TOP > 国内特許検索 > 光重合型義歯床粘膜面処理材、それを用いた義歯床粘膜面の処理方法及び義歯床の製作方法

光重合型義歯床粘膜面処理材、それを用いた義歯床粘膜面の処理方法及び義歯床の製作方法 実績あり

国内特許コード P07A010667
掲載日 2007年10月4日
出願番号 特願2004-211503
公開番号 特開2006-028120
登録番号 特許第4719872号
出願日 平成16年7月20日(2004.7.20)
公開日 平成18年2月2日(2006.2.2)
登録日 平成23年4月15日(2011.4.15)
発明者
  • 蟹江 隆人
出願人
  • 国立大学法人 鹿児島大学
発明の名称 光重合型義歯床粘膜面処理材、それを用いた義歯床粘膜面の処理方法及び義歯床の製作方法 実績あり
発明の概要 【課題】口腔内粘膜面に対する密着性、装着感が良好で、義歯床用レジンの製作工程の途中で簡単に加熱重合型、化学重合型および光重合型義歯床用レジンの粘膜面に接着でき、短時間で重合反応が完結し、気泡のない、滑沢な義歯床面を得ることが可能な光重合型義歯床粘膜処理材を提供する。
【解決手段】ラジカル重合可能なウレタン系オリゴマー49.8~99.6wt%とメタクリル酸エステル0~49.8wt%とメタクリル酸エステル重合体あるいはメタクリル酸エステル共重合体0~49.8wt%と光増感剤0.2~2wt%と還元剤0.2~2wt%とを配合したことを特徴とする光重合型義歯床粘膜面処理材である。該光重合型義歯床粘膜面処理材を容器から筆で取り出し、患者口腔内を複製した石膏模型上で口腔内の目的の位置に適量を塗布し、光を照射し、化学重合型、加熱重合型または光重合型義歯床用レジンを加え重合することで、義歯床を作製できる。
【選択図】図1
従来技術、競合技術の概要


一般に、高齢者の有床義歯を支持する粘膜は、適合性に優れた義歯を装着したとしても、加齢が進むに従って顎堤粘膜が菲薄になり、咬合圧に耐えにくく、咬合時に疼痛や炎症を生じやすくなる。そのような患者に対しては、硬質裏装材によって適合性の改善を行っても、咬合時の疼痛や炎症は治まらないことが多い。そこで、義歯床の咬合圧をできるだけ広い面積で負担し、局部的に集中して加わることをさける目的から、義歯床粘膜面に軟質裏装材やティッシュコンディショナーを利用する方法が用いられている。



このような咬合時の疼痛緩和を目的とした義歯床用軟質裏装材としては、シリコーン系、アクリル系、フルオロ系、オレフィン系の材料が用いられており、原材料としては、特開2003-040723号(以下、特許文献1という)、特開2002-060311号(以下、特許文献2という)、特開平10-245313号(以下、特許文献3という)、特開平10-226613号(以下、特許文献4という)、特開平08-291017号(以下、特許文献5という)に義歯床用軟質裏装材の組成物(特許文献1の請求項1~4、特許文献2の請求項1~2、特許文献3の請求項1~2、特許文献4の請求項1、特許文献5の請求項1)の記載があるが、それぞれ一長一短があり、臨床的に満足のいく材料は得られていない。



シリコーン系の義歯床用軟質裏装材としては、主に付加重合タイプの常温重合型シリコーンが使用されている。この材料はベースとキャタリストの2種類のペーストを使用時に混和し、その混合物を義歯床粘膜面に盛り付け、患者の口腔内に装着して硬化させることにより裏装を行う。この場合、2種類のペーストの混合は、通常ディスペンサーによる自動練和で行なわれるため、手練和のように気泡の混入が少なく、均質な材料が得られる。



しかし、シリコーン系裏装材は、アクリル系義歯床用レジンとは化学的な接着が行われないために、接着剤の使用が必要となる。しかしながら、この接着剤は使用中に義歯床との界面で剥離が生じるといった問題が指摘されており、耐久性の面で十分とは言えない。また、シリコーン系裏装材は、新たに材料を追加したい場合、一度硬化したものには接着しないため、再修正することが実質的に不可能であり、このことが臨床上の大きな欠点となっている。



