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コミュニケーション能力評価支援装置、コミュニケーション能力評価支援システム、コミュニケーション能力評価支援方法及びプログラム

国内特許コード P170014669
整理番号 S2016-0653-N0
掲載日 2017年11月14日
出願番号 特願2016-080402
公開番号 特開2017-189381
出願日 平成28年4月13日(2016.4.13)
公開日 平成29年10月19日(2017.10.19)
発明者
  • 大塚 作一
出願人
  • 国立大学法人鹿児島大学
発明の名称 コミュニケーション能力評価支援装置、コミュニケーション能力評価支援システム、コミュニケーション能力評価支援方法及びプログラム
発明の概要 【課題】簡易な構成で適切に潜在的コミュニケーション困難性のスクリーニングを行うことができるコミュニケーション能力評価支援装置等を提供する。
【解決手段】コミュニケーション能力評価支援装置10は、潜在的コミュニケーション困難性の判定のための課題を音声情報として出力可能な音声出力部30と、課題に対する回答を受け付ける入力部33と、入力部33に入力された回答が課題に対する正答であるか否かを判定する判定部202とを備える。
【選択図】図1
従来技術、競合技術の概要

社会性やコミュニケーション能力に問題が生じる例として、自閉症スペクトラム(Autistic Spectrum Disorders、以下、ASDという)などの発達障害がよく知られている(非特許文献1)。ASDは、従来型の自閉症やアスペルガー症候群等を含む広い概念をまとめたものである(精神障害の診断と統計マニュアル第5版(DSM-5))。

ASDを正確に診断することは専門家でも困難であるが、自己回答形式のアンケートによっておおよその傾向を把握する取組も広く行われており、自閉症スペクトラム指数(Autism Spectrum Quotient、以下、AQという)テストとして普及している(非特許文献2)。

また、ASDの程度は多彩であり、近年では、個性と発達障害の間に境界は存在しないと考えられている。定型発達(Typically Developing、以下、TDという)からわずかにASD傾向を有し、症状が軽度でサブクリニカルな人々を「広い自閉症表現型(Broader Autism Phenotype、以下、BAPという)」と定義することもある(非特許文献3)。非特許文献3によれば、AQの得点が、23~28をBAP、29~34をMAP(Medium Autism Phenotype)、35以上をNAP(Narrow Autism Phenotype)として区別している。

したがって、一般的には、上述のAQテストを実施した結果、AQの得点が正常値(22以下)でTDに属すると推測される人、もしくは、AQの得点が23~28でBAPに属すると推測される人は、コミュニケーション能力には特段の問題がなく、医学的なケアは不要な状況であると認識されている。

しかし、発明者の調査によって、AQの得点が十分に低い正常値(一桁から10点台)であって、本人も周囲もコミュニケーション能力が通常であると認識している人であっても、コミュニケーションに問題を生じる場合があることが、明らかとなった。具体的には、静穏な環境において、2者が一対一でごく一般的な会話を行っている中で「相手の状況を的確に把握することが出来ず、意図の取り違えを起こす人」が相当数存在することが明らかとなった。この状況は、一般的にASDが不得意とされる、3者以上の多人数で複雑な会話がなされる環境でもなく、高騒音環境下でもなかった(非特許文献1参照)。

また、上述の調査では、「相手の状況を的確に把握することが出来ず、意図の取り違えを起こす」状況は、会話の速記録としてのメモをとらずに会話を行った場合において顕著に表れることも示された。この状況は、現状のASDの判定基準では説明できない。非特許文献2に示されるAQテストが、聴覚的なコミュニケーションと視覚的なコミュニケーションとを特徴的に区別するための診断項目を多数含んでいないことからも、上記の状況を説明できないことは明らかである。

そこで、上述の属性を「潜在的コミュニケーション困難性(Latent Difficulties in Communications、以下、LDCという)」と名付けることにする。LDCをより具体的に表せば、「会話における潜在的文脈理解困難性」と捉えることができる。

会話に限らず「相手の状況を的確に把握することが出来ず、意図の取り違えを起こす」状況は、ASDにおいて「心の理論:他者の感情や意志、欲求などを推察すること」が狭まる状況と推定されている。これに基づくASDのスクリーニング方法として、誤信念課題(False-belief task)を用いる方法が知られている。誤信念課題とは、他者の立場で状況を理解することができるか否かを判定する課題であり、幼児向けのものとしては、「サリーとアンの課題」がよく知られている(非特許文献4)。

産業上の利用分野

本発明は、コミュニケーション能力評価支援装置、コミュニケーション能力評価支援システム、コミュニケーション能力評価支援方法及びプログラムに関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
コミュニケーション能力評価のための課題を音声情報として出力可能な音声出力部と、
前記音声出力部が出力した課題に対する回答を受け付ける入力部と、
前記入力部に入力された回答が正答であるか否かを判定する判定部と、
を備えるコミュニケーション能力評価支援装置。

【請求項2】
前記課題は、
誤信念課題である、請求項1に記載のコミュニケーション能力評価支援装置。

【請求項3】
コミュニケーション能力評価のための課題を視覚情報として出力可能な表示部を備える、請求項1又は2に記載のコミュニケーション能力評価支援装置。

【請求項4】
前記音声出力部は、コミュニケーション能力改善のための訓練課題を音声情報として出力可能であり、
前記音声出力部が出力した訓練課題を視覚情報として出力可能な表示部を備える、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のコミュニケーション能力評価支援装置。

【請求項5】
前記訓練課題は、
難易度によって予め分類されている、請求項4に記載のコミュニケーション能力評価支援装置。

【請求項6】
コミュニケーション能力評価のための課題と前記課題に対する正答とを記憶するデータベースと、
課題を音声情報として出力する音声出力部は、前記データベースに保存されており前記データベースから送信された課題を出力する、請求項1乃至5のいずれか1項に記載のコミュニケーション能力評価支援装置と、
を備えるコミュニケーション能力評価支援システム。

【請求項7】
コミュニケーション能力評価のための課題を音声情報として出力し、前記音声情報として出力された課題に対する回答の入力を受け付けて、前記回答が正答であるか否かを判定する、コミュニケーション能力評価支援方法。

【請求項8】
コンピュータを、
コミュニケーション能力評価のための課題を音声情報として出力する音声出力部、
前記音声出力部が出力した課題に対する回答を受け付ける入力部、
前記入力部に入力された回答が正答であるか否かを判定する判定部、
として機能させるプログラム。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2016080402thum.jpg
出願権利状態 公開
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