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デルフィニウム(Delphiniumspp.)から単離された配糖体化酵素とその利用

国内特許コード P110002263
整理番号 S2009-0887-N0
掲載日 2011年4月8日
出願番号 特願2009-166995
公開番号 特開2011-019447
登録番号 特許第5477619号
出願日 平成21年7月15日(2009.7.15)
公開日 平成23年2月3日(2011.2.3)
登録日 平成26年2月21日(2014.2.21)
発明者
  • 橋本 文雄
  • 清水 圭一
  • 坂田 祐介
  • ウレド ラバ イセルモ
  • 緒方 潤
  • 福田 良絵
出願人
  • 国立大学法人 鹿児島大学
発明の名称 デルフィニウム(Delphiniumspp.)から単離された配糖体化酵素とその利用
発明の概要 【課題】デルフィニウムの花色発現に関与する3-0-グルコシルトランスフェラーゼを提供する。
【解決手段】以下の(a)~(d)いずれか記載のポリペプチド。(a)特定のアミノ酸配列からなるポリペプチド(b)特定のアミノ酸配列において1~複数個のアミノ酸の置換、付加、欠失若しくは挿入を含みかつ配糖化フラボノイドの生成を触媒する活性を有するポリペプチド、(c)特定のアミノ酸配列に対して少なくとも70%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなりかつフラボノイドの配糖化を触媒する活性を有するポリペプチド(d)特定のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドの相補鎖に対してストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチドにコードされ、かつフラボノイドの配糖化を触媒する活性を有するポリペプチド
【選択図】図2
従来技術、競合技術の概要



アントシアニンの配糖体化酵素はいくつかの植物ですでに単離されているが、デルフィニウム(Delphinium spp.)では、アントシアニンの配糖体化酵素を含む、花の色素の生合成に関与する遺伝子の単離は全くなされてなかった。





例えば、アントシアニジンはUDP-グルコシル転移酵素、いわゆるアントシアニジン3-O-グルコシルトランスフェラーゼ(3GT)の作用によって、フラボノイド骨格の3位が配糖体化される。このことによって、アントシアニンは安定化することが知られている(非特許文献1)。3GTの性質はよく調査されており、金魚草(Antirrhinum majus)(非特許文献2)、リンドウ(Gentiana triflora)(非特許文献3)、ペチュニア(Petunia hybrida)(非特許文献4)、花菖蒲(Iris hollandica)(非特許文献5)での報告例の記載がある。





デルフィニウムはキンポウゲ科に属し、切り花として重要な観賞花卉である。がく片に含まれるアントシアニン色素について、青色がく片には過度にアシル化された、シアノデルフィン(cyanodelphin)が含まれていることが知られている(非特許文献6)。また、紫色のがく片にはアシル化アントシアニンであるヴィオルデルフィン(violdelphin)が含まれていることが明らかにされ、これらの色素がそれぞれのがく片を青色及び紫色に着色する本体であることが報告されている(非特許文献7)。





特許文献1には、組織培養苗により増殖して得られるメリクロン苗を用いて、その苗同士を交配してF1種子を得る方法の記載がある。具体的には、「二つの自殖系統デルフィニウムの選抜個体のうち、少なくとも一つを組織培養により増殖し、得られた一方のメリクロン苗と他方の自殖系統個体、または双方のメリクロン苗どうしを交配して、デルフィニウムF1種子を得ることを特徴とするデルフィニウムF1品種の作出方法」が開示されている。





特許文献2には、種間交雑苗生産方法の記載がある。具体的には、デルフィニウム属植物の種間交雑を行って得た種子の胚を摘出又は胚の少なくとも一部を露出して、胚培養を行うことを特徴とするデルフィニウム属植物の種間交雑苗生産方法が開示されている。





特許文献3には、八重の花を持ち、青色の二色系の花であるデルフィニウムの新規園芸品種「ドルチェヴィタ(Dolce Vita)」が開示されている。





特許文献4には、植物学的にはデルフィニウムの交雑品種であり、青紫色/淡緑色の花色を特徴とする、デルフィニウムの新規園芸品種「デルガスタム(Delga Stam)」が開示されている。





また特許文献5には、デルフィニウムの後代に特定の花色を遺伝させる花色交配法、デルフィニウムの後代に二色系の花色を遺伝させる花色交配法、暖地で効率よく季節咲きさせる方法、及び萼片中の主要な内性色素の比率からデルフィニウムの花色を決定する方法、並びに、全色系花色のデルフィニウムを花粉親または種子親として他殖交配し、特定の花色を後代に遺伝させることができると共に、二色系の花色を後代に遺伝させることができることが開示されている。

産業上の利用分野



本発明は、デルフィニウム(Delphinium spp.)のがく片に含まれる、配糖体化酵素及びその利用方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
以下の(a)~(d)のいずれか記載のポリペプチド。
(a) 配列番号2に示すアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(b) 配列番号2に示すアミノ酸配列において1~10個のアミノ酸の置換、付加、欠失若しくは挿入を含みかつ配糖体化フラボノイドの生成を触媒する活性を有するポリペプチド、
(c) 配列番号2に示すアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなりかつフラボノイドの配糖体化を触媒する活性を有するポリペプチド、
(d) 配列番号1に示すヌクレオチド配列に対して90%以上の同一性を有するヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドにコードされ、かつフラボノイドの配糖体化を触媒する活性を有するポリペプチド。

【請求項2】
請求項1記載のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド。

【請求項3】
配列番号1に示すヌクレオチド配列からなる、請求項2記載のポリヌクレオチド。

【請求項4】
請求項2又は3記載のポリヌクレオチドを含む組換えベクター。

【請求項5】
請求項4記載の組換えベクターで形質転換された形質転換宿主細胞。

【請求項6】
請求項5記載の形質転換宿主細胞を、前記組換えベクターにコードされるポリペプチドの発現を可能にする条件下で培養すること、及び該ポリペプチドを回収することを含む、請求項1記載のポリペプチドの製造方法。

【請求項7】
非配糖体化フラボノイドを含む溶液を、請求項1記載のポリペプチドを用いて酵素処理することを含む、配糖体化フラボノイドの製造方法。

【請求項8】
非配糖体化フラボノイドはアントシアニジンである、請求項7記載の製造方法。

【請求項9】
請求項2又は3記載のポリヌクレオチドを開花植物の細胞若しくは組織培養物に導入することを含む、変異体植物の製造方法。

【請求項10】
開花植物はデルフィニウム(Delphinium spp.)である請求項9記載の製造方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 登録
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