トルコギキョウの新品種作出方法
国内特許コード | P170014426 |
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整理番号 | (S2015-0006-N0) |
掲載日 | 2017年7月13日 |
出願番号 | 特願2016-552364 |
登録番号 | 特許第6153213号 |
出願日 | 平成27年10月2日(2015.10.2) |
登録日 | 平成29年6月9日(2017.6.9) |
国際出願番号 | JP2015078700 |
国際公開番号 | WO2016052760 |
国際出願日 | 平成27年10月2日(2015.10.2) |
国際公開日 | 平成28年4月7日(2016.4.7) |
優先権データ |
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発明者 |
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出願人 |
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発明の名称 | トルコギキョウの新品種作出方法 |
発明の概要 |
本発明は、これまで未知であった黄色花、白色花、二重、覆輪、かすりの形質の遺伝型を含む、トルコギキョウの遺伝様式を解明し、さらに多様な花色および/または花形のトルコギキョウの新品種を作出する方法を提供することを課題とする。 トルコギキョウの花色形質および/または花形形質に対応する遺伝子型を用いるトルコギキョウの新品種作出方法であって、該遺伝子型が、 (a)フラボノイド生合成の色素前駆物質のB環の水酸化を制御し、トルコギキョウの主要アントシアニジン色素であるペラルゴニジン(Pgn)、シアニジン(Cyn)、またはデルフィニジン(Dpn)の合成に関与する複対立遺伝子の遺伝子型HXHX(ここで、HXは、HT、HF、HD、HZ、HO、またはHEで表わされる複対立遺伝子を示す。); (b)トルコギキョウの主要アントシアニジン色素であるペラルゴニジン(Pgn)、シアニジン(Cyn)、またはデルフィニジン(Dpn)の遺伝子型Pg/pg・Cy/cy・Dp/dp;および (c)有色花/白色花の遺伝子型Ans/ans; からなるAns/ans・HXHX・Pg/pg・Cy/cy・Dp/dpであるか、または、Ans/ans・HXHX・Pg/pg・Cy/cy・Dp/dpに、黄色花および白色花の組み合わせを決定する遺伝子型YXYX、八重型、二重型、および一重型の組み合わせを決定する遺伝子型DXDX、覆輪花/全色花の遺伝子型E/e、または全色花/かすり花の遺伝子型B/bのいずれか1種以上を組み合わせた遺伝子型である、上記方法。 |
従来技術、競合技術の概要 |
アントシアニン類はフラボノイド化合物の一種であり、植物の花、果実、葉などに広く分布する、赤、紫、青などの呈色に関係する色素配糖体である。アントシアニン類を塩酸で加水分解すると、糖類とアグリコン部であるアントシアニジンに分解される(非特許文献1)。また、フラボノイド化合物の一種であるフラボノール配糖体類を塩酸で加水分解すると、同様に、糖類とアグリコン部であるフラボノールに分解される(非特許文献2)。 |
産業上の利用分野 |
本発明は、トルコギキョウの花色形質および/または花形形質に対応する遺伝子型を用いてトルコギキョウの新品種を作出する方法に関する。 |
特許請求の範囲 |
【請求項1】 トルコギキョウの花色形質および/または花形形質に対応する遺伝子型を用いるトルコギキョウの新品種作出方法であって、該遺伝子型が、 (a) フラボノイド生合成の色素前駆物質のB環の水酸化を制御し、トルコギキョウの主要アントシアニジン色素であるペラルゴニジン(Pgn)、シアニジン(Cyn)、またはデルフィニジン(Dpn)の合成に関与する複対立遺伝子の遺伝子型HXHX(ここで、HXは、HT、HF、HD、HZ、HO、またはHEで表わされる複対立遺伝子を示す。); (b) トルコギキョウの主要アントシアニジン色素であるペラルゴニジン(Pgn)、シアニジン(Cyn)、またはデルフィニジン(Dpn)の遺伝子型Pg/pg・Cy/cy・Dp/dp;および (c) 有色花/白色花の遺伝子型Ans/ans; からなるAns/ans・HXHX・Pg/pg・Cy/cy・Dp/dpである、上記方法。 【請求項2】 前記遺伝子型が、さらに下記の遺伝子型: (d) 黄色花および白色花の組み合わせを決定する遺伝子型YXYX(ここで、YXはYC、YS、YWで示される複対立遺伝子であって、YCYCは黄色花のホモ型、YCYS(またはYSYC)は黄色花のヘテロ型、YCYW(またはYWYC)は黄色花のヘテロ型、YWYWは白色花のホモ型を示す。); (e) 八重型、二重型、および一重型の組み合わせを決定する遺伝子型DXDX (ここで、DXはDD、DS、DWで示される複対立遺伝子であって、DDDDは八重花のホモ型、DDDS(またはDSDD)は八重花のヘテロ型、DSDSは一重花のホモ型、DDDW(またはDWDD)は二重花のヘテロ型、DWDS(またはDSDW)は一重花のヘテロ型、DWDWは一重花のホモ型(野生型)を示す。); (f) 覆輪花/全色花の遺伝子型E/e;および (g) 全色花/かすり花の遺伝子型B/b; からなる群から選ばれる少なくとも1種の遺伝子型を含む、請求項1に記載の方法。 