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塞栓形成用製剤及びマイクロカテーテル

国内特許コード P170014568
整理番号 (S2015-0062-N0)
掲載日 2017年9月6日
出願番号 特願2016-555208
出願日 平成27年10月19日(2015.10.19)
国際出願番号 JP2015079405
国際公開番号 WO2016063824
国際出願日 平成27年10月19日(2015.10.19)
国際公開日 平成28年4月28日(2016.4.28)
優先権データ
  • 特願2014-213293 (2014.10.20) JP
発明者
  • 玉井 努
  • 武井 孝行
  • 井戸 章雄
  • 吉田 昌弘
  • 境 慎司
出願人
  • 国立大学法人鹿児島大学
発明の名称 塞栓形成用製剤及びマイクロカテーテル
発明の概要 抗がん剤の保持及び徐放ができ、血管に注入することによって血管内を閉塞し、wash outされにくく、分解時間がコントロールされた(すなわち、組織全体が壊死しないように、しばらくの間血管を閉塞し、機能を終えた後は速やかに分解される)、生体への安全性が高い塞栓形成用製剤を提供することを目的とする。
本発明の塞栓形成用製剤は、下記式(1):
(式省略)
(式中、Pは生体適合性ポリマーであり、Aは単結合であるか、又は-OCO-C~C-アルケニレン基、-CONH-C~C-アルキレン基もしくは-HNCO-C~C-アルキレン基であり、Xは水素又はC~C-アルコキシ基である)で表されるフェノール性水酸基修飾ポリマーを含む溶液と、ペルオキシダーゼ、ラッカーゼ、チロシナーゼ、カタラーゼ及び鉄ポルフィリン錯体から選択される一種以上を含む溶液と、過酸化水素を含む溶液と、を含むことを特徴とする。
従来技術、競合技術の概要

従来、肝がん等のがん組織を縮小・消失させるため、がん組織に栄養を送る肝動脈等の血管内にカテーテルによってゼラチンスポンジ、多孔性ゼラチン粒その他の球状塞栓物質を注入し、血管を塞栓することでがん組織を阻血壊死に陥らせる肝動脈塞栓療法(transcatheter arterial embolization;TAE)が有用な治療法として知られている。また、油性造影剤が腫瘍内に停滞することを利用し、リピオドール(登録商標、ヨード化ケシ油脂肪酸エチルエステル)と抗がん剤の混合液(リピオドールエマルジョン)の注入後に塞栓物質を注入する肝動脈化学塞栓療法(transcatheter arterial chemoembolization;TACE)が行われている。リピオドールエマルジョンを肝動脈内に注入することで、腫瘍内に停滞したエマルジョンからの抗がん剤の放出を可能にし、ドラッグデリバリーの役割を果たす。このようなTACEにおける塞栓物質として、豚コラーゲンより作製された多孔性ゼラチン粒(ジェルパート(登録商標))が知られている。

また、塞栓を形成するための製剤として、(特許文献1)には、(a)約2.5重量%から約8.0重量%までの生体適合性ポリマー、(b)約10μm以下の平均粒子サイズを有する約10重量%から約40重量%までの水不溶性、生体適合性造影剤、及び(c)約52重量%から約87.5重量%までの、ジメチルスルホキシド、エタノール及びアセトンからなる群から選ばれる生体適合性溶媒を含む組成物が開示されている。さらに、(特許文献2)には、哺乳動物の血管部位に一時的に塞栓形成する方法であって、逆感熱性ポリマーを含む組成物を哺乳動物の脈管構造内に導入するステップを含み、前記逆感熱性ポリマーが、前記脈管構造内においてゲル化し、その結果、前記哺乳動物の血管部位に一時的に塞栓形成する方法が開示されている。

ところで、従来、哺乳動物の循環器系に液体を送出するため、あるいは循環器系から液体を取り出すための、複数の管(ルーメン)を有するマイクロカテーテルが知られている。このようなマイクロカテーテルは、疾患の治療等を目的として、患者の循環器系に異なる薬物を供給したり、透析療法等において複数のルーメンにより送血及び脱血を行ったりするために用いられる。また、上記塞栓物質の注入にも用いることができる。

複数のルーメンを有するマイクロカテーテルとして、例えば、(特許文献3)には、哺乳動物の体内に挿入するためのマルチルーメンカテーテルであって、近位端と遠位端とを有し、少なくとも3つの分離したルーメンを取り囲む外壁を有する細長いカテーテル本体と、第1、第2、及び第3ルーメンを備える前記少なくとも3つの分離したルーメンであって、前記第1ルーメンが前記第2及び第3ルーメンに対して中央に配置され、前記第1、第2、及び第3ルーメンのそれぞれが前記カテーテルの遠位部に位置する遠位開口部を備えるルーメンとを備え、前記第2及び第3ルーメンの遠位開口部がほぼ同じ位置にカテーテルの長手方向に沿って隣接して配置され、前記第1ルーメンの遠位開口部が、前記第2及び第3ルーメンの遠位開口部に対して遠位又は近位に前記カテーテルの長手方向に沿って配置される、マルチルーメンカテーテルが開示されている。

また、(特許文献4)には、隔壁により仕切られた返血ルーメンと脱血ルーメンを有するチューブをカテーテル本体とするダブルルーメンカテーテルにおいて、返血ルーメンの開口部である返血孔をカテーテル本体の先端部付近に設け、脱血ルーメンの開口部である脱血孔をカテーテル本体の先端部から基部側に3~11cm隔てた位置に設け、該脱血孔の開口面がカテーテル本体の長手方向に対して5~90°の角度を有しており、さらに脱血孔のある位置から先端側のカテーテル本体の形状が、断面積の小さい狭径部とそれに引続く断面積の大きい広径部とからなる構成が開示されている。さらに、(特許文献5)には、内管と外管からなるカテーテルチューブ及びバルーンにより構成され、内管は、先端が開口した第1のルーメンを有し、外管は、内部に内管を挿通し、先端が内管の先端よりやや後退した位置に設けられ、この外管の内面と内管の外面により第2のルーメンが形成され、この第2のルーメンは、その先端がバルーン内の後端部と連通し、バルーンを膨張させるための液体が流入されるバルーンカテーテルが開示されている。

