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核小体ストレス応答を誘導する薬剤の探索のためのポリペプチドの組み合わせ及びスクリーニング方法

国内特許コード P150012566
整理番号 (S2014-0041-N0)
掲載日 2015年11月20日
出願番号 特願2014-110486
公開番号 特開2015-097523
登録番号 特許第6323868号
出願日 平成26年5月28日(2014.5.28)
公開日 平成27年5月28日(2015.5.28)
登録日 平成30年4月20日(2018.4.20)
優先権データ
  • 特願2013-217200 (2013.10.18) JP
発明者
  • 河原 康一
  • 古川 龍彦
  • 有馬 一成
  • 上條 陽平
  • 堀口 史人
出願人
  • 国立大学法人鹿児島大学
発明の名称 核小体ストレス応答を誘導する薬剤の探索のためのポリペプチドの組み合わせ及びスクリーニング方法
発明の概要 【課題】核小体ストレス応答を誘導する抗癌剤を探索可能な、ポリペプチドの組み合わせ及びスクリーニング方法を提供すること。
【解決手段】RPL5とタンパク質Iの融合ポリペプチドI及びMDM2とタンパク質IIの融合ポリペプチドIIの組み合わせであって、前記タンパク質I及びタンパク質IIが、前記RPL5と前記MDM2とが分子間結合することにより、蛍光を発するか又は蛍光輝点を形成することを特徴とする、核小体ストレス応答を検出可能とする前記融合ポリペプチドI及びIIの組み合わせ、又は該融合ポリペプチドを含むベクター、あるいは該融合ポリペプチド若しくはベクターを含んでなるキット。
【選択図】図3
従来技術、競合技術の概要

従来の抗癌化学療法や放射線による抗癌治療は、主としてゲノムDNAの損傷を起こすことで、癌細胞の増殖を抑制する。しかしながら、小児期にリンパ腫を患いこれらの治療を受けた患者の約20%は、30年以内に別の臓器に二次癌を発症している(非特許文献1)。このように、DNA損傷を生じる抗癌治療では、腫瘍の進行を阻害できたとしても、正常細胞に変異が導入され新たな腫瘍が生じるリスクがあり、これは治療において非常に深刻な問題である。従って、新たな作用機序を有する薬剤の開発は、抗癌治療にとって危急の課題である。

本発明者は、核小体ストレス応答が、DNA障害なしにp53を増加させ癌細胞の増殖や腫瘍化進展を著しく抑制することを見出した(非特許文献2)。従って、薬剤によって核小体ストレス応答を誘導することができれば、癌の進行を阻止できると考えられる。

これまで、核小体ストレス応答は、免疫沈降法によってリボソーム蛋白質とMDM2との結合を検出することで測定されてきた(非特許文献2)。しかしながら、免疫沈降法では、1)検出感度が悪く大量の細胞材料を必要とし、2)未熟な実験者であれば実験誤差が大きく、3)特異的な抗体やProtein-Gセファロース等の高価な試薬が必要であり、4)作業工程が多く煩雑であることから、通常数百万規模の化合物を対象とする薬剤スクリーニングに用いることは困難であった。

産業上の利用分野

本発明は、核小体ストレス応答を誘導する薬剤の探索のためのポリペプチドの組み合わせ及びスクリーニング方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
RPL5とタンパク質Iの融合ポリペプチドI及びMDM2とタンパク質IIの融合ポリペプチドIIの組み合わせであって、前記タンパク質I及びタンパク質IIが、前記RPL5と前記MDM2とが分子間結合することにより、蛍光を発することを特徴とする、核小体ストレス応答を検出可能とする前記融合ポリペプチドI及びIIの組み合わせであって、
前記タンパク質I及び前記タンパク質IIがそれぞれ蛍光タンパク質I及びIIであって、前記蛍光タンパク質I及び蛍光タンパク質IIが、それぞれドナー蛍光タンパク質及びアクセプター蛍光タンパク質であるか、又はそれぞれアクセプター蛍光タンパク質及びドナー蛍光タンパク質であり、RPL5とMDM2とが分子間結合することにより、前記蛍光タンパク質Iと前記蛍光タンパク質IIとが相互近接したときに、蛍光を発し、かつ
前記融合ポリペプチドI及びIIの組み合わせが、RPL5のC末端に蛍光タンパク質Iを連結させたポリペプチドIとMDM2のN末端に蛍光タンパク質IIを連結させたポリペプチドの組み合わせであるか、あるいは、RPL5のN末端に蛍光タンパク質Iを連結させたポリペプチドとMDM2のC末端に蛍光タンパク質IIを連結させたポリペプチドの組み合わせである、融合ポリペプチドI及びIIの組み合わせ

【請求項2】
蛍光タンパク質IがEYFPであり、蛍光タンパク質IIがECFPである、請求項に記載の融合ポリペプチドの組み合わせ。

【請求項3】
前記RPL5とEYFPの融合ポリペプチドIが配列番号8又は10のアミノ酸配列と90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項に記載のポリペプチドの組み合わせ。

