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ウイルスと糖鎖との相互作用の測定方法およびリガンド複合体

国内特許コード P130008613
整理番号 V350P003-2
掲載日 2013年3月6日
出願番号 特願2012-260396
公開番号 特開2013-040970
登録番号 特許第5716727号
出願日 平成24年11月28日(2012.11.28)
公開日 平成25年2月28日(2013.2.28)
登録日 平成27年3月27日(2015.3.27)
優先権データ
  • 特願2006-340554 (2006.12.18) JP
発明者
  • 隅田 泰生
  • 西村 知晃
  • 岸本 裕子
  • 山下 早希子
  • 鶴田 祥子
  • 若尾 雅広
  • 奥野 壽臣
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
  • 国立大学法人 鹿児島大学
  • 隅田 泰生
発明の名称 ウイルスと糖鎖との相互作用の測定方法およびリガンド複合体
発明の概要 【課題】ウイルスと糖鎖との相互作用を同時に非標識で、網羅的にリアルタイムで測定する方法を提供する。
【解決手段】糖鎖固定化金属ナノ粒子を含む溶液と、ウイルスを含む溶液とを混和することによって、糖鎖-生体関連物質相互作用体を生成させる工程を含み、上記糖鎖固定化金属ナノ粒子は、硫黄原子を有するリンカー化合物と糖鎖とが結合した構造を備えるリガンド複合体が、金属ナノ粒子に固定されてなる方法。
【選択図】図1
従来技術、競合技術の概要


糖鎖は、糖がグリコシド結合で複数結合した化合物であり、糖鎖を構成している糖の種類や当該糖の配列を考えると、糖の組み合わせとしては無数の組み合わせがある。そのため糖鎖の種類は多種多様である。また、糖鎖はウイルス、細胞、細菌またはタンパク質といった様々な生体関連物質と相互作用することが知られている。ゆえに、糖鎖と上述の生体関連物質との相互作用が、生体の生理状態に及ぼす影響は大きい。



例えば、生体関連物質であるインフルエンザウイルスやエイズウイルス、B型肝炎ウイルスはヒトに感染すると重篤な疾病を引き起こすが、その感染は、ヒトの細胞の細胞膜上の糖鎖と相互作用することがきっかけで始まることが知られている。そして、ウイルスによって相互作用する糖鎖は異なるため、ウイルスの人体への感染経路や人体に及ぼす症状に違いが生じる。



例えば、非特許文献1に開示されているように、インフルエンザウイルスの各分離株においても、当該各分離株が相互作用する糖鎖は、糖鎖を構成している糖や、当該糖の配列によって異なることが明らかとなっている。一般的に、ヒトに感染することができるインフルエンザウイルスは、N-アセチルノイラミン酸α2,3-ガラクトース(NeuAcα2,3Gal)よりもN-アセチルノイラミン酸α2,6-ガラクトース(NeuAcα2,6Gal)と強く相互作用することが知られている。



そのため、ウイルスと糖鎖との相互作用を網羅的に測定することが、ウイルス感染の予防や治療の戦略を立てる上で重要である。



一方、糖鎖とタンパク質に代表される生体関連物質との相互作用は、従来から、酵素標識免疫測定法やウェスタンブロット法等を用いることにより検出されている。上記検出方法は、糖鎖に結合した生体関連物質を主に蛍光物質や、酵素や、抗体を用いることで検出する方法である。



また、他の検出方法として、非特許文献2には、糖鎖マイクロアレイによる糖鎖とタンパク質との相互作用の検出方法が開示されている。その内容とは、即ち、化学的に糖鎖を修飾したアルブミンなどに代表される糖鎖修飾タンパク質を作製し、当該糖鎖修飾タンパク質をマイクロアレイ用の媒体上に固定することにより、糖鎖を間接的に上記媒体上に固定する。そして、上記媒体とタンパク質とを反応させた後、蛍光物質を用いて上記糖鎖と上記タンパク質との相互作用を検出するというものである。



