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糖鎖リガンド複合体、およびそのリガンド複合体を用いたタンパク質の分析方法 実績あり

国内特許コード P110003661
整理番号 P028P08WO
掲載日 2011年6月27日
出願番号 特願2005-518081
登録番号 特許第4800771号
出願日 平成17年2月18日(2005.2.18)
登録日 平成23年8月12日(2011.8.12)
国際出願番号 JP2005003220
国際公開番号 WO2005077965
国際出願日 平成17年2月18日(2005.2.18)
国際公開日 平成17年8月25日(2005.8.25)
優先権データ
  • 特願2004-041994 (2004.2.18) JP
発明者
  • 隅田 泰生
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
  • 国立大学法人 鹿児島大学
発明の名称 糖鎖リガンド複合体、およびそのリガンド複合体を用いたタンパク質の分析方法 実績あり
発明の概要 本発明は、タンパク質の機能解析に有効利用することのできる新規なリガンド複合体、リガンド担持体、および、タンパク質の分析方法を提供する。 リガンド複合体は、下記-般式(1)【化1】(式中、n,pは0以上6以下の整数)にて表される構造を備え、上記Xとして、末端に芳香族アミノ基を有するとともに、主鎖に炭素-窒素結合を有していてもよい炭化水素誘導鎖を、1鎖又は2鎖又は3鎖含んでなる構造を備え、上記Yとして、硫黄原子を含む炭化水素構造を備え、上記Zとして、炭素-炭素結合又は炭素-酸素結合を持つ直鎖構造を備えているリンカー化合物と、還元末端を有する糖とが、上記芳香族アミノ基を介して結合している構造である。
従来技術、競合技術の概要


生体内に存在する種々の糖は、生物の活動や生命を維持するためのメカニズムの中で重要な役割を果たしている。このような糖の機能を精密に解明するためには、糖の複雑な構造に基づいてそれらの機能を解析する必要がある。糖の機能解析には、構造が解明されている糖鎖を用いて、糖の構造を一部ずつ再現し、これによって糖全体の構造と機能との関係を明らかにする手法が用いられる。
上記糖の機能解析の手法としては、例えば、表面プラズモン共鳴(以下、SPRと記載する)が知られている。すなわち、糖の一部を模擬したオリゴ糖を含んでなるリガンド複合体をセンサチップ表面上に導入し、このリガンド複合体が導入されてなるセンサチップを用いて、オリゴ糖と特異的に相互作用するタンパク質等の物質を特定する。これにより、オリゴ糖の構造に基づく生物活性の正しい評価を行うことができる。
ところが、オリゴ糖は、1分子だけでは活性がそれほど高くないため、オリゴ糖の生物活性を評価する場合には、オリゴ糖をセンサチップ上に集合化させることが必要となる。つまり、集合化したオリゴ糖を用いて、タンパク質との相互作用を解析することにより、オリゴ糖の生物活性の評価を行うことが可能になる。
そこで、本発明者らは、これまでに、センサチップ表面に固定可能な部位及びオリゴ糖を導入可能な部位を分子内に有するリンカー化合物を得、このリンカー化合物に1単位又は2単位のオリゴ糖を導入してなるリガンド複合体を得ている。そして、このリガンド複合体を用いることによって、センサチップ上に、オリゴ糖を集合化して導入することができることを見出している(例えば、特許文献1、非特許文献1等を参照)。
[特許文献1]特開2003-83969号公報(2003年3月19日公開)
[非特許文献1]「日本化学会第79回春季年会-講演予稿集II」、社団法人日本化学会、2001年3月15日、p.1042
しかしながら、上記の各文献に記載されたリガンド複合体においては、導入される糖鎖(オリゴ糖鎖)は、発明者らによって合成された硫酸化糖に限られており、市販の還元末端を有するマルトース、ラクトースなどのオリゴ糖を導入しチップ化できるかどうかについては明らかにされていない。また、上記の文献に記載のリガンド複合体を固定化して得られたセンサチップをSPRを用いた測定に使用した後に、チップ上の糖鎖と結合したタンパク質の同定に使用するという利用方法は、従来から提唱されてはいたが、データ的に満足できるものは存在しなかった。

産業上の利用分野


本発明は、リンカー化合物に還元末端を有する糖鎖が導入された新規リガンド複合体、および、このリガンド複合体を金や銀、銅などの金属で表面をコートしたチップ上に集合化させ固定化したリガンド担持体に関するものである。さらに、本発明は上記リガンド複合体を用いたタンパク質の分析方法に関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
一般式(1)
【化1】


(式中、p,qはそれぞれ独立して1以上6以下の整数)にて表される構造を備えているリガンド複合体であって、
上記Xは、
一般式(2)、(3)または(4)
【化2】


【化3】


【化4】


(式中、m,m,m,m,mはそれぞれ独立して0以上6以下の整数。R’は水素(H)またはR。)にて表される構造を備え、
上記Yは、S-S結合またはSH基を含む炭化水素構造であり、
上記Zは、式(5)または式(6)
【化5】


(式中、n,nはそれぞれ1以上6以下の整数。)にて表される構造を備え、
上記Rは、下記群(101)
【化6】


から選択される糖鎖由来化合物であることを特徴とするリガンド複合体(ただし、Xが一般式(2)にて表される構造である場合、Zは式(6)にて表される構造でない。)。

【請求項2】
一般式(107)
【化7】


(式中、m,m,mはそれぞれ独立して0以上6以下の整数であり、nは1以上6以下の整数であり、R’は水素(H)またはR。)にて表される構造、または
一般式(108)
【化8】


(式中、m,mはそれぞれ独立して0以上6以下の整数であり、nは1以上6以下の整数であり、R’は水素(H)またはR。)にて表される構造、または
一般式(109)
【化9】


(式中、n,qはそれぞれ独立して以上6以下の整数であり、R’は水素(H)またはR。)にて表される構造、または
一般式(110)
【化10】


(式中、nは1以上6以下の整数であり、R’は水素(H)またはR。)にて表される構造を備えることを特徴とする請求項1に記載のリガンド複合体。

【請求項3】
請求項1または2に記載のリガンド複合体を、表面に金属を有する支持体上に固定化させてなることを特徴とするリガンド担持体。

【請求項4】
タンパク質の分析に使用されることを特徴とする請求項3に記載のリガンド担持体。

【請求項5】
請求項1または2に記載のリガンド複合体を、支持体と接触させることによって、当該リガンド複合体を支持体上に固定化させたリガンド担持体を作成する工程と、
上記リガンド担持体を、タンパク質溶液と接触させた後、分子間相互作用の測定を行う工程と、
上記分子間相互作用の測定の後に質量分析を行って、上記リガンド担持体に結合しているタンパク質を同定する工程と、
からなることを特徴とするタンパク質の分析方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 登録
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