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微細藻類の培養方法及びデータ解析装置 NEW

国内特許コード P200016969
整理番号 1739-16P061
掲載日 2020年6月19日
出願番号 特願2017-038263
公開番号 特開2018-143108
出願日 平成29年3月1日(2017.3.1)
公開日 平成30年9月20日(2018.9.20)
発明者
  • 小谷 知也
  • 松井 英明
出願人
  • 国立大学法人鹿児島大学
発明の名称 微細藻類の培養方法及びデータ解析装置 NEW
発明の概要 【課題】最適な時期にイソクリシス属のハプト藻類を収穫することができる微細藻類の培養方法及びデータ解析装置を提供する。
【解決手段】微細藻類の培養方法は、イソクリシス属(Isochrysis)のハプト藻類を培養する培養ステップと、ハプト藻類の480~520nmの範囲内の第1の波長における第1の吸光度及び660~700nmの範囲内の第2の波長における第2の吸光度を複数の時点で測定する測定ステップと、第1の吸光度と第2の吸光度との吸光度比の複数の時点間での比較に基づいて、ハプト藻類を収穫する収穫ステップと、を含む。
【選択図】図1
従来技術、競合技術の概要 イソクリシス・エスピー(Isochrysis sp.)タヒチ株(以下、単に「タヒチ株」ともいう)等のイソクリシス属のハプト藻類は、海産魚介類の種苗生産で使用されている有用微細藻類である。タヒチ株は、海産魚類仔魚の餌料である海産ツボワムシ類の餌料、あるいは貝類幼生体の餌料として使用される。

タヒチ株は、硝酸塩及びリン酸塩等の栄養塩、ミネラル類並びにビタミン類が混合された培養液に接種され、最大密度になるまで培養される。接種から最大密度に達する期間は、培養時の環境によって異なる。達する最大密度も培養環境によって異なるため、培養中の細胞密度のみを目安に収穫時期を決めることは難しい。

タヒチ株は高度不飽和脂肪酸であるドコサヘキサエン酸(DHA)を細胞内に含有している。DHAは海産魚類仔魚の必須脂肪酸の一つである。上記の海産ツボワムシ類はDHAが欠乏している。このため、海産ツボワムシ類を仔魚に給餌する前に、タヒチ株を栄養強化用藻類として与えることで、海産ツボワムシ類のDHAを強化することができる。タヒチ株の細胞内のDHA含量は培養中に変化する。タヒチ株を栄養強化用藻類として利用する場合、DHA含量が最大のときにタヒチ株を収穫することが望ましい。しかし、DHA含量を測定するには時間を要するため、DHA含量に応じてタヒチ株の収穫時期を判断することは困難である。

非特許文献1では、微細藻類であるナンノクロロプシスオキュラータ(Nannochloropsis oculata)の増殖相と細胞内のエイコサペンタエン酸(EPA)含量との関係が解析されている。非特許文献1には、ユーグレナ(Euglena gracilis)、パブロバ(Pavlova lutheri)、ドゥナリエラ(Dunaliella tertiolecta)及びポルフィリディウム(Porphyridium sp.)と同様に、ナンノクロロプシスオキュラータのEPA含量が増殖期に多く、定常期に低下することが記されている。

微細藻類の収穫のタイミングを決定する方法に関して、例えば、特許文献1には、培養液における赤色光の吸光度と緑色光の吸光度との比が、微細藻類の比増殖速度と相関することを利用して、微細藻類の培養状態を判断する方法が開示されている。当該方法によれば、培養状態に応じて微細藻類の収穫のタイミングを決定することができる。

特許文献2には、脂溶性成分が微細藻類に十分に蓄積したタイミングで微細藻類を収穫するために、微細藻類を含む培養液から検出した2つ以上の波長域の光に関する吸光度比に基づいて、微細藻類の脂溶性成分含量の多寡を判断する方法が開示されている。
産業上の利用分野 本発明は、微細藻類の培養方法及びデータ解析装置に関する。
特許請求の範囲 【請求項1】
イソクリシス属(Isochrysis)のハプト藻類を培養する培養ステップと、
前記ハプト藻類の480~520nmの範囲内の第1の波長における第1の吸光度及び660~700nmの範囲内の第2の波長における第2の吸光度を複数の時点で測定する測定ステップと、
前記第1の吸光度と前記第2の吸光度との吸光度比の前記複数の時点間での比較に基づいて、前記ハプト藻類を収穫する収穫ステップと、
を含む、微細藻類の培養方法。

【請求項2】
前記吸光度比は、
前記第1の吸光度を前記第2の吸光度で除した値であって、
前記収穫ステップでは、
前記値が下降から上昇に転じた後、前記値が再度下降から上昇に転じてから3~5日後に前記ハプト藻類を収穫する、
請求項1に記載の微細藻類の培養方法。

【請求項3】
前記測定ステップでは、
前記ハプト藻類を含む培養液の前記第1の波長における第3の吸光度と前記第2の波長における第4の吸光度とを測定し、
前記ハプト藻類が除去された前記培養液の前記第1の波長における第5の吸光度と前記第2の波長における第6の吸光度とを測定し、
前記収穫ステップにおける前記第1の吸光度は、前記第3の吸光度から前記第5の吸光度を減じた値であって、
前記収穫ステップにおける前記第2の吸光度は、前記第4の吸光度から前記第6の吸光度を減じた値である、
請求項1又は2に記載の微細藻類の培養方法。

【請求項4】
前記第1の波長は、
490nmであって、
前記第2の波長は、
680nmである、
請求項1から3のいずれか一項に記載の微細藻類の培養方法。

【請求項5】
前記ハプト藻類は、
イソクリシス・エスピー(Isochrysis sp.)タヒチ株である、
請求項1から4のいずれか一項に記載の微細藻類の培養方法。

【請求項6】
イソクリシス属(Isochrysis)のハプト藻類の480~520nmの範囲内の第1の波長における第1の吸光度及び660~700nmの範囲内の第2の波長における第2の吸光度を複数の時点で測定する測定部と、
前記第1の吸光度と前記第2の吸光度との吸光度比の前記複数の時点間での比較に基づいて、ユーザーに通知を行う通知部と、
を備えるデータ解析装置。
画像

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thum_JPA 430143108_i_000002.jpg
出願権利状態 公開
※ 公開特許は弊社ホームページ内で開示資料とともに、特許公報も掲載しております。
アドレスは http://www.ktlo.co.jp/002_seeds_.html


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