【請求項3】 前記遺伝子型が、B/b・Ans/ans・HXHX・Pg/pg・Cy/cy・Dp/dp・YXYXである、請求項2に記載の方法。 【請求項4】 前記遺伝子型が、DXDX・E/e・B/b・Ans/ans・HXHX・Pg/pg・Cy/cy・Dp/dp・YXYXである、請求項2に記載の方法。 【請求項5】 前記遺伝子型Ans/ans・HXHX・Pg/pg・Cy/cy・Dp/dpが下記経路式で表される反応系に関与し、遺伝するものである、請求項1~4のいずれかに記載の方法。 【化1】 (省略) (ここで、HT、HF、HD、HZ、HO、HEは、フラボノイド生合成の色素前駆物質のB環の水酸化を制御する複対立遺伝子型を示す。HT、HF、HD、HZ、HO、HEの6つの複対立遺伝子は、それぞれフラボノイド3’-ヒドロキシラーゼとフラボノイド3’,5’-ヒドロキシラーゼによるB環の3’,4’位の水酸化、4’位の水酸化、3’,4’,5’位の水酸化、3’,4’,5’位の水酸化、3’,4’位と3’,4’,5’位の水酸化、および3’,4’,5’位の水酸化を制御する。Pg/pg、Cy/cyおよびDp/dpは、Pgn、Cyn、Dpnの生合成に関与するジヒドロフラボノールリダクターゼ(DFR)の発現に対立する遺伝子座がそれぞれに存在することを示す。Ans/ansは、Pgn、Cyn、Dpnの生合成に関与するアントシアニジンシンターゼ(ANS)の発現に対立する遺伝子座が存在することを示す。) 【請求項6】 トルコギキョウのF1品種、またはF1品種を作出するためのトルコギキョウの種子親系統およびトルコギキョウの花粉親系統を作出するための、請求項1~5のいずれかに記載の方法。 【請求項7】 花粉親の配偶子を行とし、種子親の配偶子を列とする下記の早見表Aまたは早見表Bに基づいて複対立遺伝子の組み合わせを決定し、目的とする花色のトルコギキョウを作出する、請求項1~6のいずれかに記載の方法。 【表1】 (省略) 【請求項8】 花粉親の配偶子を行とし、種子親の配偶子を列とする下記の早見表C~Fのいずれか1種以上の表に基づいて複対立遺伝子の組み合わせを決定し、目的とする花色および/または花形のトルコギキョウを作出する、請求項1~6のいずれかに記載の方法。 【表2】 (省略) 【請求項9】 請求項1~8のいずれかに記載の方法によって作出されたトルコギキョウのF1品種、または当該F1品種を作出するためのトルコギキョウの種子親系統およびトルコギキョウの花粉親系統。 【請求項10】 トルコギキョウの花色形質および/または花形形質に対応する遺伝子型を有する、トルコギキョウのF1品種、または当該F1品種を作出するためのトルコギキョウの種子親系統およびトルコギキョウの花粉親系統であって、該遺伝子型が、 (a) フラボノイド生合成の色素前駆物質のB環の水酸化を制御し、トルコギキョウの主要アントシアニジン色素であるペラルゴニジン(Pgn)、シアニジン(Cyn)、またはデルフィニジン(Dpn)の合成に関与する複対立遺伝子の遺伝子型HXHX(ここで、HXは、HT、HF、HD、HZ、HO、またはHEで表わされる複対立遺伝子を示す。); (b) トルコギキョウの主要アントシアニジン色素であるペラルゴニジン(Pgn)、シアニジン(Cyn)、またはデルフィニジン(Dpn)の遺伝子型Pg/pg・Cy/cy・Dp/dp;および (c) 有色花/白色花の遺伝子型Ans/ans; からなるAns/ans・HXHX・Pg/pg・Cy/cy・Dp/dpである、上記トルコギキョウのF1品種、または当該F1品種を作出するためのトルコギキョウの種子親系統およびトルコギキョウの花粉親系統。 【請求項11】 さらに下記の遺伝子型: (d) 黄色花および白色花の組み合わせを決定する遺伝子型YXYX(ここで、YXはYC、YS、YWで示される複対立遺伝子であって、YCYCは黄色花のホモ型、YCYS(またはYSYC)は黄色花のヘテロ型、YCYW(またはYWYC)は黄色花のヘテロ型、YWYWは白色花のホモ型を示す。); (e) 八重型、二重型、および一重型の組み合わせを決定する遺伝子型DXDX (ここで、DXはDD、DS、DWで示される複対立遺伝子であって、DDDDは八重花のホモ型、DDDS(またはDSDD)は八重花のヘテロ型、DSDSは一重花のホモ型、DDDW(またはDWDD)は二重花のヘテロ型、DWDS(またはDSDW)は一重花のヘテロ型、DWDWは一重花のホモ型(野生型)を示す。); (f) 覆輪花/全色花の遺伝子型E/e;および (g) 全色花/かすり花の遺伝子型B/b; からなる群から選ばれる少なくとも1種の遺伝子型を有する、請求項10に記載のトルコギキョウのF1品種、または当該F1品種を作出するためのトルコギキョウの種子親系統およびトルコギキョウの花粉親系統。 |
国際特許分類(IPC) |
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Fターム |
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出願権利状態 | 登録 |
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