請求項1~13のいずれか一項に記載の複合体。

【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載の複合体を含む医薬組成物。
国際特許分類(IPC)
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出願権利状態 公開
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