IgG結合性ペプチド及びそれによるIgGの検出および精製方法
国内特許コード | P150012014 |
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掲載日 | 2015年6月12日 |
出願番号 | 特願2013-530055 |
登録番号 | 特許第5994068号 |
出願日 | 平成24年8月23日(2012.8.23) |
登録日 | 平成28年9月2日(2016.9.2) |
国際出願番号 | JP2012071303 |
国際公開番号 | WO2013027796 |
国際出願日 | 平成24年8月23日(2012.8.23) |
国際公開日 | 平成25年2月28日(2013.2.28) |
優先権データ |
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発明者 |
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出願人 |
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発明の名称 | IgG結合性ペプチド及びそれによるIgGの検出および精製方法 |
発明の概要 |
ヒトIgGに特異的又は選択的に結合性を有するペプチドを提供する。 式I:(X1-3)-C-(X2)-H-R-G-(Xaa1)-L-V-W-C-(X1-3) (式中、Xの各々は独立的にシステイン以外の任意のアミノ酸残基であり、Cはシステイン残基であり、Hはヒスチジン残基であり、Rはアルギニン残基であり、Gはグリシン残基であり、Xaa1はグルタミン酸残基またはアスパラギン残基であり、Lはロイシン残基であり、Vはバリン残基であり、かつWはトリプトファン残基である。)によって表される、13~17アミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含み、かつヒトIgGと結合可能であることを特徴とするペプチド。 |
従来技術、競合技術の概要 |
現在、抗体医薬は、最も確実性の高い分子標的医薬として注目されており、新しい医薬品分野を急速に拡大している。現在開発中又は使用されている抗体医薬のほとんどは免疫グロブリンG(以下「IgG」と記載する)クラスに属する抗体を用いるものである。 従来的に、IgG抗体の精製には、Staphylococcus aureus由来のプロテインAまたはプロテインGタンパク質が用いられている(非特許文献1,2)。これらのタンパク質は、マウス、ウサギのIgGにも結合するため、研究試薬のレベルでのIgG精製に多用されてきたが、近年ヒトIgG1を中心とした抗体医薬が、医薬分野に利用されるようになり、工業的、製薬的な利用における重要性がますます高まっている。特にプロテインAカラムは、抗体医薬の精製においても中心的な役割を果たしており、多くの抗体医薬の製造メーカは、このカラムを中心とした精製システムを導入している。 しかしながら、このプロテインAカラムは、いくつかの問題点が指摘されている。1つには、精製抗体中へのプロテインAの混入の問題である。プロテインAはバクテリア由来のタンパク質であり、人体投与後の免疫原性が高く、またエンドトキシンの混入が危惧される。このような医薬品精製に用いるアフィニティリガンドとしては、不都合な物質の混入が起こらないよう、リガンドとしてのプロテインAには高い精製度が求められており、これが医薬品精製に利用するプロテインAカラムのコストを上げている要因になっている。 このような問題を解決すべく、新たなIgG抗体の精製システムの開発が行われている。例えば、プロテインAミメティックペプチド(非特許文献3,4)や、プロテインAとIgG抗体のFcとのX線結晶構造を基に設計された、非ペプチド性のアフィニティリガンド(非特許文献5)が報告されているが、それらは結合能力や特異性における問題で利用には限界があった。 また、ファージライブラリや合成ペプチドライブラリなどを使って、新たなIgG結合性ペプチドを探索する研究が多くなされている(特許文献1-3)。 このように、新たなペプチド、低分子によるIgG抗体精製の研究は行われているものの、プロテインA、Gカラムに代わりうる、工業的なスケールで対応可能な新たな精製システムは存在せず、当該分野において依然として、IgG抗体を精製するための新たな手法が求められている。 |
産業上の利用分野 |
本発明は、ランダムペプチドライブラリから得られたヒトIgG結合性ペプチド及び該ペプチドによるIgGの検出および精製方法に関する。 |
特許請求の範囲 |
【請求項1】 下記の式I: (X1-3)-C-A-Y-H-R-G-E-L-V-W-C-(X1-3) (I) (式中、Xの各々は独立的にシステイン以外の任意のアミノ酸残基であり、 Cはシステイン残基であり、 Aはアラニン残基であり、 Yはチロシン残基であり、 Hはヒスチジン残基であり、 Rはアルギニン残基であり、 Gはグリシン残基であり、 Eはグルタミン酸残基であり、 Lはロイシン残基であり、 Vはバリン残基であり、かつ Wはトリプトファン残基である。) によって表される、13~17アミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含み、かつヒトIgGと結合可能であることを特徴とするペプチド。 【請求項2】 17アミノ酸残基とした場合の、N末端から1~3、15~17番目の各アミノ酸残基が、 1番目のアミノ酸残基= S、G、F又は、なし 2番目のアミノ酸残基= D、G、A、S、P又は、なし 3番目のアミノ酸残基= S、D、T、N、E又はR、 15番目のアミノ酸残基= S、T又はD、 16番目のアミノ酸残基= H、G、Y、T、N、D、F又は、なし、 17番目のアミノ酸残基= Y、F、H、M又は、なし である、請求項1に記載のペプチド。 【請求項3】 以下の1)~12)のいずれかのアミノ酸配列からなる、請求項2に記載のペプチド。 1)DCAYHRGELVWCT(配列番号55) 2)GPDCAYHRGELVWCTFH(配列番号56) 3)RCAYHRGELVWCS(配列番号57) 4)GPRCAYHRGELVWCSFH(配列番号58) 5)SPDCAYHRGELVWCTFH(配列番号100) 6)GDDCAYHRGELVWCTFH(配列番号101) 7)GPSCAYHRGELVWCTFH(配列番号102) 8)GPDCAYHRGELVWCSFH(配列番号103) 9)GPDCAYHRGELVWCTHH(配列番号104) 10)GPDCAYHRGELVWCTFY(配列番号105) 11)SPDCAYHRGELVWCTFY(配列番号106) 12)SDDCAYHRGELVWCTFY(配列番号107) 【請求項4】 ペプチドが2つのシステイン(C)残基間でジスルフィド結合を形成している、請求項1~3のいずれか1項に記載のペプチド。 【請求項5】 標識が結合されている、請求項1~4のいずれか1項に記載のペプチド。 【請求項6】 請求項1~5のいずれか1項に記載のペプチドと連結されたタンパク質からなる融合タンパク質。 【請求項7】 請求項1~5のいずれか1項に記載のペプチドを固相に結合してなる固定化ペプチド。 【請求項8】 請求項1~5のいずれか1項に記載のペプチドをコードする核酸。 【請求項9】 請求項1~5のいずれか1項に記載のペプチド又は請求項7に記載の固定化ペプチドをIgGと結合させること、並びに、結合したIgGを遊離させてIgGを回収することを含む、IgGの精製方法。 【請求項10】 請求項1~5のいずれか1項に記載のペプチド又は請求項7に記載の固定化ペプチドにサンプル中のIgGを結合させ、結合したIgGを検出することを含む、IgGの検出方法。 【請求項11】 請求項1~5のいずれか1項に記載のペプチド又は請求項7に記載の固定化ペプチドの少なくとも1種を含む、ヒトIgGの分析又は精製のためのキット。 【請求項12】 請求項7に記載の固定化ペプチドを含有する、IgG分離用カラム。 |
国際特許分類(IPC) |
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Fターム |
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出願権利状態 | 登録 |
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