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液晶用材料、液晶エラストマー、液晶用材料の製造方法、及び液晶エラストマーの製造方法 コモンズ

国内特許コード P110002407
整理番号 06-222
掲載日 2011年4月18日
出願番号 特願2007-019695
公開番号 特開2008-184553
登録番号 特許第5130520号
出願日 平成19年1月30日(2007.1.30)
公開日 平成20年8月14日(2008.8.14)
登録日 平成24年11月16日(2012.11.16)
発明者
  • 板原 俊夫
出願人
  • 国立大学法人 鹿児島大学
発明の名称 液晶用材料、液晶エラストマー、液晶用材料の製造方法、及び液晶エラストマーの製造方法 コモンズ
発明の概要 【課題】液晶から液体へ変化する時のエンタルピー変化の大きい安定な液晶を発現できるとともに、エラストマー弾性が損なわれないようにする液晶用材料及びその液晶用材料を包含した液晶エラストマーを提供する。
【解決手段】ビニル基(炭素・炭素二重結合)を末端に置換した2つのビフェニル基を有し、液晶から液体へ変化する時のエンタルピー変化の大きく安定な液晶状態となり、昇温過程及び降温過程のいずれにおいても明瞭な液晶性を示すとともにその液晶温度範囲が広く、さらに、ポリブタジエンと混合して有機溶剤に溶かした後に有機溶剤を蒸発させ、残った固体を180℃から250℃まで加熱すると、ポリブタジエン鎖に側鎖として結合されるとともに、ポリブタジエン間に架橋が起こってエラストマーとなる。
【選択図】図26
従来技術、競合技術の概要


末端に二重結合をもつ液晶分子は、液晶ポリマーを合成するための液晶モノマーとして重要である。末端に二重結合をもつ液晶分子を用いて液晶ポリマーを合成する方法として、二重結合のビニル重合による方法が一般的であるが、二重結合のあるポリマーと、末端に二重結合をもつ液晶分子とからラジカル開始剤を用いてポリマーに液晶部位を連結させるラジカル反応や光反応による方法も知られている。



液晶部位(メソゲン)が1つで末端に二重結合をもつ化合物の重合や、光反応やラジカル開始剤を用いる反応による二重結合のあるポリマーへの結合はすでに知られている。例えば、化1に示すように、液晶部位(メソゲン)としてビフェニル基が1つで末端に二重結合をもつものおよびそれらを重合した液晶ポリマーの合成に関する特許や研究論文は多数開示されている。特に、化2に示す化合物はAldrich社より市販されている。



【化1】


(式中、RがHで、Aが(CH2mであるか、
RがH又はMeで、AがCOO(CH2mであり、
mは2~12、nは3~12である。)



【化2】




しかし、液晶部位(メソゲン)が1つであり末端に二重結合をもつ化合物は、一般に液晶から液体へ変化する時のエンタルピー変化が小さく、重合や二重結合のあるポリマーに連結されている液晶部位(メソゲン)において液晶性が発現しにくい面がある。一方、液晶部位(メソゲン)が複数あるオリゴマー液晶においては、液晶から液体へ変化する時のエンタルピー変化が大きく、安定な液晶となることが開示されている(例えば、特許文献1参照)。



このオリゴマー液晶を含む液晶エラストマーは、エラストマー特性をもつポリマーが架橋構造を持っているためゴム弾性を有している。さらに、その中に液晶分子の配列による異方性があるため、特定の方向にのみ伸縮することができる。生体にはコラーゲンなどの液晶エラストマーがあり、異方性のゴム弾性を有する液晶エラストマーは、この生体筋肉の代わりとなる人工筋肉として様々な生体内バルブや人工心臓などの人工臓器材料への利用が期待されている。



液晶エラストマーは、液晶部位がポリマーの側鎖に結合した側鎖型高分子液晶が架橋されたエラストマー弾性をもつ材料として多くの研究が進められている(例えば、非特許文献1参照)。しかし、エラストマー性をもつ液晶ポリマーを合成し、それを架橋することは製造方法においては工程が複雑になり、コスト面においても不利である。そこで、エラストマーとしてよく知られたジエン系ポリマー(代表例:ポリブタジエン)に液晶を結合させることにより液晶エラストマーを得ることは実用化において効率的であり、例えば特許文献3においては、ジエン系ポリマーに末端に二重結合をもつ液晶分子を側鎖として結合させた液晶エラストマーを調製する方法が開示されている。



