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シルセスキオキサン構造を有するイオン液体及びその製造方法

国内特許コード P150011481
整理番号 S2013-0940-N0
掲載日 2015年3月3日
出願番号 特願2013-101422
公開番号 特開2014-221737
登録番号 特許第6083643号
出願日 平成25年5月13日(2013.5.13)
公開日 平成26年11月27日(2014.11.27)
登録日 平成29年2月3日(2017.2.3)
発明者
  • 金子 芳郎
出願人
  • 国立大学法人鹿児島大学
発明の名称 シルセスキオキサン構造を有するイオン液体及びその製造方法
発明の概要 【課題】容易に製造することができるSQ構造を有するイオン液体及びその製造方法を提供する。
【解決手段】TMTESPACにTFSI水溶液を加え、撹拌する。例えば、TFSI水溶液の濃度は0.5mol/Lとし、TMTESPACに対するTFSIのモル比(TFSIの量(mol)/TMTESPACの量(mol))は1.5とする。また、例えば撹拌は室温で2時間行う。その後、この水溶液から相分離した粘性のある生成物をデカンテーションにより単離し、水で洗浄する。更に、減圧下での乾燥を行う。続いて、メタノールに溶解させる。そして、例えば60℃の開放系で蒸発乾燥し、更に150℃のオーブンで加熱する。メタノールへの溶解及びその後の加熱は、減圧乾燥後にも生成物中に僅かに含まれる水を取り除くための処理である。
【選択図】図1
従来技術、競合技術の概要

近年、イオン液体は、不揮発性、難燃性、イオン導電性、高い熱安定性などの特徴を有することから、キャパシタ、リチウムイオン電池、色素増感太陽電池、燃料電池等の電解質としての利用が期待されている(非特許文献1参照)。

イオン液体の定義として「室温付近(100℃以下)に融点(Tm)を有する塩であり、イオンのみからなる液体」が一般的に受け入れられている(非特許文献2参照)。しかし、必ずしも100℃以下にTmがあるものに限定されるわけではなく、非晶質なイオン液体においては、Tmは存在せず、ガラス転移点(Tg)のみを示すものも報告されている。例えば、非晶質なイオン液体である1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレートは、-85℃にTgを示すがTmは存在しない(非特許文献3参照)。これは、かさ高い置換基の影響によるものと考えられるが、このようなイオン液体はTg以上で流動性を示す、いわゆる「液体」となる。また、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムカチオンとリン酸誘導体アニオン([(MeO)(R)PO2])からなるイオン液体も、Tmを示さずTgのみが観測されることが報告されている(非特許文献4参照)。このため、イオン液体を「室温付近(100℃以下)で『液体』の状態を示す、カチオン及びアニオンのみから構成される『塩』」と定義することもできる。

イオン液体に用いられるカチオンには、四級アンモニウムやイミダゾリウム、ピリジニウムなどがあり、一方アニオンとしては、臭化物イオンやトリフラートなどのハロゲン系、テトラフェニルボレートなどのホウ素系、ヘキサフルオロホスフェートなどのリン系などがある。

一般に、無機イオン同士からなる塩には、室温でイオン液体になるものは比較的少なく、多くのイオン液体はカチオン及びアニオンの両方又は一方が有機イオンから構成されている。しかし、無機成分(例えばシロキサン(Si-O-Si)結合を骨格とする材料)をより多く含むイオン液体の開発は、耐久性や耐熱性、難燃性の向上が予想され、より安全な電解質としての利用が期待される。例えば、自動車用途でのリチウムイオン電池やキャパシタ用の電解質においては、事故の際に被害を最小限に食い止めるためにも難燃性の性質が非常に重要となる。以上の背景より、最近、Si-O-Si結合骨格材料であるかご型オクタシルセスキオキサン(以下、シルセスキオキサンを「SQ」ともいう)の側鎖にカルボキシレートアニオン、対イオンにイミダゾリウムカチオンを有するものが室温付近にTmをもつイオン液体の性質を示すことが報告されている(非特許文献5参照)。

しかしながら、かご型オクタSQイオン液体は、多段階の反応および煩雑な精製過程を要することから、SQ構造を有するイオン液体のより簡便な合成手法の開拓が求められている。

一方でこれまでに本発明者らは、SQの原料となるアミノ基含有有機トリアルコキシシランを酸水溶液中で加水分解/縮合反応(ゾル-ゲル反応)することにより、はしご型ポリSQ(特許文献1、非特許文献6、非特許文献7、非特許文献8)やかご型オリゴSQ(非特許文献9)などの規則的な構造をもつ溶媒に可溶なカチオン性SQが得られることを報告している。さらに、シアノ基含有有機トリアルコキシシランを塩基水溶液中でゾル-ゲル反応することによっても、溶媒に可溶なアニオン性はしご型ポリSQが合成できることを見出している(非特許文献10)。

産業上の利用分野

本発明は、シルセスキオキサン構造を有するイオン液体及びその製造方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
構造式が下記の化学式1で表されることを特徴とするイオン液体。
【化1】
(省略)
ただし、n=1、かつ、R=Hである場合を除く。

【請求項2】
トリフルオロメタンスルホンイミド水溶液を触媒として、四級アンモニウム塩含有有機トリアルコキシシランのゾル-ゲル反応を生じさせる工程を有し、請求項1に記載のイオン液体を得ることを特徴とするイオン液体の製造方法。

【請求項3】
前記四級アンモニウム塩含有有機トリアルコキシシランは、トリメチル[3-(トリエトキシシリル)プロピル]アンモニウムクロリドであることを特徴とする請求項2に記載のイオン液体の製造方法。

【請求項4】
前記ゾル-ゲル反応を生じさせる工程の後に、前記ゾル-ゲル反応後に含まれる水分を除去する工程を有することを特徴とする請求項2又は3に記載のイオン液体の製造方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2013101422thum.jpg
出願権利状態 登録
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