一方、アクリル系裏装材は、義歯床用レジンと材質が同系統のものであるため、義歯床用レジンと化学的に接着するばかりでなく、新たに材料を追加したい場合でも強固に接着するため、修正できることが大きな特徴となっている。このアクリル系裏装材は、モノマーとポリマーを混合してゲル化して使用するが、この時可塑剤としてアルコールを使用するタイプと、常温で重合硬化させるタイプの2種類がある。



アルコールを可塑剤とするタイプは、口腔内での使用時にアルコールが徐々に溶出していくため、表面から硬化し、材質が劣化していく。また、混和時の気泡が多いことから、飲食物等による汚染も発生しやすく、その用途は暫間的なものに限られる。一方、常温硬化型裏装材は、低分子量のモノマーを使用する。このモノマーは重合してポリマー化し、口腔内温度で弾性を持つ。該ポリマーは、アルコールのように使用中にモノマーが溶出することは少ないが、硬化直後の重合度が低く、比較的長期にわたって使用する場合、材質的な劣化が見られる。



この常温硬化型アクリル系裏装材を改良した光重合型の軟質裏装材の原料について、特開2002-119523号(以下、特許文献6という)に組成物と方法(特許文献6の請求項1~4)の記載がある。この場合、軟質裏装材は、光照射により光重合反応が起こり、最終重合段階で粘弾性状態に変化するため、長期間使用しても、従来の軟質材料のように表面が汚れてくることが少なく、耐久性が飛躍的に向上している。しかし、一度完成した義歯床に軟質裏装材を装着する技法に変わりはなく、義歯床を再度石膏模型に埋没して、軟質裏装材を填入して、光重合して、石膏を取り除く必要があるために、余分な作業時間が必要となる。



一方、同じように咬合圧を分散させ、義歯使用感を改善する目的でティッシュコンディショナーを使用することがある。ティッシュコンディショナーとしては、シリコーン系、アクリル系の材料が用いられており、原材料としては義歯床用軟質裏装材の組成物に近いものがほとんどであり、性質も似ている。特開2001-46404(以下、特許文献7という)に義歯及びその製造方法(特許文献7の請求項1~4)の記載があるが、シリコーン系を使用しており、軟質裏装材と同じく接着剤を介して義歯床にティッシュコンディショナーを接着するため、耐久性に問題がある。



【特許文献1】
特開2003-040723号公報
【特許文献2】
特開2002-060311号公報
【特許文献3】
特開平10-245313号公報
【特許文献4】
特開平10-226613号公報
【特許文献5】
特開平8-291017号公報
【特許文献6】
特開2002-119523号公報
【特許文献7】
特開2001-46404号公報

産業上の利用分野


本発明は、歯科の光重合型義歯床粘膜面処理材、並びにこれを使用した義歯床粘膜面の処理方法及び義歯床の製作方法に関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
ラジカル重合可能なウレタン系オリゴマー49.8~99.6wt%とメタクリル酸エステル0~49.8wt%とメタクリル酸エステル重合体あるいはメタクリル酸エステル共重合体0~49.8wt%と光増感剤0.2~2wt%と還元剤0.2~2wt%とを配合したことを特徴とする光重合型義歯床粘膜面処理材。

【請求項2】
可視光線を照射することによって光重合反応が起こり、粘性状態から弾性状態に変化することを特徴とする請求項1に記載の光重合型義歯床粘膜面処理材。

【請求項3】
光重合反応後の弾性率が0.2~20MPaの範囲であることを特徴とする請求項1又は2に記載の光重合型義歯床粘膜面処理材。

【請求項4】
請求項1~3のいずれかに記載の光重合型義歯床粘膜面処理材を単層で又は積層化して用いることを特徴とする義歯床粘膜面の処理方法。

【請求項5】
前記積層化される光重合型義歯床粘膜面処理材の光重合反応後の弾性率が各層で異なることを特徴とする請求項4に記載の義歯床粘膜面の処理方法。

【請求項6】
請求項1~3のいずれかに記載の光重合型義歯床粘膜面処理材を容器から筆で取り出し、患者口腔内を複製した石膏模型上で口腔内の目的の位置に適量を塗布し、光を照射し、化学重合型、加熱重合型または光重合型義歯床用レジンを加え重合することを特徴とする義歯床の製造方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

※ 画像をクリックすると拡大します。

JP2004211503thum.jpg
出願権利状態 登録
※ 公開特許は弊社ホームページ内で開示資料とともに、特許公報も掲載しております。
アドレスは http://www.ktlo.co.jp/002_seeds_.html


PAGE TOP

close
close
close
close
close
close
close