しかし、実用的な液晶エラストマーを調製するためには架橋が必要である。現在は、加硫(硫黄を加えて加熱する)や様々な架橋剤を用いる方法で架橋が行われている。架橋がなされた液晶エラストマーにおいては、伸びたり元の形に縮んだりする際に、ポリマー主鎖間の架橋により互いがずれてしまうことを防ぎ、伸縮において型崩れせずに元の形に戻ることができる。



また、ポリマー鎖が架橋されていない液晶エラストマーの場合は、一本一本のポリマー鎖がほどけるため、有機溶剤に容易に溶ける。ところが、ポリマー鎖が架橋された液晶エラストマーの場合は、一本一本のポリマー鎖はほどけることが無く、そのため有機溶剤に溶けにくくなり、有機溶剤を吸ってゲルとなる。



【特許文献1】
特開2004-75623号公報
【特許文献2】
特開2003-2904号公報
【非特許文献1】
Liquid Crystal Elastomers, Oxford University Press, Oxford, 2003

産業上の利用分野


本発明は液晶用材料、液晶エラストマー、液晶用材料の製造方法、及び液晶エラストマーの製造方法に関し、特に、人工筋肉やソフトアクチュエータ等に用いて好適な技術に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
構造が化1で表される化合物を含むことを特徴とする液晶用材料。
【化1】


(式中、RがHで、Aが(CH2mであるか、
RがH又はMeで、AがCOO(CH2mであり、
mは2以上、nは3以上である。)

【請求項2】
互いに架橋された複数のポリブタジエン鎖と、
前記複数のポリブタジエン鎖の少なくとも一部に結合された化2に示す化合物とを有することを特徴とする液晶エラストマー。
【化2】


(式中、RがHで、Aが(CH2mであるか、
RがH又はMeで、AがCOO(CH2mであり、
mは2以上、nは3以上である。)

【請求項3】
4-シアノ-4'-ヒドロキシビフェニルと、化3に示す化合物とを反応させて、化4に示す化合物を生成する工程と、
前記化4に示す化合物と、4'-ヒドロキシ-4-ビフェニルカルボン酸とを反応させて、化5に示す化合物を生成する工程と、
前記化5に示す化合物と、化6に示す化合物とを反応させて、化7に示す化合物を生成する工程とを有することを特徴とする液晶用材料の製造方法。
【化3】


(式中、n=3以上、Xはハロゲン原子)
【化4】


(式中、n=3以上、Xはハロゲン原子)
【化5】


(式中、n=3以上)
【化6】


(式中、m=2以上、Xはハロゲン原子)
【化7】


(式中、m=2以上、n=3以上)

【請求項4】
4-シアノ-4'-ヒドロキシビフェニルと、化8に示す化合物とを反応させて、化9に示す化合物を生成する工程と、
前記化9に示す化合物と、4'-ヒドロキシ-4-ビフェニルカルボン酸とを反応させて、化10に示す化合物を生成する工程と、
前記化10に示す化合物と、化11に示す化合物とを反応させて、化12に示す化合物を生成する工程と、
前記化12に示す化合物と、アクリル酸またはメタクリル酸と反応させて、化13に示す化合物を生成する工程とを有することを特徴とする液晶用材料の製造方法。
【化8】


(式中、n=3以上、Xはハロゲン原子)
【化9】


(式中、n=3以上、Xはハロゲン原子)
【化10】


(式中、n=3以上)
【化11】


(式中、m=2以上、Xはハロゲン原子)
【化12】


(式中、m=2以上、n=3以上、Xはハロゲン原子)
【化13】


(式中、m=2以上、n=3以上、R=H or Me)

【請求項5】
ポリブタジエンと化14に示す化合物とを混合し、180℃~250℃の範囲内で加熱することを特徴とする液晶エラストマーの製造方法。
【化14】


(式中、RがHで、Aが(CH2mであるか、
RがH又はMeで、AがCOO(CH2mであり、
mは2以上、nは3以上である。)
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 登録
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