【請求項4】
前記MDM2とECFPの融合ポリペプチドIIが配列番号12又は14のアミノ酸配列と90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項又はに記載のポリペプチドの組み合わせ。

【請求項5】
前記融合ポリペプチドIが配列番号10のアミノ酸配列と90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつ前記融合ポリペプチドIIが配列番号12のアミノ酸配列と90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、又は前記融合ポリペプチドIが配列番号8のアミノ酸配列と90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつ前記融合ポリペプチドIIが配列番号14のアミノ酸配列と90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項に記載のポリペプチドの組み合わせ。

【請求項6】
RPL5とタンパク質Iの融合ポリペプチドI及びMDM2とタンパク質IIの融合ポリペプチドIIの組み合わせであって、前記タンパク質I及びタンパク質IIが、前記RPL5と前記MDM2とが分子間結合することにより、蛍光輝点を形成することを特徴とする、核小体ストレス応答を検出可能とする前記融合ポリペプチドI及びIIの組み合わせであって、
前記タンパク質I及び前記タンパク質IIがそれぞれ、多量体形成能を有する蛍光タンパク質及び多量体形成能を有するAssembly Helper Tag(Ash-Tag)であるか、又はそれぞれ多量体形成能を有するAsh-Tag及び多量体形成能を有する蛍光タンパク質であって、RPL5とMDM2とが分子間結合することにより、融合ポリペプチドI及びIIが多量体化したときに、蛍光輝点を形成することを特徴とする、融合ポリペプチドI及びIIの組み合わせ。

【請求項7】
前記融合ポリペプチドIが配列番号24のアミノ酸配列と90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつ前記融合ポリペプチドIIが配列番号26のアミノ酸配列と90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項に記載の融合ポリペプチドI及びIIの組み合わせ。

【請求項8】
請求項1~のいずれか1項に記載の融合ポリペプチドIをコードするDNAを発現可能に含むベクターと、融合ポリペプチドIIをコードするDNAを発現可能に含むベクターとの組み合わせ、又は前記融合ポリペプチドIをコードするDNAと前記融合ポリペプチドIIをコードするDNAの両方を共発現可能に含むベクター。

【請求項9】
請求項1~のいずれか1項に記載の融合ポリペプチドの組み合わせ、又は請求項に記載のベクターを含んでなるキット。

【請求項10】
核小体ストレス応答を検出するためのものである、請求項に記載のキット。

【請求項11】
分子標的薬又は抗癌剤をスクリーニングするためのものである、請求項に記載のキット。

【請求項12】
(a)請求項1~のいずれか1項に記載の融合ポリペプチドI及びIIの組み合わせを哺乳類細胞に導入するステップ、又は請求項に記載のベクター若しくは請求項11のいずれか1項に記載のキットを用いて前記融合ポリペプチドI及びIIを哺乳類細胞において共発現させるステップ、
(b)被験物質を、前記哺乳類細胞に接触させるステップ、並びに、
(c)前記融合ポリペプチドIのタンパク質Iと前記融合ポリペプチドIIのタンパク質IIとの相互近接によるFret蛍光シグナル又は多量体化による蛍光輝点の形成を指標として、RPL5とMDM2の結合を検出するステップ、
を含む、哺乳類細胞における、核小体ストレス応答を標的とした薬剤のスクリーニング方法。

【請求項13】
(a)請求項のいずれか1項に記載の融合ポリペプチドI及びIIの組み合わせを哺乳類細胞に導入するステップ、又は請求項に記載のベクター若しくは請求項11のいずれか1項に記載のキットを用いて前記融合ポリペプチドI及びIIを哺乳類細胞において共発現させるステップ、
(b)被験物質を、前記哺乳類細胞に接触させるステップ、並びに、
(c)前記融合ポリペプチドIのタンパク質Iと前記融合ポリペプチドIIのタンパク質IIとの相互近接によるFret蛍光シグナルを指標として、RPL5とMDM2の結合を検出するステップ、
を含む、Fretシステム、並びに
(a')請求項のいずれか1項に記載の融合ポリペプチドI及びIIの組み合わせを哺乳類細胞に導入するステップ、又は請求項に記載のベクター若しくは請求項11のいずれか1項に記載のキットを用いて前記融合ポリペプチドI及びIIを哺乳類細胞において共発現させるステップ、
(b')被験物質を、前記哺乳類細胞に接触させるステップ、並びに、
(c')前記融合ポリペプチドIのタンパク質Iと前記融合ポリペプチドIIのタンパク質IIの多量体化による蛍光輝点の形成を指標として、RPL5とMDM2の結合を検出するステップ、を含む、Fluoppiシステムを用いることを特徴とする、哺乳類細胞における、核小体ストレス応答を標的とした薬剤のスクリーニング方法。

【請求項14】
前記哺乳類細胞が、癌細胞である、請求項12又は13に記載の方法。

【請求項15】
前記哺乳類細胞が、COS1細胞、HeLa細胞、及びH1299細胞からなる群より選択される、請求項12又は13に記載の方法。

【請求項16】
前記薬剤が抗癌剤である、請求項1215のいずれか1項に記載の方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 登録
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