また、非特許文献3には、金ナノ粒子上に固定された糖鎖とタンパク質との相互作用の検出方法が開示されている。その内容とは、即ち、金ナノ粒子上にアルデヒド基を有するポリエチレングリコールを固定し、当該アルデヒド基と糖鎖とを反応させることにより当該糖鎖を間接的に上記金ナノ粒子上に固定する。そして、当該金ナノ粒子とタンパク質とを反応させた後、当該金ナノ粒子の表面プラズモンバンドの強度を測定することや、透過型電子顕微鏡図を撮影することにより、上記糖鎖と上記タンパク質との相互作用を検出するというものである。



また、非特許文献4には、金ナノ粒子上に固定された糖鎖と別の金ナノ粒子上に間接的に固定された糖鎖との相互作用の検出方法が開示されている。その内容とは、即ち、チオール基を有する糖鎖-脂肪酸を作製し、当該糖鎖-脂肪酸を金ナノ粒子上に固定する。そして、当該金ナノ粒子同士を反応させた後、透過型電子顕微鏡図を撮影することにより、当該金ナノ粒子上に固定された上記糖鎖同士の相互作用を検出するというものである。



また、非特許文献5には、糖鎖マイクロアレイによる糖鎖と、タンパク質やヒト血清や植物の細胞壁抽出物等の生体関連物質との相互作用の網羅的な検出方法が開示されている。その内容とは、糖鎖が固定されたマイクロアレイ用の媒体と生体関連物質とを反応させた後に、蛍光物質や抗体等を用いることにより、上記糖鎖と上記生体関連物質との相互作用を検出するというものである。



また、特許文献1には、表面プラズモン共鳴による、タンパク質と糖鎖との相互作用の測定方法が開示されている。その内容とは、糖鎖が固定された媒体とタンパク質とを反応させ、反応で生じる表面プラズモン共鳴を測定することで、上記糖鎖とタンパク質との相互作用を測定するものである。



また、非特許文献6には、インフルエンザウイルスと糖鎖との相互作用の検出方法が開示されている。その内容は、TLCに展開した糖鎖と相互作用したインフルエンザウイルスを、抗体を用いて検出するというものである。

産業上の利用分野


本発明は、生体関連物質と糖鎖との相互作用の測定方法であって、特に、上記生体関連物質は、タンパク質、ウイルス、細胞、細菌、リポソーム、およびミセルからなる群より選ばれる1以上の生体関連物質であって、上記生体関連物質と、多種多様な糖鎖との相互作用を非標識で、網羅的に迅速かつ直接にリアルタイムで数値化して測定する方法、および当該測定方法を用いた、上記生体関連物質の糖鎖選択性の評価方法、上記生体関連物質のスクリーニング方法、並びに上記生体関連物質のパターニングの方法、そしてこれらの方法を実施するためのキットに関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
ウイルスと糖鎖との相互作用の測定方法であって、
糖鎖固定化金属ナノ粒子を含む溶液と、ウイルスを含む溶液とを混和することによって、糖とウイルスとが相互作用して特異的に結合した結果、生成される凝集物である、糖鎖-生体関連物質相互作用体を生成させる工程を含み、
上記糖鎖固定化金属ナノ粒子は、硫黄原子を有するリンカー化合物と糖鎖とが結合した構造を備えるリガンド複合体が、金属-硫黄結合によって金属ナノ粒子に固定されてなり、
上記ウイルスはインフルエンザウイルスであり、
上記糖鎖はNeu5Acα2-6Galβ1-4GlcNAcβ1-6Glcであることを特徴とする方法。

【請求項2】
硫黄原子を有するリンカー化合物と糖鎖とが結合した構造を備えるリガンド複合体であって、上記糖鎖は、Neu5Acα2-6Galβ1-4GlcNAcβ1-6Glcであることを特徴とするリガンド複合体。
国際特許分類(IPC)
画像

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出願権利状態 登録
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