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分子生態学的手法を用いた植物共生糸状菌の多様性解析法

国内特許コード P170014648
整理番号 S2016-0546-N0
掲載日 2017年10月24日
出願番号 特願2016-051621
公開番号 特開2017-163891
出願日 平成28年3月15日(2016.3.15)
公開日 平成29年9月21日(2017.9.21)
発明者
  • 池永 誠
  • 境 雅夫
出願人
  • 国立大学法人鹿児島大学
発明の名称 分子生態学的手法を用いた植物共生糸状菌の多様性解析法
発明の概要 【課題】植物共生糸状菌の多様性解析において使用する、植物共生糸状菌のrRNA遺伝子間に存在する内部転写スペーサー領域(Internal Transcribed Spacer領域;ITS領域)を選択的に増幅する方法を提供することを目的とする。
【解決手段】植物試料由来のDNAと、植物共生糸状菌のITS領域を標的とする2つのプライマーから成るプライマーセット(少なくとも一方のプライマーは、ロックド核酸(LNA)を含有する)と、当該プライマーセットのプライマーと競合する位置に設計した植物のDNAに対応するLNA含有オリゴヌクレオチドを含有する反応液を用いてPCRを行い、当該LNA含有オリゴヌクレオチドにより植物のITS領域の増幅が阻害され、且つ当該プライマーにより植物共生糸状菌のITS領域を選択的に増幅する。
【選択図】図1
従来技術、競合技術の概要

分子生態学的手法を用いた植物共生糸状菌の多様性解析においては、宿主植物に由来するDNAが過剰にPCR増幅され、その多様性が過小評価される重大な問題が存在する。このため、植物共生糸状菌を微生物資材として農業利用する研究の進展は停滞していた。

一方、植物共生細菌多様性の解析においても同様に、植物オルガネラ(ミトコンドリア及びプラスチド)に由来するDNAが過剰にPCR増幅される問題が存在しており、当該問題を克服するために、本発明者等は、ロックド核酸(Locked Nucleic Acid:以下、「LNA」と称する)クランプ技術による植物内生菌のSSU rRNA(Small Subunit ribosomal RNA)遺伝子の選択的PCR増幅法を開発した(特許文献1)。当該方法では、植物オルガネラのSSU rRNA遺伝子に特異的なLNA含有オリゴヌクレオチドを、細菌用プライマーと競合する位置に設計し、植物オルガネラのSSU rRNA遺伝子のPCRを阻害することによって、植物内生菌のSSU rRNA遺伝子を選択的に増幅する。

産業上の利用分野

本発明は、例えば植物共生糸状菌のrRNA遺伝子間に存在する内部転写スペーサー領域(Internal Transcribed Spacer領域;以下、「ITS領域」と称する)を選択的に増幅する方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
植物試料由来のDNAと、植物共生糸状菌の内部転写スペーサー領域(ITS領域)を標的とする2つのプライマーから成るプライマーセットと、植物のDNAにアニーリングするロックド核酸(LNA)含有オリゴヌクレオチドを含有する反応液をPCRに供する工程を含む、植物共生糸状菌のITS領域を増幅する方法であって、
前記プライマーの少なくとも一方は、前記植物のDNAと比較して植物共生糸状菌のDNAに特異的な塩基にアニーリングする塩基をLNAに置換した塩基配列を有し、
前記LNA含有オリゴヌクレオチドは、前記プライマーの少なくとも一方が前記植物のDNAにアニーリングする部位と競合する位置に設計され、その5'末端において該プライマーの3'末端と1塩基以上同一であり、該プライマーが前記植物共生糸状菌のDNAにアニーリングする位置から伸長反応側にスライドした位置において該植物共生糸状菌のDNAと比較して該植物のDNAに特異的な塩基にアニーリングする塩基をLNAに置換した塩基配列を有し、且つ該LNA含有オリゴヌクレオチドの3'末端は伸長反応が起きないようにリン酸化又はジデオキシ化されており、
該LNA含有オリゴヌクレオチドにより植物のITS領域の増幅が阻害され、且つ前記プライマーにより植物共生糸状菌のITS領域を選択的に増幅する、
前記方法。