産業上の利用分野

本発明は、塞栓形成用製剤及びマイクロカテーテルに関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
下記式(1):
【化1】
(省略)
(式中、Pは生体適合性ポリマーであり、Aは単結合であるか、又は-OCO-C~C-アルケニレン基、-CONH-C~C-アルキレン基もしくは-HNCO-C~C-アルキレン基であり、Xは水素又はC~C-アルコキシ基である)
で表されるフェノール性水酸基修飾ポリマーを含む溶液と、
ペルオキシダーゼ、ラッカーゼ、チロシナーゼ、カタラーゼ及び鉄ポルフィリン錯体から選択される一種以上を含む溶液と、
過酸化水素を含む溶液と、
を含む塞栓形成用製剤。

【請求項2】
下記式(1):
【化2】
(省略)
(式中、Pは生体適合性ポリマーであり、Aは単結合であるか、又は-OCO-C~C-アルケニレン基、-CONH-C~C-アルキレン基もしくは-HNCO-C~C-アルキレン基であり、Xは水素又はC~C-アルコキシ基である)
で表されるフェノール性水酸基修飾ポリマー、並びに、ペルオキシダーゼ、ラッカーゼ、チロシナーゼ、カタラーゼ及び鉄ポルフィリン錯体から選択される一種以上を含む第1溶液と、
過酸化水素を含む第2溶液と、
を含む塞栓形成用製剤。

【請求項3】
下記式(1):
【化3】
(省略)
(式中、Pは生体適合性ポリマーであり、Aは単結合であるか、又は-OCO-C~C-アルケニレン基、-CONH-C~C-アルキレン基もしくは-HNCO-C~C-アルキレン基であり、Xは水素又はC~C-アルコキシ基である)
で表されるフェノール性水酸基修飾ポリマーと、ペルオキシダーゼ、ラッカーゼ、チロシナーゼ、カタラーゼ及び鉄ポルフィリン錯体から選択される一種以上と、グルコースオキシダーゼ、コリンオキシダーゼ、アミノ酸オキシダーゼ、アルコールオキシダーゼ、ピルビン酸オキシダーゼ及びコレステロールオキシダーゼから選択される一種以上とを含む塞栓形成用製剤。

【請求項4】
生体適合性ポリマーが、ゼラチン、ペクチン、アルブミン、ヒアルロン酸、アミロペクチン、キトサン、アルギン酸、カルボキシル基を有する変性ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース又はコラーゲンである請求項1~3のいずれかに記載の塞栓形成用製剤。

【請求項5】
式(1)で表されるフェノール性水酸基修飾ポリマーが、フェルラ酸基を有する甜菜由来ペクチンである請求項1~3のいずれかに記載の塞栓形成用製剤。

【請求項6】
式(1)で表されるフェノール性水酸基修飾ポリマーに加えて、式(1)で表される別種のフェノール性水酸基修飾ポリマーを含む請求項1~5のいずれかに記載の塞栓形成用製剤。

【請求項7】
式(1)で表されるフェノール性水酸基修飾ポリマーに加えて、アニリン又はその誘導体を含む請求項1~5のいずれかに記載の塞栓形成用製剤。

【請求項8】
薬剤をさらに含む請求項1~7のいずれかに記載の塞栓形成用製剤。

【請求項9】
薬剤が、抗がん剤である請求項8に記載の塞栓形成用製剤。

【請求項10】
遠位端において開口するチューブ状のカテーテル本体を有するマイクロカテーテルであって、
前記カテーテル本体の内部には隔壁により仕切られた同軸の内腔及び外腔が形成され、
前記内腔及び前記外腔はそれぞれ、前記カテーテル本体の遠位端側で開口するが、前記隔壁が前記カテーテル本体の遠位端よりも近位端側へ奥まって位置することにより、前記内腔の開口部と前記カテーテル本体の遠位端との間に、前記内腔及び前記外腔のそれぞれに供給される液体が混合される混合室が形成されている前記マイクロカテーテル。

【請求項11】
前記内腔が、下記式(1):
【化4】
(省略)
(式中、Pは生体適合性ポリマーであり、Aは単結合であるか、又は-OCO-C~C-アルケニレン基、-CONH-C~C-アルキレン基もしくは-HNCO-C~C-アルキレン基であり、Xは水素又はC~C-アルコキシ基である)
で表されるフェノール性水酸基修飾ポリマー、並びに、ペルオキシダーゼ、ラッカーゼ、チロシナーゼ、カタラーゼ及び鉄ポルフィリン錯体から選択される一種以上を含む第1溶液、又は
過酸化水素を含む第2溶液のいずれか一方を供給するためのものであり、
前記外腔が、他方を供給するためのものである、請求項10に記載のマイクロカテーテル。

【請求項12】
生体適合性ポリマーが、ゼラチン、ペクチン、アルブミン、ヒアルロン酸、アミロペクチン、キトサン、アルギン酸、カルボキシル基を有する変性ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース又はコラーゲンである請求項11に記載のマイクロカテーテル。

【請求項13】
式(1)で表されるフェノール性水酸基修飾ポリマーが、フェルラ酸基を有する甜菜由来ペクチンである請求項11に記載のマイクロカテーテル。
国際特許分類(IPC)
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出願権利状態 公開
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