【請求項2】
植物試料由来のDNAと、以下の(a)及び(b)のプライマーから成るプライマーセットと、以下の(c)~(e)のうち少なくとも1つのLNA含有オリゴヌクレオチドを含有する反応液をPCRに供する工程を含み、該LNA含有オリゴヌクレオチドの3'末端は伸長反応が起きないようにリン酸化又はジデオキシ化されており、且つ該LNA含有オリゴヌクレオチドにより植物のITS領域の増幅が阻害され、且つ前記プライマーにより植物共生糸状菌のITS領域を選択的に増幅する、植物共生糸状菌のITS領域を増幅する方法。
(a)CTYGGTCATTTAGAGGAASTAA(配列番号1)の塩基配列から成るLNA含有プライマー(ここで、第5、20及び22番目の塩基がLNAである)
(b)TCCTCCGCTTATTGATATGC(配列番号2)の塩基配列から成るプライマー
(c)CTTAAACTCAGCGGGTAGTCCC(配列番号3)の塩基配列から成るLNA含有オリゴヌクレオチド(ここで、第6、7及び22番目の塩基がLNAである)
(d)CTTAAACTCAGCGGGTAGCCCC(配列番号4)の塩基配列から成るLNA含有オリゴヌクレオチド(ここで、第6、7、19及び22番目の塩基がLNAである)
(e)GCTTAAACTCAGCGGGTAATCCC(配列番号5)の塩基配列から成るLNA含有オリゴヌクレオチド(ここで、第7、8、19及び23番目の塩基がLNAである)

【請求項3】
前記PCR工程後に得られたPCR産物を、ネステッドPCRに供する工程をさらに含む、請求項1又は2記載の方法。

【請求項4】
以下の(f)及び(g)のプライマーから成るプライマーセットをネステッドPCRに使用する、請求項3記載の方法。
(f)CGCCCGCCGCGCGCGGCGGGCGGGGCGGGGGCACGGGGGGCTYGGTCATTTAGAGGAASTAA(配列番号6)の塩基配列から成るプライマー
(g)GCTGCGTTCTTCATCGATGC(配列番号7)の塩基配列から成るプライマー

【請求項5】
前記ネステッドPCR工程後に得られたPCR産物を変性剤濃度勾配ゲル電気泳動(DGGE)に供する工程をさらに含む、請求項3又は4記載の方法。

【請求項6】
植物共生糸状菌のITS領域を標的とする2つのプライマーから成るプライマーセットと、植物のDNAにアニーリングするLNA含有オリゴヌクレオチドを含む、植物共生糸状菌のITS領域増幅用キットであって、
前記プライマーの少なくとも一方は、前記植物のDNAと比較して植物共生糸状菌のDNAに特異的な塩基にアニーリングする塩基をLNAに置換した塩基配列を有し、
前記LNA含有オリゴヌクレオチドは、前記プライマーの少なくとも一方が前記植物のDNAにアニーリングする部位と競合する位置に設計され、その5'末端において該プライマーの3'末端と1塩基以上同一であり、該プライマーが前記植物共生糸状菌のDNAにアニーリングする位置から伸長反応側にスライドした位置において該植物共生糸状菌のDNAと比較して該植物のDNAに特異的な塩基にアニーリングする塩基をLNAに置換した塩基配列を有し、且つ該LNA含有オリゴヌクレオチドの3'末端は伸長反応が起きないようにリン酸化又はジデオキシ化されている、
前記キット。

【請求項7】
以下の(a)及び(b)のプライマーから成るプライマーセットと、以下の(c)~(e)のうち少なくとも1つのLNA含有オリゴヌクレオチドを含む、植物共生糸状菌のITS領域増幅用キットであって、該LNA含有オリゴヌクレオチドの3'末端は伸長反応が起きないようにリン酸化又はジデオキシ化されている、前記キット。
(a)CTYGGTCATTTAGAGGAASTAA(配列番号1)の塩基配列から成るLNA含有プライマー(ここで、第5、20及び22番目の塩基がLNAである)
(b)TCCTCCGCTTATTGATATGC(配列番号2)の塩基配列から成るプライマー
(c)CTTAAACTCAGCGGGTAGTCCC(配列番号3)の塩基配列から成るLNA含有オリゴヌクレオチド(ここで、第6、7及び22番目の塩基がLNAである)
(d)CTTAAACTCAGCGGGTAGCCCC(配列番号4)の塩基配列から成るLNA含有オリゴヌクレオチド(ここで、第6、7、19及び22番目の塩基がLNAである)
(e)GCTTAAACTCAGCGGGTAATCCC(配列番号5)の塩基配列から成るLNA含有オリゴヌクレオチド(ここで、第7、8、19及び23番目の塩基がLNAである)

【請求項8】
2つのネステッドPCR用プライマーから成るプライマーセットをさらに含む、請求項6又は7記載のキット。

【請求項9】
2つのネステッドPCR用プライマーが、以下の(f)及び(g)のプライマーである、請求項8記載のキット。
(f)CGCCCGCCGCGCGCGGCGGGCGGGGCGGGGGCACGGGGGGCTYGGTCATTTAGAGGAASTAA(配列番号6)の塩基配列から成るプライマー
(g)GCTGCGTTCTTCATCGATGC(配列番号7)の塩基配列から成るプライマー

【請求項10】
DGGE用試薬をさらに含む、請求項8又は9記載のキット。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2016051621thum.jpg
出願権利状態 公開
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